6-14 名前: 君が望むはにはに 祐介×文緒その4 [sage] 投稿日: 2006/12/13(水) 22:05:31 ID:3YZDY/7v

「なおくーん。おはよー」
 声に目覚める。いつもの声。
 いつもの?
 いや違う。覚醒する意識で祐介は否定した。
 この声に起こされてきたのは久住直樹。祐介ではない。
 だが目を開けると、確かに保奈美がそこにいた。直樹の幼馴染、そして恋人。

 ―どうしてここに?

 そう言おうとしたが声が出ない。起き上がろうとしたが体が動かない。
 そして気付いた。脚の感覚が無い。目を下に動かせば、膝から下が無かった。
 手も動かない。肩から先が無かった。
「どうしたの? なおくーん」
 保奈美が頭を抱えて胸に当てる。豊かで柔らかい胸。
「うふふ」
 抱いた頭をゆっくりと降ろし、保奈美はにこやかに笑って見下ろす。声を出せず、手足も動かない恋人を。
「ほら。なおくん。朝ごはんだよ」
 そして保奈美は箸で肉を摘んで差し出す。朝から焼肉。
「んーんー」
 唸って首を振るが、その頭をがっしりと押さえて、無理矢理に肉片を口に運び込んだ。
「ダメだよー。好き嫌いしちゃ」
 うふふ、と笑い、保奈美は彼の頭をよしよしと撫でる。
「ずっと、ずっーと、わたしが世話してあげるからね」
 そしてちゅっと唇にキス。まだ肉を口に含んだ彼に。
「これからずっと一緒だよ、なおくん。お肉もたくさんあるからね」
 にっこりと笑う保奈美。その背中に彼は見た。
 お腹に包丁の突き刺さった文緒。そのお腹は大きく膨らみ、そして削られている。
「お腹が空いたら言ってね。またあの女と胎児のお肉取ってあげるから。あ、もう喋れなくしちゃったんだっけ。てへ」
 ぺろっと舌を出して保奈美は笑った。血に濡れた頬で。


「わあああああああぁぁぁぁーっ!」
「きゃあああああああぁぁぁーっ!」
 悪夢から目覚めると、現実も悲鳴から始まった。
「文緒!?」
 ばっと飛び起き、悲鳴の聞こえた方向、窓の近くで座り込んで叫んでいる文緒を見る。
「どうした!」
 すぐに駆け寄り、肩を抱いてやる。全裸で。
「あっ……アアッ……あそこ……」
 青い顔でぱくぱくと口を開閉させ、文緒は窓の外を指差した。震える指先で。
彼女がこんなに動揺しているなんて初めて見た。直樹の記憶にもない。
「そ、そこに……藤枝さんが…」
「なに!?」
 さっと祐介も蒼ざめる。
 窓を見るがそこには誰もいなかった。
「誰も……いないぞ」
 念のために窓の側に寄って見てみるが、ベランダにも上下左右にも誰もいない。ここはマンションの十階。
だが窓を開けることはしなかった。いや出来なかった。
 窓を開けると、その瞬間に保奈美が飛び込んできそうで。
「誰も……いない。安心しろ」



 カーテンを閉め、まだ震えて座り込む文緒の頭を抱き、祐介は言う。自分にも言い聞かせるように。
「う、うん……」
 彼の腕に抱かれ、少しは安心したか、文緒も徐々に平静を取り戻す。
 そう。あれはきっと見間違い。そういうことにしよう。そして、
「あ、あの祐介君」
「服……」
「あっ」
 言われて祐介も気が付いた。昨日はやってそのまま寝たんで裸だ。
「いいよ。このままで」
「きゃっ」
 裸のまま文緒を抱えて運ぶ。昨日ずっと愛し合い、早速汗の染み込んだベッドに。
 そのベッドにまた文緒を優しく寝かせ、上に覆い被さっていく。
「も、もう……。朝から」
するの? と続けようとした文緒の口を塞ぐ。キスで。眼鏡に当たらないように顔を斜めにずらして。
 背中に手を回して体全体で抱きしめ、口を離して祐介は耳元で囁く。
「忘れさせてやる。怖い事は全部」
 そうだ。あんな夢なんか忘れよう。自身に言い聞かせ、祐介は文緒をしっかりと抱きしめ、またキスする。
「ん……」
 目を閉じてキスを受け、文緒もまた彼の背中に手を回した。

