0-353 名前: 藤枝家に呼ばれたら……… [sage] 投稿日: 2005/07/23(土) 00:16:50

それは、二人が付き合い始めて一年と数ヶ月が経過した受験を控えた頃の事だった。
二人は放課後を久しぶりにカフェテリアでマターリとしたいた。
「なおくん、今日は私の家で勉強しない?」
「いいけど………いきなりどうしたんだ?」
「なおくんが私と付き合いだしても一向に来てくれないから、お母さんが連れてきなさいって」
隣に座っている保奈美がギュッと強めに手を握る。
「因みに、俺に拒否権は………」
「残念、強制連行です」
「そ、そういえば、今日の晩飯当番だから早く帰らないと………」
「何言ってんのよ、今日はお父さんもお母さんも休みでしょ」
後ろから飛んできた声に振り返ると呆れ顔の従妹がいた。
「何の用だ、愚妹よ」
「コーヒーをお持ちしましたわよ、お・に・い・さ・ま〜〜〜」
「いたたたっ!」
グリグリと直樹の足と踏みつける茉理。
テーブルにコーヒーとミルクティーを置く。
そして、にこやかな笑顔で二人を見て、
「じゃあ、今日は頑張って下さいね、保奈美さん!」
「何するんだ茉理、御婿に行けなくなったらどうするんだ!」
ニヤリと茉理、
「あーら、保奈美さんに貰って貰うんじゃなかったの?」
「なおくん、一緒に幸せになろうね」
「だまらっしゃい」
赤面する直樹にクスクスと笑いながら奥へと引っ込む茉理。
振り返ると打って変わって少し真面目な表情の保奈美。
「駄目だよ、なおくん。愚妹なんて言ったら、可哀想だよ」
「しかし、あいつは切れやすく困るな。料理のセンスといいとても、英理さんの娘とは思えなぐはっ………」
テーブルに突っ伏す直樹。
そして、直樹の後頭部を襲ったコースターが床に落ちる。
「丸聞こえよ、直樹………」
コースターが床で音を立てている時、嘗ての指定席では………
「懲りないわねぇ、久住………」
プリンの空容器が四つに増えた時、
「でも、それが久住君の良い処ですよ」

そして、藤枝家に連行されると保奈美の両親がいた。
「保奈美、おじさんが居るとは聞いてないぞ………」
三十分程直樹への拷問が続いた後、保奈美の両親は用が在ると出かけていった。
「さ、なおくん、私の部屋に行こう」

そして、時系列は元に戻り、保奈美の全面大攻勢へと続く