5-682 名前: はにはに 祐介×文緒その2 [sage] 投稿日: 2006/12/07(木) 01:29:50 ID:HDbdnOvz

「どうして! どうしてなの、なおくん!」
「すまない……俺にはこうするしかないんだ」
「いやっ! そんなの嫌よっ!」
「ごめん。ごめんな保奈美」
「駄目っ! 行かないで! なおくん、行っちゃイヤーっ!
 私を捨てないでっ! なおくん! なおくーん!」
「ごめん……」
 それだけ言い残し、直樹は保奈美の前から姿を消した。幼馴染で恋人の少女を捨てて。
 そして彼は愛する人の元に向かう。祐介として。その女性は祐介の子を身篭っていた。

 委員長こと文緒が唐突に学園を退学した。
 誰もはっきりとは言わなかったが理由は察しがつく。妊娠したのだ。
 時を同じくして久住直樹も人々の前から姿を消した。恋人の保奈美も、家族のように過ごした渋垣家の人達とも別れて。

「よいしょっと」
 蓮美台学園の寮である蓮華寮。その自室で、いや自室だった部屋の掃除を終え、文緒は汗を拭う。今は私服で眼鏡着用。
最後に綺麗に掃除しておきたかったのだ。
 もう荷物は何も残っていない。全て実家に送った。
 妊娠を打ち明けた時、実家の両親は猛烈に反対した。産むのを。当然だろう。
まだ学生だというのに子供を産むなど。それも父親が誰か分からない。文緒は父親の事は一切誰にも言わなかった。
両親の気持ちは分かる。だが文緒の想いはしれ以上だった。産みたいという気持ち。
 渋々ながら両親も何とか納得してくれた。反対すれば文緒が家を出ると言ったからだ。そして本当に家を出て、一人でも育てるつもりなのは両親にはよく分かっている。
自分達が育てた子だ。そういう女だと親だからこそよく分かる。
 そして文緒は学園に退学届けを出した。さすがに大きなお腹で学園には行けない。

「ふふ」
 綺麗さっぱり片付いた部屋を見て、薄く笑みを浮かべ、文緒はお腹をさする。
 まだ平坦なお腹。だがそこには確かに新たな命が芽吹いている。愛する彼との愛の結晶。唯一の愛の思い出。
「二人で……生きていこうね。お母さんが付いてるから」
「三人で、だろ」
 不意の声がかかる。
 声のした方を見て一瞬息を呑む。彼は愛した人にとても似ているから。
「久住くん。どうしたの、まだ授業中でしょ」
 かつての同級生に文緒は生真面目に言う。まるで委員長だったあの頃のように。と言ってもつい最近までそうだったのだが。
「ごめん。俺のせいで」
「え?」
 きゅとんとする文緒を、祐介はしっかりと抱き寄せる。白いヘアバンドを付けた頭を。
「あ、あれ?」
 眼鏡の奥の瞳が丸くなる。そして文緒は抱き寄せられたまま、呆然と見上げた。
「もしかして……祐介君!?」
「ごめん……」
 今はそれだけしか言えなくて。ただただ文緒を抱きしめる。優しく、暖かく。
「……ううん」



 そして文緒も彼の背中に手を回して抱きついた。
 自分を包んでくれる彼はとても暖かくて、そして優しかった。
「……祐介君、なんだよね」
「ああ」
 眼鏡が曇る。潤んだ涙で。
 さよならではなく再会の涙。
涙の伝う顔を見下ろし、祐介は顔を下げた。文緒も顔を上げる。
 そして二人の唇が重なった。
 さよらならではなく再会のキス。
 そして二人の愛は再開する。

 どうしてだろう。
 ただ唇が触れ合っただけなのにこんなに暖かいのは。
 ううん。暖かいよりもっと。もっと熱い。体が焼けるぐらいに。

「はぁー」
 長い長いキス。大きく息を吐き、文緒は改めて祐介を見上げる。そしてそのほっぺたに両手で触れた。
祐介は薄笑いを浮かべ、その手を握る。
「大丈夫。ここにいる」
 そう。俺はここにいる。文緒とともに生きる為に。
 久住直樹としての生を捨てて。

 わっ、と泣き出して、文緒が胸に飛び込んできた。
「ばか」
 胸で泣く文緒が言う。
「ごめんよ」
 抱きとめる祐介が言う。
 そのまま、二人は寮の部屋に入っていった。掃除したばかりの元文緒の部屋に。
 がちゃんとドアを閉め、
「ごめんね。何もなくて」
「いいよ。引っ越すんだろ」
 抱き合ったまま、何もない部屋の中央で二人はクルクルと歩きながら回る。
 本当に何もない部屋だけど。
 今の二人にとっては世界のどこよりも輝いている場所。

「これから……どうするの?」
 文緒に聞かれ、祐介はニヤッと笑った。
「どうしようか」
 祐介の返答に文緒も笑みを浮かべる。
「とりあえず、文緒の両親に会わないとな」
「怒られるよ」
「怒られに行くんだよ」
「もう」
 二人、クスクスと笑う。
「あ、祐介君の両親……じゃなくて、お姉さんにも会いたいな」
「そう? 能天気で明るいだけの姉貴だよ」
「逢いたい!」
「そっか……きっとビックリするよ」
「えー、なんで」
「なんでかな」
 見下ろした眼鏡は濡れていた。涙で。
 そして濡れる赤い唇にまた口を重ねる。
「んっ」
 文緒は目を閉じ、祐介を感じた。唇から全身を。