 愛し合う二人を見ている者は誰もいない……はず。多分。と思う。窓の外、
カーテンの隙間から見ている瞳……はきっと幻だろう。

 恭子先生と結先生の用意してくれたマンションに住むようになって一週間が過ぎた。
その間、とっても忙しく、そして充実した日々を過ごす。
 まず文緒の両親にご挨拶。
 予想通りというか、やはりこっぴどく怒られた。
 それでも祐介の熱意、文緒との愛情、そして恭子先生と結先生の後押しと協力で何とか説得できた。
 特に恭子先生。保奈美を止める為に左腕とあばら骨を骨折し全治2ヶ月の大怪我をしたのに、
無理を押して祐介と文緒と一緒に何度もお願いに上がった。
今や祐介の親代わりとなった恭子先生は、「面倒は全て私が見ます」と両親に深々と頭を下げて嘆願。
もちろん祐介も何度も頭を下げた。
 結局、すでに文緒が妊娠したという既成事実もあり、最後は両親も承諾した。
 ただし、祐介にこう念を押した。

「必ず、娘を幸せにしてほしい」と。

「はい!」
 そして祐介も「必ず、幸せにします、いえ幸せになります」と約束した。それが他の女を不幸にする事でも……。
 そして今日、文緒の実家からマンションに届いた荷物を整理する。それは文緒の嫁入りの引っ越しだった。
そして怪我した恭子先生の代わりに手伝いにやって来たのが、祐介の姉。
「でも驚いたな。天ヶ崎さんが祐介君のお姉さんだったなんて」
「こっちもだよ〜。祐介と秋山さんがこんな仲になってるなんて」
 引っ越しも一段落付き、お茶を飲みクッキーを食べながら、美琴と文緒はにこやかに談笑していた。
 元々誰とでも仲良しになれる美琴。委員長の文緒とも仲良しさんだった。



「でも祐介もひどいよ〜。こんな大事なこと早く教えてほしかったのに」
 ぷー、と頬を膨らませる姉に、祐介はふっと肩をすくめ、
「姉貴に言ったって、どうにもならないだろ。引っ掻き回すだけで」
「え〜。そんなことないのにー」
 ふふふ、と仲の良い姉弟に今度は文緒が笑う。
 それは結先生も同じだ。教え子が仲良くしてるを見るのは、とても楽しくて嬉しい。

 ちなみに祐介が未来から来たこと、そして直樹と分離した存在で今は一つになっていることなどは、まだ文緒には秘密にしてある。
妊娠中の彼女に余計なストレスをかけたくなかったからだ。いつか機会を見て話すつもりではいる。

 ずずっとお茶を飲みクッキーを食べる、祐介、文緒、美琴、結先生の四人。
恭子先生がいればコーヒーを淹れてくれたのだろうが、怪我で療養中だ。怪我した体で無理してくれた恭子先生には、祐介も文緒もとても感謝している。
「あっ。このクッキーおいし〜」
 キラキラと美琴の目は輝いている。
「そうですね。プリンもいいですけど、これもなかなか」
 結先生もとても満足そうだ。
「こんなおいしいクッキーを焼いてくれる奥さんなんて。祐介は幸せ者だよ〜」
「え?」
 同じくクッキー食べていた文緒がきょとんと手を止める。
「私じゃ……ないわよ」
「えっ? でもこれ手作りだよね」
 そう。四人が食べているクッキーは確かに手作りだ。それも焼き立て。このテーブルにいつの間にか置かれていた。
 視線が結先生に集まる。
「えっと。私でもないですよ」
 結先生ならプリンのはずだ。
 もちろん祐介でもない。四人の頭にでっかい「?」が浮かぶ。
 恐る恐る祐介がクッキーを手に取り、今度は慎重に味わって食べる。
「……!」
そして全身がサッと凍りつく。この味は…!
「あっ。これ、保奈美が作ったクッキーみたい」
 美琴が同じ感想をあっさりと言ってのける。凍りついた祐介がガクガクと震えた。
「きゃ、きゃあっ!?」
 文緒が声に出して怯え、結先生さえも蒼ざめていた。
「みんなどうしたの? もふもふ〜」
 ただ一人、美琴だけが能天気にクッキーを食べ続けていた。
 祐介が文緒の肩を安心させるように抱きしめ、「大丈夫」と囁いた。
「ん〜?」
 さすがにおかしいと気付いたのだろうか。美琴がクッキーを頬張ったまま首を傾げる。
 もふもふとクッキーを呑み込み、
「あ、そういえば、保奈美どうしたのかな?」
 サーと蒼ざめ、クッキーを見下ろす一同。
「も、もうイヤっ!」
 耳を抑え、文緒が悲鳴を上げる。その頭を祐介は抱きしめよしよしと撫でてやった。
そして目で姉に訴える。その話はするなと。
「ん〜」
 何だかよく分からないが、美琴は新たなクッキーを口に入れ、もふむふと食べる。結局クッキーは美琴が一人で食べ尽くした。誰が置いたか分からないクッキーを。



