5-444 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/11/22(水) 04:03:35 ID:JFGePoK0

 恋人達の唾液は絡みついた二人の舌の上で混合され化学反応を起こし、強
烈な媚薬となり熱く口内を焦がし脳髄を痺れさてゆく。背後から包むように抱き
締めて初めて知ることが出来る月のお姫様の小さくて細い体。そのの中でも一
番柔らかく若々しい乳房を高級なブラジャーごと揉みほぐしながら、達哉はフ
ィーナの中を残らず舌で蹂躙し唾液を流し込み嚥下させてゆく。あたかも内臓
はおろか血一滴肉一片に至るまで恋人の体内を自分色に染め上げようとす
るかのように。
 「ん……ん……ちゅ……んくん、んっくん……」
 果たして今、自分が感じているのは愛しい人に求め愛されているという幸福
感なのか、或いは牡に支配され庇護される雌が感じる満足感なのか。その潔癖
さ故に心の片隅にこびり付いて離れない微かな罪悪感は常にフィーナの後ろを
ついて回っている。まるで幼い頃の自分のように、真っ直ぐな視線で美しく成
長したフィーナの背中を見張っているのだ。
 「んん、ちゅ………ねぇ、達哉?」その無言の圧力から逃れる方法を、未だ
女として未熟な彼女は一つしか知らない「こちらにもキス、してあげたいの。」
 
 『今は、ただ溺れていれば良い』
 
 フィーナから漂う香りと柔らかさだけで、もう達哉の下半身は限界までに張
り詰めていた。ズボンの上から触られただけで、直ぐに開放してくれと言わん
がばかりに暴れ回る。
 「キスだけで良いのかな? フィーナは?」
 「そ、それは………あ、んっ!」
 すっかり固くなった乳首を押しつぶされ、艶めかしい声が漏れてしまう。
 「ちゃんと言えたら、あげるよ?」
 「あ、あの、えっと……」恥ずかしそうに目を伏せるフィーナだが、欲求に
は逆らえない逆らわない「……舐めたり、吸ったりも……してあげたい。」



 (んくんっ!)
 二人の会話をベッドの下に隠れて(というか成り行き上、出るに出られなく
なってしまった)盗み聞きしている麻衣は思わず生唾を飲み込んだ。その隣で
は、同じく潜伏中の菜月が顔を真っ赤にしながらも全神経を集中させて恋人達
の交歓に聞き入っている。
 (お口でって言ってるけど……それって……)
 (ふぇふぇふぇ、ふぇらちおのことじゃないかナ?)
 (はうっ! や、やっぱりぃ!?)
 ベッドという物は本来上に乗って就寝するための家具であり、下に隠れてス
トーキング紛いの覗き行為を補助する為の設計などなされていない。よって麻
衣と菜月は床とベッドの間に挟まれるように潜り込み、少しも見つかり難くし
ようと中央部で密着している訳なのだが。
 (あの……さ、菜月ちゃん?)
 (な、なにカナ?)
 (その、フェ……お口で舐めてあげる時って、男の人が満足してくれるまで
してあげるのが普通……なのかな?)
 (ま、満足って……)
 (だからね? 『もう良いよ』って言ってくれるか、お口の中で射……じゃ
なくって精……とにかく、男の人が出すまでしてあげるものなの?)
 (そ、それわ……)
 (うん。)
 (……ごめん、わかんないよ……)
 (だ、だよね〜?)



 足下に妹と幼馴染みが居るとは露程も思っていない達哉がベッドに腰掛けて
足を開くと、フィーナがお腹を空かせた雛鳥のように顔を埋める。慣れた仕草
でベルトを外しチャックを降ろし、下着ごとズボンを引き下ろすと、中から現
れる完全勃起状態の男性器を嬉しそうに頬張った。
 「ん………ちゅく……ちゅるる……」
 既に嫌悪感はない。たっぷりと濡れた柔らかい舌を絡めるようにして舐め回
し、自らがまぶし、恋人のエキスを溶け込ませた唾液を啜る。
 「く………フィーナ……」
 「気持ちいいのね、達哉?」あその瞳に浮かぶのは、自分の奉仕が達哉を感
じさせているという喜び「もっと、感じてちょうだい。」
 フィーナのフェラチオには技巧、というほどのテクニックもなければ達哉の
弱い部分を知った上での計算性もない。しかし、ひたすらに悦ばせようとする
熱意は単純な快楽を上回る何かとなって伝わる。
 「あ……あ……あ……!」
 外観に加え育ちの良さと真っ直ぐな性格。それだけでも充分なのに、お姫様
が、自分の彼女になって、こうして男の劣情の象徴を美味しそうにしゃぶって
くれるというだけで達哉は爆発しそうだ。彼が幾度となく意地悪や我が儘を押
し付けるのも、フィーナが自分の物になったという事が夢ではないのかと疑っ
てしまいそうになる弱気の裏返しなのだ。



