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名前: はにはに 祐介×文緒その2 [sage] 投稿日: 2006/12/07(木) 01:29:50 ID:HDbdnOvz
「どうして! どうしてなの、なおくん!」
「すまない……俺にはこうするしかないんだ」
「いやっ! そんなの嫌よっ!」
「ごめん。ごめんな保奈美」
「駄目っ! 行かないで! なおくん、行っちゃイヤーっ!
私を捨てないでっ! なおくん! なおくーん!」
「ごめん……」
それだけ言い残し、直樹は保奈美の前から姿を消した。幼馴染で恋人の少女を捨てて。
そして彼は愛する人の元に向かう。祐介として。その女性は祐介の子を身篭っていた。
委員長こと文緒が唐突に学園を退学した。
誰もはっきりとは言わなかったが理由は察しがつく。妊娠したのだ。
時を同じくして久住直樹も人々の前から姿を消した。恋人の保奈美も、家族のように過ごした渋垣家の人達とも別れて。
「よいしょっと」
蓮美台学園の寮である蓮華寮。その自室で、いや自室だった部屋の掃除を終え、文緒は汗を拭う。今は私服で眼鏡着用。
最後に綺麗に掃除しておきたかったのだ。
もう荷物は何も残っていない。全て実家に送った。
妊娠を打ち明けた時、実家の両親は猛烈に反対した。産むのを。当然だろう。
まだ学生だというのに子供を産むなど。それも父親が誰か分からない。文緒は父親の事は一切誰にも言わなかった。
両親の気持ちは分かる。だが文緒の想いはしれ以上だった。産みたいという気持ち。
渋々ながら両親も何とか納得してくれた。反対すれば文緒が家を出ると言ったからだ。そして本当に家を出て、一人でも育てるつもりなのは両親にはよく分かっている。
自分達が育てた子だ。そういう女だと親だからこそよく分かる。
そして文緒は学園に退学届けを出した。さすがに大きなお腹で学園には行けない。
「ふふ」
綺麗さっぱり片付いた部屋を見て、薄く笑みを浮かべ、文緒はお腹をさする。
まだ平坦なお腹。だがそこには確かに新たな命が芽吹いている。愛する彼との愛の結晶。唯一の愛の思い出。
「二人で……生きていこうね。お母さんが付いてるから」
「三人で、だろ」
不意の声がかかる。
声のした方を見て一瞬息を呑む。彼は愛した人にとても似ているから。
「久住くん。どうしたの、まだ授業中でしょ」
かつての同級生に文緒は生真面目に言う。まるで委員長だったあの頃のように。と言ってもつい最近までそうだったのだが。
「ごめん。俺のせいで」
「え?」
きゅとんとする文緒を、祐介はしっかりと抱き寄せる。白いヘアバンドを付けた頭を。
「あ、あれ?」
眼鏡の奥の瞳が丸くなる。そして文緒は抱き寄せられたまま、呆然と見上げた。
「もしかして……祐介君!?」
「ごめん……」
今はそれだけしか言えなくて。ただただ文緒を抱きしめる。優しく、暖かく。
「……ううん」
そして文緒も彼の背中に手を回して抱きついた。
自分を包んでくれる彼はとても暖かくて、そして優しかった。
「……祐介君、なんだよね」
「ああ」
眼鏡が曇る。潤んだ涙で。
さよならではなく再会の涙。
涙の伝う顔を見下ろし、祐介は顔を下げた。文緒も顔を上げる。
そして二人の唇が重なった。
さよらならではなく再会のキス。
そして二人の愛は再開する。
どうしてだろう。
ただ唇が触れ合っただけなのにこんなに暖かいのは。
ううん。暖かいよりもっと。もっと熱い。体が焼けるぐらいに。
「はぁー」
長い長いキス。大きく息を吐き、文緒は改めて祐介を見上げる。そしてそのほっぺたに両手で触れた。
祐介は薄笑いを浮かべ、その手を握る。
「大丈夫。ここにいる」
そう。俺はここにいる。文緒とともに生きる為に。
久住直樹としての生を捨てて。
わっ、と泣き出して、文緒が胸に飛び込んできた。
「ばか」
胸で泣く文緒が言う。
「ごめんよ」
抱きとめる祐介が言う。
そのまま、二人は寮の部屋に入っていった。掃除したばかりの元文緒の部屋に。
がちゃんとドアを閉め、
「ごめんね。何もなくて」
「いいよ。引っ越すんだろ」
抱き合ったまま、何もない部屋の中央で二人はクルクルと歩きながら回る。
本当に何もない部屋だけど。
今の二人にとっては世界のどこよりも輝いている場所。
「これから……どうするの?」
文緒に聞かれ、祐介はニヤッと笑った。
「どうしようか」
祐介の返答に文緒も笑みを浮かべる。
「とりあえず、文緒の両親に会わないとな」
「怒られるよ」
「怒られに行くんだよ」
「もう」
二人、クスクスと笑う。
「あ、祐介君の両親……じゃなくて、お姉さんにも会いたいな」