「それじゃあ。おいとましましょうか。新婚さんの邪魔したら悪いですし」
「う〜ん。そっかー。それじゃあ祐介。またあとでね」
 引っ越しもあらかた片付き、結先生と美琴は帰る事にした。あれからずっと文緒は元気がなかったが、それは祐介に任せるしかない。
「祐介君」
 玄関で結先生に呼ばれ、祐介は頭を下げる。足首を伸ばし結はそっと耳打ちした。
「藤枝さんのこと。私で何とかしてみます」
「えっ?」
 祐介は小さな結を見下ろし、
「大丈夫……なんですか?」
 あの恭子先生でさせ重傷を負ったのだ。結先生だったら下手すると命に関わる。
「大丈夫です。こう見えても私は担任ですよ」
 それは知ってる。直樹の記憶にある結先生はそれなりにしっかりしていた。
「無理は……しないでください」
「はい」
 そして結先生は美琴を連れて部屋を出た。
「祐介〜。またねー。秋山さんも」
 美琴は最後まで能天気だった。

 マンションを出ると結はふと足を止める。
「天ヶ崎さん。すみませんが先に行っててください」
「へ?」
「少し用事が出来ました」
「は〜い」
 素直に美琴は一人で帰って行く。
 彼女の揺れるポニーテールが見えなくなると、
「藤枝さん。出て来てください。お話があります」
 結の横のマンホールの蓋が開き、さっと美少女が現れる。保奈美だ。
「さすがですね。野乃原先生」
 そしてまたマンホールの蓋をきっちりと閉める。かなりの重量があるはずだが保奈美は軽々と扱っていた。
「あなただったんですね……やっぱり。あのクッキー」
「はい。お味はどうでした?」
「とても……美味しかったです」
「よかった。なおくんも喜んでくれたかな」
 そう語った保奈美はとても嬉しそうで。まるで恋する乙女。いやそのもの。
 結の小さな胸がチクッと痛む。
「お願いがあります。あの二人を許してやってください」
「許す?」
 保奈美はこくんと首を傾げる。長い髪がさらさらと揺れた。
「一体何を許すって言うんです? なおくんはわたしの恋人ですよ」
「……今の彼は祐介君です。あなたの気持ちは分かりますが」
「分かる?」一転して保奈美の表情が険しくなった。「何が分かるって言うんですか!」
 険のある表情、そして暗い迫力に結は思わず息を呑んだ。
「あの女さえいなければ! 今頃なおくんと一緒にいたのはわたしだったのに!
そうよ! わたしなのよ! わたしのはずだったのに!」
 キッとマンションを見上げる。その突き刺さるような視線の先には二人の部屋。
もうずっとカーテンの閉まったままの窓。その向こうで二人は愛し合っているはずだ。
「許さない……あの女だけは……」
 周囲の空気が弾ける。保奈美の気に空気が圧されたのだ。