 (………すごい……)
 フィーナが顔を前後に動かす度に発生する卑猥な水音だけで、麻衣の頭の中
ではリアルなフェラチオシーン(と言っても生の男性器を見たことがないので
所々デフォルメされているが)が再生されている。直接目にすることは出来
ないにせよ、麻衣自身がよく知っている少女が兄と、すぐそこで性行為をして
いるという事実だけで興奮してしまうのだ。
 (あ………)トロリ、と新しく湧き出た愛液が指先を温かく濡らす感触。し
かしそれは自分の秘所から流れ出したのではなく、菜月が漏らした物(……菜
月、ちゃん?)
 (麻衣も、その……興奮してる、よね?)
 (わ、私は……あ!)
 いままで見たことがない菜月の熱く潤んだ瞳と見つめ合った麻衣は、自分も
菜月の指も新しい愛液で濡らしていることに。いや、それ以前に二人が互いの
ショーツの中に手を差し込み乙女の最深部を指先で弄り合っていたことを思い
出した。そして性的興奮で尖った乳房と乳首がシャツと擦れてピリピリとした
快感を感じていたことを。
 (あの、さ? 麻衣は……)言葉と一緒に流れてくる菜月の吐息が心なしか
甘く感じられる(……私が来るまで、達哉のこと考えながら……その、一人で
してた、の?)
 (あ…………えっと…………う、うん………)
 この部屋にいた以上、否定のしようがない。事情を知らない菜月に軽蔑され
るかもと思いつつも、麻衣は自分が兄を想って自慰をしていたと認めた。
 (それってその……お、オナニーしてたって事だよね?)
 (………うん。菜月ちゃんも……)
 麻衣の言葉は、頭上の衝撃で途切れた。



 「きゃ………!?」
 突然、達哉に肩を押され引き離されたフィーナは、何が起こったのか理解す
る暇もなくベッドの上に押し倒された。そのまま覆い被さってきた達哉は、い
ままで肉棒で犯していた小さな唇を再び舌で蹂躙する。
 「達哉……!?」
 どうにか首を捻って逃れたフィーナは、新鮮な空気を肺に取り込みながら目
の前の恋人の名前を呼ぶ。
 「ごめん……」と小さく呟く達哉「……でも、あれ以上して貰ったら口の中
に出しそうだったんだ。フィーナは何も言わないで全部飲んでくれると想った
けど、俺、いまはフィーナの中に出したいから……」
 「……達哉」フィーナの顔に、労るような微笑みが浮かぶ「私は、達哉の為
だったらどちらでも………ううん、両方でも構わないのよ? 達哉のだったら
何回でも、体の何処ででも受け止めてあげられるわ。」
 「でも、いまはフィーナの、その……一番奥が良いんだ。もうすぐ麻衣かミ
アが帰ってくるかも知れないし、あんまり時間もないだろ? だから、一回し
かできないんだったら口じゃ無くって……」
 自分の心が上手く表現できないのか、必死に言葉を選びながら喋る達哉。
 「そんなに慌てないで?」
 「あ………」
 ふわりと達哉の頬を包む細い指。
 「達哉がちゃんと考えて決めたことなら、私は従うわ。それに私も、達哉が
抱いてくれた方が嬉しいもの。」



 (び、びっくりしたぁ。)
 衝撃は一回だけだった。どうやら達哉がフィーナを押し倒したらしい。
 (お兄ちゃん、意外と強引なんだね……)
 (ほんと、変な所だけシッカリ男の子だよね〜。)
 ((あ…………))
 と改めて顔を見つめ合い、そのまま赤くなってしまう二人。
 そして、現状を意識した途端に麻衣の体が疼きだしてきた。子宮の辺りから
沸きだし膣内を満たしている愛液がまた、少し漏れだして菜月の指に絡みつく
のがわかる。
 (あ……あの……菜月ちゃん……)
 (あ、あははは〜………)
 お互いに指を抜けばいいのはわかっているが、この状況で姿勢を変えるよう
な動きをして体がベッドに当たったりしたら上の二人に気付かれる可能性があ
るわけで、それでは本末転倒である。そう、ベッドの上では兄とフィーナがセ
ックスをして……
 (あ……ぁ……)
 考えれば考えるほど興奮してしまう。兄の部屋に黙って入って兄のベッドと
兄のシャツを使って兄を想いながら自慰をし、そこに偶然やってきた年の近い
姉のような菜月の自慰を目撃し、いまは菜月と二人で性器を触り合いながら兄
とフィーナの行為を覗いている。そんな状況を自覚すればするほど麻衣の体は
火照り、全身の皮膚は敏感になり、下半身はトロトロと涎を垂れ流す。こんな
状態でなければ間違いなく二回目の自慰を初めているであろう麻衣は、もうす
ぐ我慢の限界だ。