 口を離すと、祐介は顔を下げ、文緒のお腹に耳を当てる。
「この中に……俺の、俺達の子がいるんだよな」
「うん……」
 赤ら顔で文緒はお腹の上の祐介の頭を両手で抱む。
 耳を当てた祐介は、その柔らかいお腹の向こうに確かな鼓動を感じる。命の鼓動。
それは文緒のものだろうが、確かに赤ん坊の鼓動も含んでいるのだ。
 こうしてるとなんだか幸せ。
「あのね……」
 言いにくそうな文緒に祐介が顔を上げて促がす。
「なに?」
「今はまだ……その、しても大丈夫、だよ」
 はらっ、と胸のボタンを取ると、白いブラが垣間見えた。
「大胆……」
 その言葉にカーッと耳まで赤くなる。
「も、もう。いいじゃない」
「ごめんごめん」
 顔を上げた祐介はぽんぽんと文緒の頭を撫でた。
 そして彼女の頭を胸に抱き、ゆっくりと床に降ろしていく。何もない剥きだしの床。
でもどこか温かい。二人一緒だからだろうか。

 床の上に文緒を横たえ、ブラの上から胸をまさぐると、文緒がくすぐったそうに身を揺らす。
「あんっ……」
 そしてハァと恍惚の表情で熱い息を漏らした。
 眼鏡の奥の瞳はとても艶やかで―
 祐介は急に股間に血が集まるのを感じた。
 不意に文緒の手が下からその股間に触れる。
「あっ。大きくなってる」
 そう言って、手で掴んでくるのだ。
「こ、こら……」
「いいじゃない……嬉しいよ」
 愛する人が自分の体で興奮して勃起してくれる。こんな幸せな事はない。
「大きい……」
 手で触れた局所はとても大きくて熱くて。こんな大きいものが自分の体内に入り、
そして子を宿したのだ。ちょっと不思議。
「あっ……あんっ……」
 お返しとばかり、祐介が乳房をムニッと掴む。ブラジャーの上から。
 赤い顔で文緒は喘ぎ、眼鏡の奥が潤った。
「ゆ、祐介君……」
 汗を浮かべながら文緒がスカートを自ら摘み上げる。その暗い奥、パンツはもうぐっしょりと濡れていた。
「もう?」
「そ、その……。早くしないと誰か戻ってくるかもしれないし……」
 今は授業中のはずだが、そろそろ終わる頃合だ。大きな声を出せるのも今だけ。
「じゃあ。後でまたゆっくりとな」
 とりあえず再会の一発を抜こうと、濡れたパンツを指でずらして、祐介はチャックを開けた。
いきり立つシンボルを、スカートの中に入れ、濡れた花弁へとそろそろと近づける。
「イクよ」
「うん」
 きゅっと目を閉じて文緒は待ち受けた。その緊張の様子がまた可愛い。



「これから……よろしくな」
 俺のお嫁さん。
 そのナカに、祐介は己の大事な性器を預けた。
「はうっ……!」
 メリッ、と濡れた花弁をゆっくりと割って、入ってくる。 
 あの人のモノが、わたしの中に。
「あっ……うぅ……」
 眼鏡からまた涙がこぼれる。
「痛い?」
「ううん」
 泣きながら文緒は首を振った。泣きながら笑っていた。
「嬉しいの……。祐介君がまた戻ってきてくれて」
「ああ。一緒だ」
 ぐっ、と奥まで差し込み、祐介は文緒をしっかりと抱きしめ、全身で覆い被さった。
「もう離さない。ずっと、一緒、だ」
 汗を浮かべ、ゆっくりと腰を揺らした。
「……んっ」
 と下の文緒が自ら腰を振って、祐介をリードしていく。
「くっ」
 ナカのペニスが膣肉で締め付けられ擦られ、祐介は快感に身悶えた。
「いいの……もっと、激しくしても」
 プチン、と祐介の中の何かが切れる。

 パン! パン!

 それまでの遠慮が嘘のように腰を強く打ち、肉と肉がぶつかる音が響いた。
「はああっ!」
 胎内に打ち込まれる衝撃に文緒は背筋を仰け反らせ、そして両手を背中に回してしっかりとしがみつき、両脚も腰に絡ませた。
 祐介もまた文緒を強く抱きしめる。
「文緒! 文緒!」
「ああっ…はあぁ……祐介、くん……」
 お互いの名を呼び、体の外と内でしっかりと繋がり感じ合い―
「出すぞ!」
「アーッ!」
 抱き合ったまま達し、ドクンッと射精した。
「アアーッ!」
 床の上で一つになり、絶頂の嬌声が室内に反響する。

「はあ……ふぅ」
 ようやく離れ、床の上に座った二人はクスクスと笑う。
 見つめ合い、キスして、抱き合い、笑い、そして泣いた。
 それから服の乱れを戻すと、また部屋の掃除。
「掃除したばっかりなのに……」
「仕方ないさ」
 こぼした精液も洗い、汗が引くのを待って、二人は手を繋いでドアに向かう。
 
 それは新しい未来への扉。
 繋いだ手で二人はドアを開ける。
「なおくん。見つけた」
 そこには保奈美が立っていた。