「待ってください!」
 保奈美を中心とした風に髪を揺らし、結がその前に立つ。先生として。
「あなたの気持ちは痛いほど分かります……いえ、確かに分からないかもしれません。
でも。秋山さんも望んでこんな事になったのではありません。お腹には子供がいるんですよ」
「そう……本当なら、子供を産むのもわたしのはずなのに……」
 そっと自分のお腹を撫でる保奈美。平坦なお腹には子供などいない。文緒のお腹もまだ平坦なままだが、いつかは膨らむだろう。
「産ませる……もんですか]
 子供が出来たらなおくんは戻ってこない。それは確信であった。
「藤枝さん!」
 結先生が小さな声で精一杯の声を張り上げる。ほとんど悲鳴だった。
「どいてください先生。怪我しますよ……仁科先生のように」
「いいえ。どきません。生徒を指導するのは先生の務めです」
「わたしは……間違っていません」
 ゆらっ、と情念を身に纏い、保奈美は歩を進める。二人のいるマンションに。
オートロックもセキュリティも何の役にも立たない。
 その前に立ちはだかるのは、ただ小さな結先生のみ。
 幼い顔立ちに似合わない、キリッとした瞳で保奈美を真っ直ぐに見据え、
「藤枝さん。私は先生として見逃すわけにはいきません。生徒が過ちを犯すのを」
「間違っているのは……あの二人です」

 マンションの前で。生徒と先生がバチバチと火花を散らした。
 見ている者がいれば、生徒と先生が逆に見えたかもしれないが。

 そうとは知らず、部屋ではソファに座った祐介と文緒が抱き合っていた。
 ただ抱き合うだけでずっと過ごしている。こうしている間は安心できるから。
「あの……祐介君」
 ふと腕の中で文緒が言う。
「うん?」
「ちょっと、ね……。着替えるから待ってて」
「ん」
 祐介が固く抱いていた手を離すと、文緒がとてとてと別室に向かう。赤い顔で。
その恥じらいの様子に祐介はニヤニヤと笑った。何が出て来るか楽しみな顔。
 しばらくして―
「えっと」
 ドアから文緒が顔だけを出す。やっぱり赤い顔で。掛けていた眼鏡は外していた。
「なんだよ」
「ど、どうかな」
と、恥ずかしながら出て来た文緒は、蓮美台学園の制服を着ていた。手に弓矢を持って。
「……なんだ。学校の制服か」
「なんだとはなによ。久しぶりで緊張したんだから」
「ぷっ」と笑った祐介だが、確かに久しぶりの制服姿はなんだか新鮮だった。
「うん……。可愛いよ」
「もう」と文緒も満更でもなく、制服のスカートを翻して、ソファに座ったままの彼に矢を差し出す。
「憶えてる?」
「ああ……。俺の、尻に刺さった矢だろ」
 夜の学園を徘徊してた祐介。その祐介を捕まるために見張っていた文緒が放った矢だ。
 思えばあれが運命の出会いだったのかもしれない。



「でも、驚いたわ。祐介君たら怖い顔で、『俺に触るな!』なんて言うんだもん」
「そうか?」
 今はそんな事もなく、祐介は文緒の手を引いて座ったまま膝の上に乗せて抱きしめる。
「俺だって驚いたさ。いきなり弓持った女の子が追いかけてくるんだから」
「悪さするからよ」
 手に持ったその時の弓でこつんと頭を叩く。
「でもそうしなきゃ出会わなかっただろ?」
「そうね」
 クスクス、と笑いが漏れる。
「これね。実家から持ってきたの」
 制服と弓道部で使っていた弓矢。大事な思い出がいっぱいに詰まった品。
「そんなの持ってきて。誰かを撃つのか?」
「そうよ。祐介君が悪さしないように」
 弓を持ったまま彼の首に手を回して抱きつく。
「それに……悪い虫が付かないように」
「ん……」
 祐介の頭に、保奈美に弓矢を向ける文緒の図が浮かんだ。そしてブルッと震える。いつか実現しそうで。
「大丈夫よ」
 震えが伝わったのだろうか。ニコッと文緒が耳元で笑う。
 それからピョンと彼の膝から降り、弓矢を置いて、
「ねえ。見て」
 スカートを捲り上げると、

