0-885 名前: 姫初めは振り袖で 前編(ニラレバ) [sage] 投稿日: 2006/01/01(日) 17:05:21 ID:pKX7er/3

年が明けて元旦。
部屋の時計は九時を指したが直樹はいつものように起きる気配が無い。
だがその静寂を目覚まし時計が打ち破る。
大音響に嫌々ながら起きる事にする。
何故なら今日は保奈美と初詣に行く約束をしていたのだ。
保奈美と恋人になってから初めての正月。
「保奈美は………もう起きてるか………」
寝間着姿でリビングに向かう。

「おはようなおくん」
リビングに入って飛んできた第一声がそれだった。
実は保奈美は昨日から客間に泊まっているのだ。
「おそーい、直樹」
新年早々飛んでくる言葉は愛のささやきだけでは無かった。
「叔父様と叔母様は仕事先の挨拶に行かれたよ」
「ところで直樹、ジャーン」
直樹の前でクルクル回る茉理。
「あぁ、我が従妹も新年早々かわいそうな頭になってしまったか」
「なおくん」
直樹をたしなめる保奈美。
「おや、マイハニー。振り袖ではないか」
今気付いたかのようなわざとらしい演技。
「どうかな?」
今更ながら照れながら感想を求める保奈美。
「うむ、GJだ。色合いといいそれを着こなすセンス、体型、全てがベストだ」
そして正面に視線を戻す。
「マイシスターも振り袖か」
「どう?」
何かを期待しているツインテール。
「うむ、馬子にもいしょ、う………」
足袋を履いた足で思いっきり踏みつけられる。
「ふん!」
ご機嫌斜めな従妹様。
「茉理ちゃん、そろそろ出かけるんじゃない?」
「ちひろとユズリンと初詣の待ち合わせしてるんだった。何処かの馬鹿の所為で
うっかりしてたんで助かりました保奈美さん」
「そうして来年の正月も恋人不在の寂しい新年をすごぁっ」
茉理の蹴りが見事に金的を捉えた。
うずくまる直樹。
「なおくん、大丈夫?」
「お、おのれ、茉理………」
「そんなに痛いならベッドの上で保奈美さんに治療してもらったら?」
そう言うと軽やかに家を後にする茉理だった。
保奈美は直樹の股間をさする。
「痛いの痛いの飛んでけ〜〜〜」
物欲しそうに保奈美を見る直樹。
「だーめ。まだ初詣に行ってないでしょ」
続けてチュっと軽く唇を重ねる。
そして直樹の耳元で囁いた。
「今日は………下着付けてないんだよ」
そう告げると直樹から離れる。
「なおくん、私達も初詣に行こう」
直樹は初めての姫初めの事で頭が一杯だったが、保奈美はそれを見越して一枚上手だった。