 ベッドの上で仰向けになったフィーナ。学生服の上着は前を開かれ、ずらさ
れたブラから解放された瑞々しい両の乳房はツンと上向きに張って愛撫を強請
っている。だが乱れてはいるものの下半身は手つかずのままで、一番奥に守ら
れている彼女の乙女は下着の中で熱く濡れていた。
 「えっと、少しだけお尻を上げてくれるかな?」
 「え、ええ………」
 相手が達哉だとは言え、ミア以外の人間に服を脱がされるというのは正直言
って気恥ずかしい。これもきっと慣れれば……と自分に言い聞かせながら、フ
ィーナは顔を隠すように横を向きつつゆっくりと腰を浮かせる。
 「それじゃあ、脱がすよ?」
 こくり、と顔が動いたのを確認した達哉は薄暗がりの中でも白く眩しい太股
の先、スカートの中に隠された最後の砦を目指す。まだ人には慣れていない子
犬に触れるように慎重に、静かに両手を差し込み、手触りだけでお姫様の下着
を探り当て、傷つけることがないようゆっくりと引き下ろす。
 「…………ッ!」
 恋人とは言え異性に、淫汁で汚した下着を委ねる恥ずかしさと興奮とでフィ
ーナの体に電気に似た震えが走る。そうして取り出された下着、透けるような
純白のショーツのクロッチの内側は、少し粘り気のある液体がべっとりと付着
していて………
 「た、達哉?」横を向いたまま、潤んだ瞳だけを向けて涙声で懇願するフィ
ーナ「あの、あまり見ないで……ほしいの。」
 「そ、そうだよな、ごめん。」
 と咄嗟に謝った達哉だが、手の中のそれから漂う甘酸っぱい性臭が見えない
触手のように彼にまとわりつき引き寄せようとする。
 「……お願い達哉。こっちを見て?」
 そんな達哉を呪縛から解き放ったのは、やはりフィーナだ。白魚のような指
が頬を撫でる感触で達哉は我に返った。
 「私を、愛して?」



 ぎしぎしとベッドが軋み始める。それは二人が想像していたほどに激しい動
きではなかったが、いよいよセックスが始まったという事実は少なからぬ衝撃
を麻衣と菜月に与える。
 (菜月ちゃん?)悔しいとか悲しいという感情もあった。が、それを上回る
だけの性衝動が麻衣を責め立てる。或いは認めたくない現実からの本能的な逃
避かも知れないが、それでも性欲には変わりはない(さ、さっきの話だけど、
菜月ちゃんもその……お兄ちゃんのこと考えながら……してたよね?)
 (う、うん……いちおう……)
 (それで、菜月ちゃんはいつも……どんな風にしてるの……かな?)
 (どど、どんなって……そんなの………ふぁっ!?)
 ちゅくり、と指の腹で入り口を軽く引っ掻くと菜月の体が跳ね上がる。
 (菜月ちゃんも処女なんでしょ? やっぱり、この辺を撫でるだけ?)
 刺激に反応した菜月の体内から更に熱い体液が沸き上がってくる。そして菜
月を責め立てているだけの筈の麻衣の泉も。
 (んあっ! ちょっと麻衣、こんなの洒落に……あふっ……!)
 (私はね、怖いから殆ど触ったこと無いんだ。)喋りながら、菜月の指を使
って自分を慰めるように小さく腰を揺らし始める(こんな風に……んんっ!
割れ目の少しだけ内側を擦りながら、おっぱいを揉んだり指を吸ったりするん
だ………よ?)
 指先と性器と、互いの感触が全く同調しない行為。姉妹のように過ごしてき
た菜月との疑似性交は新鮮な快楽を教えてくれる。なんか癖になりそうだ、と
頭の片隅で考えながら、麻衣は菜月の唇に熱い吐息を吹きかけるようにしなが
ら言葉を継いでゆく。
 (ねぇ菜月ちゃん? 指、入れても良い?)
 (だ、駄目! だめだめだめだめだめ………)
 (でも菜月ちゃんのお尻、動いてるよ? お口の周りコチョコチョされるだ
けじゃ足りないんでしょ? 菜月ちゃんも、ちょっとだけなら私のに入れて良
いから、ね?)
 (で、でも………)
 (菜月ちゃんの、私の指が欲しいってパクパクしてるよ? 良いよね? 菜
月ちゃんの中、感じさせてね?)
 (だ、だめ! ほんとに駄……)「ひうっ!?」