 パ ン ツ は い て な い。

「ぐはっ」
 この前の保奈美もそうだが、スカートの下にパンツ穿いてないのをいきなり見せられると、その、ダメージがでかい。
「こ、こら。女の子がそんなことするもんじゃありません」
「もう女の子じゃないもーん」
 祐介の手を取り、文緒がまたニコッと笑う。赤らんだ頬、潤んだ瞳で。
「祐介君が……悪いんだよ?」
「そっか。じゃあ責任取らなきゃな」
 ソファから腰を上げ、腰に手を回して抱き寄せる。
 ちゅーとキスして、
「結婚、しようか」
「え?」
一瞬ぽかんとなった文緒をくるっと回転させて、ソファに押し付けた。
「きゃっ」
 そして制服姿の文緒を抱きしめ、耳元でまた囁いた。
「結婚しよう文緒」
「え……あの、その……」
 顔を離し、彼が正面から見つめてくる。
「うん……」
 小さく頷き、目から涙がこぼれた。
「泣くなよ……」
「泣くよ…泣いちゃうよ……こういう場合」
「そうか……」
 ぽろぽろこぼれる涙を隠すように胸に顔を埋める。
 その頭をよしよしと撫で、祐介は続けた。
「いつかさ……小さいけど、ちゃんと式を挙げよう。二人きりでも」
「うん…うん……」
 胸にじんわりと涙が広がる。幸せ涙が。



「祐介君……」
 胸に顔を埋めながら、文緒の手が彼の下半身に伸びる。そしてチャックを開けて中に指を入れた。
「お、おい……」
「任せて」
 そしてパンツの上から、あったかい膨らみを きゅっと人差し指と親指で挟んだ。
「くっ……」
 しなやかな指で挟まれ、つい腰が浮く。
「ふふ……」
 彼が感じてくれるのが嬉しくて。ついつい力が籠もってしまう。
「痛……」
「あ、ごめん……」
 そこは敏感であり、急所でもある。文緒は力を抜き、布の上から優しく撫でていった。
「あっ……」
 思わず祐介の口から声が漏れる。
 文緒の手の中で、モノがどんどん膨らみ、パンツの布がパンパンに張ってテントのなった。
「かわいー」
 思わず声に出してしまう。
「文緒……もう」
「挿れたい?」
「ああ。欲しい」
「よろしい」
 正直な祐介にふふと笑い、文雄は手でパンツをずらした。と、チャックからそびえ立つ彼の性器が飛び出す。
その根元を触ると、ザラザラと毛の感触がする。陰毛だ。そしてぶら下がる2つの膨らみ。金玉。
「そこ……ちょっと……」
 金玉までグニグニと揉まれ、祐介はぐいっと腰を回転させてしまう。竿もビクンビクンと震えた。
「ふふ」
 金玉を掴んだ指をぺろっと舐め、文緒はスカートをまたたくし上げた。その中央の脚の付け根、秘所はテカテカと濡れている。
「きて……」
 ソファに押し付けるように抱きしめ、すぐさまスカートの中に腰を入れた。
「あんっ」
 ごく自然に性器が惹かれ合い、棒が壷に収まり、結ばれる。
 すっぽりと根元まで入る彼を感じ、文緒は腕の中でハーハーと熱い吐息を漏らした。
すぐ耳元で同じく興奮した彼の吐息を感じる。
「ああっ……はっ、はっ、はぁ……」
 ソファに腰を座らせたまま、脚を彼の腰に回し、文緒はしっりとしがみついた。
「はぁ……はぁはぁはぁ……はうぅ!」
 祐介が腰を突く度にパンパンと肉がぶつかる音、じゅくじゅくと淫らな音が響き、
しがみついた文緒の全身が揺れる。
「あっ……あはぁ……はああぁっ……」
「結婚しよう……文緒……」
 一つになりながら、また同じ言葉を繰り返す。
「うん……結婚……」
 結婚、という言葉がキーワードになったかのように。
 膣が急速に絞まり、肉竿を搾り取った。
 ドピュッ、と精液が飛んだ。膣内に。



