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名前: 1+1≠2(にられば) [sage] 投稿日: 2007/02/11(日) 21:47:23 ID:M4Ef7F+n
目を覚ます直樹。
外は既に真っ暗になっている。
そして隣に寝ていた保奈美もいない。
服を着てリビングに向かう直樹。
リビングに入るとコトコトと鍋が美味しそうに煮立っている。
「あ、おはよう。なおくん」
保奈美が立て篭もっているキッチンから声を掛ける。
「手伝うよ」
キッチンに入ろうとする直樹。
「もうすぐ出来るから、なおくんはテレビでも見てて」
「そうさせて頂きます」
保奈美は自分が料理している時には直樹をキッチンに入れてくれない。
茉理にはよく手伝わせている。
というか勝手に茉理が手伝いだす。
正に『男子厨房に入らず』といったところ。
寧ろ、女の聖域として締め出されている様にも見てとれる。
「ただいまっ」
大きな声で叫んだのは間違いなく茉理だ。
リビングのドアが開き、茉理が入ってくる。
「あ、保奈美さん、直ぐに手伝います」
「茉理ちゃんが着替えてきた頃には出来てるから大丈夫だよ」
キッチンでの貫禄は十分過ぎる保奈美だった。
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした」
直樹、保奈美と茉理の三人での夕食が終わった。
その時だった。
茉理は直樹を見て、
「はぁ………」
と溜息。
「保奈美さん、今からでも遅くないですよ。保奈美さんなら、直樹より良い
人なら幾らでも見つかりますって」
「でもね、茉理ちゃん。人を好きなるってそんな単純な事じゃないんだよ。ねぇ、なおくん」
「そうだな。体も心も一つにっ痛たたたたっ」
「そんな下品な回答は求めてないんだけど」
椅子に座りながらジト目で直樹を睨みつつ、その足をグリグリと踏みつける。
「はぁ、まぁ、既に何もかも手遅れなのは分かってましたけど………」
そして立ち上がる。
「じゃあ、宿題やらなくちゃいけないのでこれで失礼しますね、保奈美さん」
「茉理っ」
「何?」
「………体重増えた?………ってあいだだっ」
「何か言いましたかしら、お・に・い・さ・まぁっ」
性懲りも無く、再び足を踏まれる直樹だった。