 「うあっ!?」急に締め付けが強くなり思わず情けない声を漏らしてしまう
達哉「フィーナ?」
 「え? あ………ううん、なんでも……ないわ。」
 「でも……」
 もう何度も愛し合った相手のことだ。達哉とてフィーナが感じているときの
奥へ奥へと誘うような律動や達したときの搾り取るような動きと比べ、今の収
縮がおかしい位のことはわかる。まるで何か重大なことに気付いて緊張したか
のような締まり方は……
 「ほんとうよ。ほんとうに、なんでもないから。」
  と浮かべる優しげな笑みさえも何処か怪しい。
 「で、でも……」
 「もう、達哉ったら……」そんな恋人に業を煮やしたかの様に起き上がった
フィーナが正常位で繋がったまま達哉の太股に跨り、対面座位の姿勢で豊満な
胸の谷間に達哉の抱き寄せる「……ほんとうになんでもないから、いまは私だ
けを見て、もっと私を可愛がって?」
 ぎゅ、とフィーナが強く抱き締めると達哉の視覚は麻痺し聴覚はフィーナの
鼓動に占領され、味覚も嗅覚も麻薬のような汗とフェロモンの香りに支配され
てしまう。が、それは決して不快な物ではない。
 「私も、その……もうちょっと……なの。だから……」
 それに応えるように達哉の腕が細い背中に回される。そして。
 「あ………んんっ!! あんんっ!!」
 真下からの力強い突き上げで、二人の愛は再開される。



 (うふふっ♪ 菜月ちゃんてば、凄い声だね。ほらっ?)
 (んんっ! んんっ! んんんんーっ!)
 ごくごく浅い挿入だったにも関わらず、度重なる刺激で悶々としていた菜月
の体は菜月自身が驚くほどの快感を得ていた。年下の自分の、しかも細い指一
本で翻弄される菜月の様子に、麻衣はゾクゾクとしたサディスティックな興奮
を覚えつつあった。しかし、それだけで己の性欲が満たされるわけがない。
 (ね、菜月ちゃん? もう意地悪しないから、私にも、ね?)
 (んんっ……あ……あふ……はぁ……はぁ……)
 (ここだよ。わかるでしょ? 私も気持ちよくして?)
 小さなお尻を動かして菜月の指先と自分の膣口とを擦り合わせる。前々から
中を使ったオナニーに興味があったのだが、自分で入れるのは何だか怖くて敬
遠していた麻衣。同性であり膣でのオナニーを実践している菜月なら、大事な
部分を傷つけることなく新たな世界を開拓してくれそうな気がする。
 (あ……あ……あ……)
 (ほらほら、菜月ちゃんだけ気持ちよくなるなんてズルでしょ。私にもして
くれないと、このままお預けだよ?)
 だんだんとコツを掴み始めた麻衣は、挿入を更に浅くして入り口だけをくす
ぐったり止めたまま捻ったりして菜月を焦らす。いままで味わったことのない
自分以外の指による快感を覚え昇り詰めつつあった所で『おあずけ』され全身
の皮膚が疼く菜月は、もう麻衣に従うしかなかった。
 (わ、わかったよ……)
 (ほんとうに? それならね、菜月ちゃん……)ごくり、と今から自分が口
にする言葉に思わず生唾を飲み込む麻衣(……キスしながら、しよ?)



