6-394 名前: 1+1≠2(にられば) [sage] 投稿日: 2007/03/24(土) 23:24:31 ID:yNcM25we

それは金曜日の事だった。
放課後、カフェテリアで保奈美とコーヒーを飲んでる時だった。
「あ、久住先輩」
「ん?」
声に振り向くと声の主はちひろだった。
「こんにちわ、橘さん」
「こんにちわ、藤枝先輩」
ぺこりと礼儀正しく御辞儀をするちひろ。
「あー、ちひろ」
ちひろを見つけた茉理が早足で近づいてくる。
「そういえば茉理、明日の事………」
「大丈夫だって」
「明日、何かあるのか?」
直樹が首を突っ込む。
「あれ、言ってなかったっけ?明日、ちひろが家に泊まりに来るの」
「いや、今初めて聞いたぞ」
「じゃあ、なおくんは家で預かろうか?」
「お望みでしたら、そのまま差し上げますよ」
「茉理っ!!」
咎めるちひろ。
何時もの事と無視して会話に加わらない直樹。
落ち着いている様に何事も無くコーヒーを飲む直樹。
「あ〜そう言えば直樹、保奈美さんの部屋のダブルベッドはどう?使い心地良い?」
突然の事にブーとコーヒーを噴き出す直樹。
「うわぁ、汚いなぁ」
「ゲホ、ゲホ、お、お前が何でその事を………」
「私もお金出したんだから大事に使ってよね」
「何の事だ?」
「保奈美さん、まだ話してないんですか?」
「うん、未だ話してなかったんだ」
何やら直樹の預かり知らぬ所で話が進んでいるらしかった。
「ねぇ、なおくん」
保奈美が何時も通りの笑顔を直樹に向けて言った。
「結婚しよう、なおくん」



「えっ」
いきなりの事にビックリする直樹。
しかもここは学園だ。
何時の日か自分から言わなくてはと思っていた事を先に、全く考えていなかった。
予想外画のタイミングで言われたので反応に困る直樹。
アチャーと顔を押さえる茉理。
だが次の瞬間には直樹を睨みつける。
(何で先に言わないのよ、この甲斐性無しっ)
そんな事に御構い無く、保奈美がさらに畳み掛ける。
「なおくん、うちにお婿さんに来ない?」
直樹は混乱しているどころでは無い。
何しろ、先にプロポーズされてしまったのだ。
「保奈美、俺のお嫁さんになってくれ」
直樹も後出しではあるが言った。
ここで応えなければ男が廃るというものだ。
「じゃあ、直樹は差し上げますので………煮るなり焼くなり御自由に………」
「うん、ありがたく頂くね」
「じゃあ、直樹の荷物はいずれ送るので………」
「ちょ、ちょっと待て。プロポーズしたからって幾らなんでも………」
反論する直樹に茉理が言った。
「その為にダブルベッドをプレゼントしたのよ」
「なおくん、家にダブルベッドの目録があるから後で見てみる?」
「………いや、遠慮しとく」
何でそんな物があるのかと突っ込む気力も無い直樹。
「茉理、ところで明日は………」
完全に蚊帳の外になっていたちひろが声を掛ける。
「ゴメン、ちひろ。ついこっちの話に夢中になっちゃって………」
えへへとちひろに笑顔を見せる茉理。
「明日のお泊り会なんですけど保奈美さんもどうですか?」
「え、どうしようかなぁ………」
チラチラと直樹を見る。
そして茉理は直樹に悪魔の笑顔を見せていった。
「藤枝直樹さんも一緒にどうですか?」
何時に無い酷さの嫌がらせを仕掛ける茉理。
だがそれも、彼女のツンデレ属性の賜物で本当は直樹の事が気になって堪らない茉理だった。