0-537 名前: 藤枝家に呼ばれたら………(にられば) [sage] 投稿日: 2005/09/17(土) 22:51:51 ID:keBYU4tr

未だ肌寒い3月中旬。
厳かな雰囲気の体育館に生徒がパイプ椅子に座っている。
今は卒業式の真っ直中なのだ。
相変わらずかったるそうな保健医。
我らの小さな小さな担任は既に涙ぐんでいる。
壇上では理事長の前で紙に書かれた長々しい文章を読み上げる委員長。
眠たそうな直樹。
その反対にシャンと凛々しい保奈美。
外見上は引き締まった表情だが、やはりかったるく感じる茉理。


あの日から全く何事も無かったかの様に日々は過ぎていった。
変わったことは言えば、直樹と保奈美が入籍した事実。
だけど、何が変わったわけではなかった。
保奈美は受験が終わってからというもの渋垣家と実家を往き来する日々だった。
英理にとっては家事が楽になり、お喋り相手として此程最適な人物は居なかった。
源三はここぞとばかりに酒を飲もうとすると英理と茉理、保奈美の3人に阻まれ心ゆくまで呑むことが出来なくなった。


結先生が教壇で最後のホームルームを行っている。
「え〜〜、すいません、卒業アルバムなんですが………」
その視線を直樹と保奈美に合わせる。
というかクラス中の視線を受ける二人。
「駄目ですよ、もう少し早く報告してくれないと………」
「はぁ………すいません………」
赤面しながら担任に受け答えする直樹。
クラスメイト達は先生の指示に従い卒業アルバムの名簿に修正を加えていく。
「みなさん、終わりましたか?それでは卒業証書をお渡しします。え〜〜っと、秋山さんは既に持って居るので………」
こうして次々に先生は卒業証書を手渡していく。
そして、直樹の番が来た。
「久住君………」
クラス中が直樹を囃し立てる。



「ではなくて、藤枝君!」
そう、直樹は何故か藤枝家に婿養子に入っていた。
一人娘の保奈美に我が子同然の直樹ならと先方が是非にと熱望していたらしい。
「直樹、別にどうってこたぁないだろ!」
源三にそう言われ確かに藤枝姓に変わっても何が変わる訳でもない。
「それに苗字なんて物に姉さんはこだわらん人だったからな」
その一言で藤枝姓になる事に決めた。

卒業式も無事終わり季節は春、桜が完全に散ってしまった頃の事。
直樹と保奈美はキャンパスライフを楽しんでいたそんな時期。
その日、珍しい事に渋垣家の夕食には全員が揃っていた。
そして、食事の前に今回、全員に集合を掛けた新米主婦が言った。
「ジャーン!」
皆の前に突きつけられたのは「母子手帳」だった。
「実は、私も………」
ベテラン主婦がそれに続く。
「え、ええええぇぇぇぇ〜」
直樹と茉理は同時に驚きの声を上げる。
「本当に危険日だったのか………」
「と言うことは私とは18も年下の兄弟が出来るの!?」
「いやぁ、はは、参ったな………」
少し照れくさそうな源三。

その後、渋垣夫婦に中東行きの辞令が下りたが源三が単身赴任する事となった。
「直樹、家の事しっかり頼むぞ」
ポンポンと直樹の肩を叩いて日本を飛び立った。


ドンドンドン
廊下を踏みつける音が近付いてくる。
バン!
「なおきぃっ!」
ドアを蹴飛ばし荒々しく入ってきたのは茉理だ。
「保奈美さんも毎日勘弁してくださいよ………お母さんも!」
ハァと溜息を吐く。
「あら、私達が出来ないんだから本来なら茉理が直樹君の処理をしないといけないんですよ」
「ゴメンね、茉理ちゃん」
お腹の大きくなった主婦二人が直樹の肉棒を攻めている。
茉理は大きく膨らんだ肉棒を見て物欲しそうに見ているが羞恥からか赤面し顔を逸らす。
「も、もう駄目だ………」
直樹がブルブルと震えると勢いよくザーメンが飛び出す。
ビチャ!
茉理の顔にドロッと白濁したモノが付着する。
赤面していた顔が別の意味で顔が紅潮していく
「………ムッカ、ムカムカムカ、ムッカーーーーーーー!」
渋垣家の窓ガラスが震え、近所に怒声が響き渡る。
「バッカ直樹ぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!!!!!!!!」
そんな光景をこれからも見ていくのだろうか?
保奈美は微笑みながら、これからの人生に想いを馳せるのだった。


藤枝家に呼ばれたら………    完