(えっ!? そ、それは……)
 キスは、せめて最初のキスだけは達哉に捧げたかった。その達哉の側で、し
かも女の子に与えるなんて論外である。
 (でも菜月ちゃん、このまましたら声が出てお兄ちゃんにバレちゃうかも知
れないよ? そんな格好悪いのだけは嫌だよね?)
 (あ………うぅ……)
 (それにお兄ちゃんは、もう菜月ちゃんのファーストキスを貰ってくれない
んだよ? 私だって初めてだから、ね? それに他の男の子にあげるくらいだ
ったら、お兄ちゃんの妹である私にくれた方が良くないかな?)
 (けど……んんっ!)
 (菜月ちゃんはジッとしてるだけで良いよ。目を閉じて……そう、ちょっと
だけ口を開いて……んっ。)
 (ん……んんん……)
 菜月を我が物にしようとするかのように麻衣の小さな唇が吸い付き、貪って
くる。一つ年下の少女の発情した吐息が直接、口の中に流し込まれて自分のそ
れと混ざり合い、二人の呼吸器官が一つになってゆく。
 (んっ……んふっ……)
 (ん……ん……んんっ……)
 倒錯的で深い接吻がもたらす熱が霞のように菜月の思考と視野を奪い、快楽
以外の全てがどうでも良いことのように思えてくる。いままで自慰の度に浮か
んでいた筈の幼馴染みの笑顔が、何故か全然見えない。
 (んふっ! んふっ! んんんっ!?)
 だが、他の全てを投げ捨てて約束した筈の快感がいつまで経っても与えられ
ない。口内を吸い合いながら腰を振って強請っても麻衣の指は巧みに逃げ回っ
て弱々しい刺激を送り込んでくるばかり。



 もしかして、という言葉が頭に浮かんだ。菜月が約束通りに麻衣を犯さない
限り、麻衣も菜月を満足させてくれないのかも知れない。そう気付いた菜月は
自らの快楽のため、もう躊躇わずに指先の感触で麻衣の秘裂の中を這い回って
探り、やがて見つけ出した熱い泉に………根本で直角に曲げた中指を第二関節
まで一気に押し込んだ。
 (んんんっ………!?)
 充分に潤い準備が整っていたにも関わらず麻衣の体は侵入者を拒んだ。未体
験故に完全には捨てきれなかった恐怖心がブレーキをかけたのだ。だが体内を
使った自慰を経験済みの菜月は慌てない。麻衣の体が認識できるよう、ゆっく
りと指を後退させ、麻衣が菜月に行ったのと同じように一番浅い辺りから徐々
に穴を解し、火傷しそうなほどに熱い膣内で指に馴染ませてゆく。
 (ん………ん……ん……)
 (んんん………ふぁ……ふぁ……!?)
 そうして数分間マッサージを続けると、次第に麻衣の緊張が和ぎ内部のヒダ
が菜月の指に絡み始めてきた。これならソフトな前後運動で快感を得ることも
出来るだろうと判断した菜月は改めて腰を振り、舌で麻衣の柔らかい舌先を撫
でて性交再開の合図を送る。

 ……くちゅっ……くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅっ……

 密着している者同士でしか聞き取れない大きさだが、二人の少女の性器から
は確かに卑猥な水音が漏れ始めている。麻衣と菜月は、それぞれ自分の性器を
慰めるように相手のそれを刺激し、自慰では得られない倒錯的な快感を貪り続
ける。



 (菜月ちゃん……菜月ちゃん、私気持ちいいよぉ!)
 (……私も、なんか癖になりそう……)
 体の内側のデリケートな部分に絶妙な加減で愛撫する細くて柔らかい指。女
の子の繊細さを知らない男の子には決して真似の出来ない完璧な力加減で最重
要器官を愛してくれるのは最も身近な少女。同性同士でしか味わえない背徳的
な蜜の味に、二人は為す術もなく溺れてゆく。
 (ね、ね、菜月ちゃん? なんか物足りないの、もっとちょうだい!)
 (んはぁんっ……麻衣、もう痛くないの?)
 (うん! うん! 凄く気持ち良いのぉ、だから……)
 (じゃあ、もっと激しくしても大丈夫だね。一緒にイこうね?)
 (あふっ、あんんっ、菜月ちゃんも……んんっ……イキそうなの?)
 (麻衣の指が気持ちいいから、もっと……ああん! そう、麻衣、とっても
じょう……ずッ……!)
 (キス……菜月ちゃん……キス……しながら………)
 興奮で白濁化した愛液を飛び散らしそうな速さで指を出し入れして互いの蜜
壺をジュボジュボと犯し、手を繋ぐ代わりに舌と舌を絡み合わせながら麻衣と
菜月は一緒に階段を駆け上がってゆく。
 ((んんっ、んんっ、んんんんんーーーーーーーーーーッ!!))



