6-301 名前: 1+1≠2(にられば) [sage] 投稿日: 2007/02/05(月) 01:01:10 ID:xRFDtZ1I

保奈美からの相談を受け、時計台の理事長室では対策会議が開かれていた。
「久住君の精力が以前の数倍になっているというのですか?」
非現実的な事を俄かには信じ難い玲。
「そんな事、全く計算に入れてなかったわ」
「元々、一つだったものが元に戻っただけですから………」
当事者が三人集まったものの恭子と結には特にこれといった対策がある訳ではない。
「詰まり、分かれていたもの同士が結合したけどそれは元の能力以上を得てしまったという事ね」
「しかも長年に渡って分離していたので半分でしかなかったものが完全に一人の人間
として別々に行動していた」
「もしかすると………」
もったいぶる様に結が口を開く。
「これはあくまでもわたしの考えなんですけど………久住君と祐介君の二人の融合は
1+1ではなく、1+αを2乗したものに………」
「要するに、久住×久住という式になるのかしら」
恭子と結が意見を飛ばしあっていた時、玲は冷静に対応方法を考えていた。
「二人とも、私は私なりに考えをまとめたのですが………」

そして翌日の放課後。
何故か美琴が理事長室に呼ばれた。
そこには美琴と玲しかいない。
「天ヶ崎さん、元の時代に戻るか今の時代に留まるのか………決めてもらえたかしら………」
「ごめんなさい………未だ決めかねてます。心の整理が未だ………」
「………そう………御免なさい………少し無神経だったかしらね………」
クラスの事、天文部での事、寮での生活………
わずか数ヶ月の事なのに今ではそれが自分の全てになってしまっている。
そして祐介という家族の存在も消えてしまった。
(でも、祐介は久住君の中に存在している)
矛盾の中で葛藤の日々が続いている。
(やっぱり、帰ろう。お父さんとお母さんに祐介の事、報告しないとね)
「天ヶ崎さん、天ヶ崎さん」
「は、はいっ」
ハッと我に返り反射的に返事をしてしまう美琴。
「な、何でしょう?」
「ところで天ヶ崎さん、あなたに質問があります。とても重要な質問です」
「は、はいっ」
「では単刀直入に聞きます!」
何か大変な事実を聞かされるのだろうか?
ゴックン
思わず唾を飲む美琴。
だがそれは彼女の予想を大きく外れた質問だった。
衝撃的といえば衝撃的ではあるのだが………
その言葉が玲の口から発せられた。
「貴方は久住直樹君の事が好きですか?」