6-86 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/12/20(水) 21:11:31 ID:OVfQ85cW

 「………なおくん?」
 「………………………………」
 「なおくん、こっそり後ろから忍び寄ってもバレバレだよ?」
 「な、なんでバレるかなぁ?」」
 「う〜ん……」夕暮れ時の渋垣邸、すごすごとリビングに戻ってゆく直
樹に振り返る事もなく、コンロに向かいオタマを片手に持ったまま天を仰
ぐように言葉を探す保奈美「………エッチっぽい息遣い……かな?」
 「………嘘でも良いから、もちっと優しい言い方をしてくれ……」
 「じゃあ……愛の力。」
 「だったら気付かない振りをしてくれよぉ!」
 「甘えた声を出しても駄ぁ〜目! もうすぐ出来るから、大人しく待っ
ててね?」
 「いや、別につまみ食いがしたかった訳じゃないんだが……」
 「どっちにしても駄目だよ。お料理で火を使ってるんだから、変なコト
したら危ないでしょ?」
 子供を諭すような声でソフトに直樹を叱る保奈美。口では直樹を非難し
つつも、基本的に甘々な彼女は振り向いて視線で制したり全身から拒絶す
るような気配を放ったりはしない。きっと直樹が悪戯しても、困ったよう
な顔をするだけで突き放したりはしないに違いない。
 「でもなぁ。」
 少し離れたところから眺める保奈美の後ろ姿。細い肩と背中を覆い隠す
ように伸びた長く柔らかそうな髪と、体を動かす度にユラユラと揺れるロ
ングスカートのお尻。そしてピッタリと閉じた脚の綺麗なふくらはぎだけ
がスカートの裾の下から見え隠れしている光景は罪作りなほどに魅惑的な
のだ。ましてや保奈美の裸エプロン姿を知っている直樹は……



 「なぁ保奈美ぃ〜?」
 「だから、もうちょっと待ってって…………きゃっ!?」
 「あー……良い匂いだ。やっぱ保奈美の髪は最高だな!」
 「な、なおく………子供じゃないんだから、我慢してよぉ……」
 「子供じゃないから我慢できないんだって。保奈美が可愛すぎるのがい
けないんだぞ?」
 「そ、そんな言い方はズルイよ。駄目だってば、なおくん……」
 弱々しく抵抗しながらも、保奈美は震える指先を必死に伸ばしてコンロ
の火を止める。
 「な? 良いだろ保奈美?」
 「だから、駄目って……ふぁっ、耳はくすぐったいから駄目だよ。なお
くんっ……手が……胸……んあぁん!!」
 「ちょっとだけ、ちょっとだけだから………な?」
 「ほ、ホントにちょっとだけ……だよ? ちょっとだけだからね?」
 「おうともよ!」
 「あ……なおくぅん………」



 「あのぉ………茉理?」
 「なに?」
 「えっと、どうして茉理が、その……私のお部屋でテレビ見てるの?」
 「そりゃ、そのまま泊まっていくからに決まってるでしょ? 良いよね?」
 「え? え? えぇっ!?」
 「大丈夫だいじょうーぶ、差し入れもタップリ持ってきたから。なんなら天
ヶ崎先輩とかも呼んで、みんなでプチパーティしようよ?」
 「だ、だからそういうことじゃなくって………」
 「あーもー! 飲まなきゃやってらんないっつーの!」
 「ま、茉理ぃ………」