「ああぁ……はああっ……」
 真っ白になり、全身が極限まで緊張する。
「文緒……文緒……」
 同時に達し、射精を続けながら、恋人は深く結ばれていた……。

 ピーポー ピーポー

 不意のサイレンに文緒がビクッと震え、胎内の肉竿にさらに刺激を与える。
「くっ……」
 射精し尽した祐介は腰を離し、結合部からドロッと精液がこぼれ、太股を濡らした。

 ピーポー ピーポー

 救急車のサイレンだ。それがマンションのすぐ前で止まる。
 嫌な予感がする。
 モノをしまってチャックを閉じ、祐介はすぐ向かおうとした。
「待って!」
 その祐介の腕を掴み、文緒が引き止める。スカートの中から精液を流しながら。
「行かないで……お願い」
「……分かった」
 文緒の目に溜まった涙が彼を引き止める。
 祐介はまた文緒を抱きしめ、ソファに押し倒した。

 ピーポー ピーポー

 キスする二人の耳に離れていく救急車のサイレンが聞こえた。

 救急車で運ばれていく患者。それは血にまみれた結先生だった。
 頭からドクドクと血を流し可愛い顔を染め、両脚はあらぬ方向に曲がっている。脚を折られたのだ。
 そして結先生を血の海に沈めた張本人の保奈美は、少し離れた場所から見ている。
「ふふ。手こずらせて」
 ぺろっと舐めた拳はやはり血に濡れていた。

「うん……ん……んぅ……」
 ソファの上、キスしながら抱き合い、祐介と文緒は深く結ばれていた。
 結合した秘所からはたっぷりと白濁液が流れている。
 そして正常位で結ばれながら、祐介は激しく胸を揉んでいた。制服の上から。
「ゆ、祐介君……んぅ」
 眉を曲げ、文緒が赤い顔で喘ぐ。そして嘆願した。
「お願い……破いて……」
「え?」
「制服……破いて。いいから」
 揉んでいた手で、力任せにビリリと引き裂く。その下も何も着けていなかった。
ピンクに輝く乳首はピンと尖っている。
 頭を下げ、その乳首に噛み付いた。
「あっー!」
 歯を立てられ、文緒が白い喉を仰け反らせる。
 一端歯を離し、今度は舌でぺろぺろに舐めた。
「アアッ! アウゥ! ……ハァ、アアアアァー!」
 喘ぎ声が大きくなる度に、肉棒を包んだ膣がきつく締め付ける。
 そしてまた、ドクンッと射精する。もう何度目だろう。



 いつまでそうしていただろう。
 ソファで寝そべりながら、二人はいつまでも抱き合い続ける。
 もう何もしなくても、こうして繋がっているだけでとても気持ちよくて。身も心も蕩けそうだ。
「うん……」
 ふと文緒は顔を上げ、カーテンの外に目をこらす。すっかり暗い。もう夜のようだ。
「なおくん……うんぅ。なおくん」
「ん?」
「もう……夜だよ」
「そうか……」
 名残惜しそうに祐介は腰を離してソファから起き上がる。
 結合部からドロッと白濁液が溢れ、足下までドロドロに汚していった。
「見て……こんなになっちゃった」
 スカ−トをたくし上げ、わざわざ見せ付ける文緒に、祐介はキュンと胸が高鳴った。
その上の制服はビリビリに破かれ、乳房を晒している。
「良かったのか?」
「うん、いいの。もう必要ないから」
 えへへと彼女は笑い、
「これからは……祐介君のお嫁さんだもん」
「そっか……」
 腕に抱きつく文緒。その短めの髪を祐介は優しく撫でてやる。
「今日の夕食……何にする?」
「何でもいいよ」
「それが一番困るの」
 二人、笑いあって、キス。

「あれ?」
と、鼻に良い匂いが漂ってくる。祐介はクンクンと匂いを嗅いで、
「なんか……イイ匂いがしないか」
「本当だ……」
 匂いの元は台所だ。
 固く手を繋いで台所に向かうと、
「あ、なおくん。今日の夕食はシチューだよ」
 保奈美が料理していた。