 先に達したのはフィーナだった。怯える子供のようにしがみついたお姫様の
内壁が受胎のための収縮を開始し、他の誰にも聞かせたことのないあられもな
い嬌声を上げ、目一杯の力で腕の中の恋人を胸に抱き締める。そして達哉も最
後の一撃でフィーナの子宮を思い切り突き上げ、出口へ向かって殺到する子種
を迷うことなく女体の一番奥に撃ち込む。
 「くっ! ぐ……う……!!」
 「あ、ああっ! あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 根本まで結合したその奥、子宮口近くで噴火した熱い奔流の勢いで内壁が押
し広げられ内臓を圧迫するほどの力で膨張してゆく快感を一つ残らず貪り尽く
すかのようにフィーナと達哉は体を押し付け合う。彼らの絶頂は、達哉が全て
を放ちフィーナが残らず絞り出し終わるまで十数秒間にわたった。
 「………あ……あ……ああ………」
 「く………ふぅ………」
 達哉は自らの子種で自分の女の体内を満たした満足感を、フィーナは自分で
選んだ未来の伴侶の愛の証が体内を満たす幸福感を、それぞれ繋がったまま味
わう。そして素肌が触れあった全ての場所から互いの愛情が熱となり鼓動とな
り伝わってくる不思議な一体感も。
 「……ミアが帰ってくるわ。シャワー……浴びないと……」
 やがて、抱擁の力を弱めたのはフィーナの方。
 「もうちょっと駄目、かな?」
 「ほんとうは、私もそうしていたいのだけれど……」フィーナの顔に浮かん
でいるのは疲労感と満足感と、そして……「……それでは皆に気を遣わせてし
まうわ。こうして達哉と愛し合える時間も大切だけど、私はミアや、さやかや
麻衣と穏やかに過ごす時間も大事にしたいの。私のとっても達哉にとってもか
けがえのない家族だから……ね?」
 「家族……か。」
 「ええ」胸に抱いた達哉の頭を撫でるフィーナ「達哉の家族は私の家族だし
私の家族は達哉の家族でもあるの。さぁ、ミアをびっくりさせないよう、一緒
にシャワーを浴びて着替えておきましょう。」



 「……お兄ちゃん達、行った……よね?」
 「そ、そだね。」
 ベッドの下の僅かな空間は菜月と麻衣、二人の熱い吐息と甘酸っぱい香りで
満たされている。絶頂の余韻は心を惑わす美酒。二人の指はまだ互いの女唇の
内側で、まるで呼吸でもしているかのように規則正しい脈動を続ける女性器の
中で不思議な安らぎを感じ取っていた。
 「もうすぐ、ミアちゃんも帰ってくるかも知れないね。」
 「そ、そだね……」
 菜月は何故か今、自分がネバーランドにいるかのような気がしていた。ここ
から一歩でも外に出てしまうと魔法が解けてしまい、また改めて大人への階段
を昇り始めなくてはいけないのだ。そして達哉を失ってしまった菜月の目指す
大人の世界は、ほんのちょっとだけ、輝きを失ってしまっていた。
 「……もうちょっとだけ……」子供のままでいられたら「……麻衣と一緒に
いても、良いかな?」
 「菜月、ちゃん?」
 「あ、あのさ? 別に麻衣のこと……」
 「気持ち、良かったよ。」頬を染め、少し潤んだ瞳ではにかむように微笑む
麻衣「お兄ちゃんの事考えながら、お部屋で一人エッチするよりもずっと気持
ち良かった。菜月ちゃんは……どうだった、かな?」
 目の前にいるのは光りの粉を振りまく妖精でもなければ永遠の少年でもなく
菜月にとっては妹みたいな女の子だ。それはわかってる。いや、わかっている
つもりだ。麻衣にすがったところで傷を舐め合うことにしかならない。麻衣に
は時間を止める力も、海を飛び越え『何処でもない島』まで菜月を連れて行っ
てくれる魔法もありはしない。
 「私も…………凄く良かったよ?」だがポッカリと空いた心の空洞を埋めて
くれる他の何かが欲しかった「それに麻衣の中に入ってると何ていうか……全
身を包まれてるみたいで、とっても安心できた。エッチって、こんなに心を暖
かくしてくれるんだなーって、ちょっと新発見。」
 「私も、最後の方は菜月ちゃんと一つになれたみたいな感じがして、すっご
く…………幸せだったよ。やっぱり、菜月ちゃんとだったから……かな?」
 「かもね?」
 えへへ、と小さく笑い合い、菜月と麻衣は再び唇を重ね合った。
 (ごめんね、達哉)
 大人のキスは、少しだけ心を満たしてくれた。