「そう? 能天気で明るいだけの姉貴だよ」
「逢いたい!」
「そっか……きっとビックリするよ」
「えー、なんで」
「なんでかな」
見下ろした眼鏡は濡れていた。涙で。
そして濡れる赤い唇にまた口を重ねる。
「んっ」
文緒は目を閉じ、祐介を感じた。唇から全身を。
口を離すと、祐介は顔を下げ、文緒のお腹に耳を当てる。
「この中に……俺の、俺達の子がいるんだよな」
「うん……」
赤ら顔で文緒はお腹の上の祐介の頭を両手で抱む。
耳を当てた祐介は、その柔らかいお腹の向こうに確かな鼓動を感じる。命の鼓動。
それは文緒のものだろうが、確かに赤ん坊の鼓動も含んでいるのだ。
こうしてるとなんだか幸せ。
「あのね……」
言いにくそうな文緒に祐介が顔を上げて促がす。
「なに?」
「今はまだ……その、しても大丈夫、だよ」
はらっ、と胸のボタンを取ると、白いブラが垣間見えた。
「大胆……」
その言葉にカーッと耳まで赤くなる。
「も、もう。いいじゃない」
「ごめんごめん」
顔を上げた祐介はぽんぽんと文緒の頭を撫でた。
そして彼女の頭を胸に抱き、ゆっくりと床に降ろしていく。何もない剥きだしの床。
でもどこか温かい。二人一緒だからだろうか。
床の上に文緒を横たえ、ブラの上から胸をまさぐると、文緒がくすぐったそうに身を揺らす。
「あんっ……」
そしてハァと恍惚の表情で熱い息を漏らした。
眼鏡の奥の瞳はとても艶やかで―
祐介は急に股間に血が集まるのを感じた。
不意に文緒の手が下からその股間に触れる。
「あっ。大きくなってる」
そう言って、手で掴んでくるのだ。
「こ、こら……」
「いいじゃない……嬉しいよ」
愛する人が自分の体で興奮して勃起してくれる。こんな幸せな事はない。
「大きい……」
手で触れた局所はとても大きくて熱くて。こんな大きいものが自分の体内に入り、
そして子を宿したのだ。ちょっと不思議。
「あっ……あんっ……」
お返しとばかり、祐介が乳房をムニッと掴む。ブラジャーの上から。
赤い顔で文緒は喘ぎ、眼鏡の奥が潤った。
「ゆ、祐介君……」
汗を浮かべながら文緒がスカートを自ら摘み上げる。その暗い奥、パンツはもうぐっしょりと濡れていた。
「もう?」
「そ、その……。早くしないと誰か戻ってくるかもしれないし……」
今は授業中のはずだが、そろそろ終わる頃合だ。大きな声を出せるのも今だけ。
「じゃあ。後でまたゆっくりとな」
とりあえず再会の一発を抜こうと、濡れたパンツを指でずらして、祐介はチャックを開けた。
いきり立つシンボルを、スカートの中に入れ、濡れた花弁へとそろそろと近づける。
「イクよ」
「うん」
きゅっと目を閉じて文緒は待ち受けた。その緊張の様子がまた可愛い。
「これから……よろしくな」
俺のお嫁さん。
そのナカに、祐介は己の大事な性器を預けた。
「はうっ……!」
メリッ、と濡れた花弁をゆっくりと割って、入ってくる。
あの人のモノが、わたしの中に。
「あっ……うぅ……」
眼鏡からまた涙がこぼれる。
「痛い?」
「ううん」
泣きながら文緒は首を振った。泣きながら笑っていた。
「嬉しいの……。祐介君がまた戻ってきてくれて」
「ああ。一緒だ」
ぐっ、と奥まで差し込み、祐介は文緒をしっかりと抱きしめ、全身で覆い被さった。
「もう離さない。ずっと、一緒、だ」
汗を浮かべ、ゆっくりと腰を揺らした。
「……んっ」
と下の文緒が自ら腰を振って、祐介をリードしていく。
「くっ」
ナカのペニスが膣肉で締め付けられ擦られ、祐介は快感に身悶えた。
「いいの……もっと、激しくしても」
プチン、と祐介の中の何かが切れる。
パン! パン!
それまでの遠慮が嘘のように腰を強く打ち、肉と肉がぶつかる音が響いた。
「はああっ!」
胎内に打ち込まれる衝撃に文緒は背筋を仰け反らせ、そして両手を背中に回してしっかりとしがみつき、両脚も腰に絡ませた。
祐介もまた文緒を強く抱きしめる。
「文緒! 文緒!」
「ああっ…はあぁ……祐介、くん……」
お互いの名を呼び、体の外と内でしっかりと繋がり感じ合い―
「出すぞ!」
「アーッ!」
抱き合ったまま達し、ドクンッと射精した。
「アアーッ!」
床の上で一つになり、絶頂の嬌声が室内に反響する。
「はあ……ふぅ」
ようやく離れ、床の上に座った二人はクスクスと笑う。
見つめ合い、キスして、抱き合い、笑い、そして泣いた。
それから服の乱れを戻すと、また部屋の掃除。
「掃除したばっかりなのに……」
「仕方ないさ」
こぼした精液も洗い、汗が引くのを待って、二人は手を繋いでドアに向かう。
それは新しい未来への扉。
繋いだ手で二人はドアを開ける。
「なおくん。見つけた」
そこには保奈美が立っていた。