5-523 名前: 浴衣美人を脱がせたら (にられば) [sage] 投稿日: 2006/11/24(金) 23:05:50 ID:+yoFihgN

「うっ」
グツグツと煮えたぎる鍋にたじろぐ直樹。
「保奈美さん………」
「なぁに?なおくん」
「もしかしてこの料理でこの宿をお選びになったのでつか………」
「そうだよ」
そのままストレートに返してくる保奈美。
「俺を腹上死させるつもりかぁっ」
「なおくんは私がいない所で死にたいんだ………私の上で死んだほうが寂しくないよ?」
「確かにそれは羨ましいが、男としてなんか情けない」
「もう、ふざけてないで食べようよ。なおくん」
「いや、ちっともふざけてないんだが………」
何しろ男の尊厳に関わる問題だ。
鍋の中から具を取り出す保奈美。
「ふーふー」
熱々の具材を冷ます。
「なおくん、はい、あーん」
もうこうなると直樹に主導権は戻ってこない。
「あーん」
赤面して口を大きく開ける直樹。
そして今晩のお食事『スッポン鍋』を食してしまう直樹だった。

「うわぁ、このドラマこんな田舎でも放送されてるんだ」
寄り添って見ているドラマは保奈美が毎週欠かさず見ているドラマだ。
こんな山奥の鄙びた温泉町(というか村?)で放送されている事に保奈美は感動を覚える。
「しっかし、何でこんな年寄りくさいドラマが好きなんだ?」
「叔母様に進められて見始めたんだけど結構面白いよ。このドラマ」
「ある種、大家族なのはいいがこんなに何年も続けて娘達がトラブルを持ち込んできたら………
もしその父親が俺だったら多分精神病かなんかで死んでるぞ」
保奈美は以前はそのドラマに填らなかったのだが、主婦になってからは何故かそのドラマにのめり込んでしまった。
週末に渋垣家に行くと英理とそのドラマについて話し合って日が暮れる事もある。
因みに保奈美はちゃんと予約録画しているだが、放送が見れるなら見なければならない。
帰宅して渋垣家に直行してディナーをご馳走になる予定があるのでその際に英理と話を合
わせるためにも見ておかなければならないのだ。
だが、それだけの為にドラマを見ている訳ではない。
それは食事の性的効果が高まる時間を計っていたのである。
そしてドラマが終わり秋(とき)は来た。
今、『スッポン鍋』の威力が試されようとしている。