5-763 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/12/17(日) 02:20:16 ID:2a+XtRG5

 「こうやって手を貸してる私が言うのも何だけどさ、クリフも懲りな
いって言うか物好きだよね〜?」
 ぐ〜るぐると巨大な釜を掻き回しながら呆れ顔のラピス。
 「これでも一応は責任取ってるつもりなんだけどなぁ。いくら事故と
は言え、あのままで済ませちまうのも寝覚めが悪いって言うか、最近は
叔父貴も五月蝿くなってきて色々大変なんだよ……」
 「そりゃクリフなら素性もしっかりしてるしシンフォニアの外の事も
知ってるし、おまけに剣を持たしたらエルに負けず劣らずでレティにも
好かれてるみたいだから、威厳とか教養が全然無いのを我慢さえすれば
世継ぎ候補として申し分ないんだろうけねぇ。」
 「……頼むから褒めるか貶すかどっちかにしてくれ。怒って良いのか
喜んで良いのか判断に困る……」
 「クリフはクリフだって言ってるだけだから、あんまり深く考えない
方て良いと思うよ。色々な意味で。」
 「……………やっぱ遠回しに馬鹿にしてるだろお前?」
 「とか何とか言ってる間に完成っ………と。本当に二人とも大事なら
、こんな薬に頼らないで地道に口説けば良いのに。」
 「そこが難しい所なんだよ。フィーもレティも、どっちかっつーと相
手に譲っちまうタイプだからな。両方一遍に……と考えたら一番手っ取
り早くて確実な方法がコレって事だ。いくら何でも突然ハーレムこさえ
る訳にもいかないだろ?」
 「もうクリフは皇太子なんだし、いっそのことそれも悪くないんじゃ
ない? エルとかディアナだって満更じゃないんでしょ?」
 「………………………いや、そりゃ拙いだろやっぱ。」
 「じゃあ今の間はなんなんだろうね? はいこれ。今更余計なお世話
だと思うけど、一旦混ぜ合わせちゃったら急激に気化するから、くれぐ
れも……」
 「前回の二の舞にならないように濃度には気をつけるよ。話をスムー
ズにするために使うんだからな。」
 「なら大丈夫かな。くれぐれも気をつけて扱うんだよ?」



 「……さて、と。また瓶をひっくり返したら今度こそ取り返しが付か
なくなるからな。慎重に少しずつ…………って、もう来たのか? 開い
てるから勝手に入って良いぞ。」
 「こ、こんな時間に済まないけどクリフ……って、いま、何か隠さな
かったか?」
 「よ、よぉエル。どどどどうしたんだ突然!?」
 「………なぁクリフ、私はクリフの何だ?」
 「そりゃぁ………あれだ、護衛で剣の練習相手で宮中のサポート役で、
いつも頼りになる友……」
 「そして幼馴染みでお前のことは一番……とまではいかないが、良く
知っているつもりだ。特にお前が良からぬコトを考えているときの癖な
らフィーやレイチェルさんよりも詳しい。そんな私に隠し事が出来ると
本当に覆っているのか?」
 「べ、別に悪巧みをしてる訳じゃないぞ? これは、人間関係を円滑
にしてだなぁ……」
 「なら……背中に隠し持ってるソレを見せろっ!」
 「だから話を最後まで………っていうか落ち着け! これは取り扱い
が非常に難しい薬でうあわわわっ!?」
 「良いから黙って寄こせ、どうせお前のことだろうから姫様を巻き込
んでロクでもないことを………あぁっ!!」

 (……かっしゃぁぁぁぁぁぁん……)

 「お兄ちゃん待った? ごめんね? ちょっと用事が……あれ?」
 「あれ、シルフィーさんも一緒だったんですね。 実は途中でディア
ナに会ったのでいっしょ……に……に……」
 「……お二人とも、どうかなさったんですの? あら、なんだか甘い
匂いが……」

 こうして、シンフォニア王国王城の一角にハーレムが出来上がった。