0-256 名前: 直樹ハーレム計画・覚醒編 投稿日: 2005/04/28(木) 10:28:52 ID:PQojxsOI y

「俺ってあんまりモテないよな?」
「・・・また唐突だな」
目の前で弘司が呆れたような声を出した。
手には、紅茶が入ったカップ。

「いやな、親父や英理さん・・果てには茉理までが恋人恋人って言ってきたから気になって」
「・・すぐに出来るだろうが?」

もう一度、呆れた顔。
何回も見せる辺り本気で呆れたらしい。


「大体だ、保奈美ちゃんは彼女じゃないのか?」「保奈美は幼なじみだ。あいつが恋人なんて願ってもない幸運だぞ?」



「まぁそうだよな」

保奈美ちゃんほどいい娘は珍しいしな、と呟いた弘司の目が、俺の後ろにやられる。
次の瞬間。

「くーずみ!」
「うぉっ!?」

肩を叩かれると同時に、耳元で大声を出される。・・・耳がキーンとした。

「仁科先生、久住くんが驚いていますよ?」
「私もそう見えました」
続いて、聞き慣れた声。
「って、恭子センセに結センセ・・・理事長まで」
「フフ、お久しぶりですね」

やはり柔らかな笑顔で答えてくる理事長。
あの頃の笑顔から何の変わりもない笑顔に心が和んだ。



「今日は久住くんにお話があって来たんです」
「じゃあ俺帰りますね」
・・・ヤバい。
絶対厄介事だ。
あの事件で培われた防衛本能が全力で警鐘を鳴らしている。

「じゃあ久住は彼処に来て?・・ここじゃあ何だしね」

恭子先生は俺の意見を聞く前に俺の手をとり歩きだした。
背中には、好奇の視線と羨望の視線が五分五分で刺さっている。
・・何でか理事長や結先生にまで睨まれてるが、気にしたら負けだろう。



二人に睨まれ、恭子先生に腕をとられ、辿りついたのは・・・時計塔。
理事長と初めて出会ったあの場所だった。


「・・さて、話って言うのはですね」

コーヒーを三人分と自分はプリンを用意している結先生を尻目に、理事長がやたらシリアスなまじめな声を出した。
当然と言うか、ごくりと息を飲んだが。



「久住くん、私たちの恋人になってもらえませんか?」
「・・・・・」
「久住?どうしたの?」

とんとんと肩を叩かれ、俺はハッとした。
目の前の理事長は、マジメな顔のままだ。

「いえ、また恋人って言われたなと思いまして」「恋人、いるの?」

・・何故俺は恭子先生に睨まれてるのだろうか?よく見れば理事長や結先生までマジな顔だ。


「・・彼女を作れって親に言われたんですよ」



「じゃあ・・・」

理事長が顔を輝かせる。見て取れる雰囲気とは違って感情豊かな人だな。
「でも、何で『たち』なんですか?」
「私たちがみんな久住くんのことが大好きで、話し合った結果三人全員を愛してもらおうということになりました」


・・・結先生、即答ありがとうございました。

「・・・俺なんかで、本当にいいんですか?」

改めての質問。
そりゃあお姉さん方三人に愛されるなんて幸せ極まりないだろう。

・・・でも俺にそんなにいいところ、なかった。