4-585 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/11/07(火) 06:48:20 ID:AqtSTsWE

 「天ヶ崎さん、少し良いですか?」
 HRも終わり、意気揚々と帰ろうとしていた直樹と美琴の背中にちびっ子担
任のお声がかかる。
 「はい?」
 「提出して貰った進路調査の書類で確認しておきたいことが幾つかあるので、
都合が悪くなければ今からお話がしたいのですけど、宜しいですか?」
 と言いながら結は美琴と直樹の両方に微妙な目配せを送る。どうやら進路云
々は建前で、本当の用件はオペレーション・サンクチュアリ関連らしい。
 「えっと……直樹……」
 「良いから行ってこいって。ハンバーガー屋は明日も開いてるだろ?」
 「うん、ごめんね?」
 「だから謝るようなことじゃねぇって。今日は真っ直ぐ帰るから、何かあっ
たら電話くれよ、な?」
 「うん、後で電話するよ。絶対するする!」
 「おう! じゃあ結先生も……」
 「ごめんなさいね、久住くん。気をつけて帰って下さいね?」



 「という訳で、道中の共を命じる!」
 「要するに、天ヶ崎さんに振られちゃったんだね。なおくんは?」
 「お前、最近微妙にノリが悪くないか? っつーか振られたんとちゃうわい!」
 「うふふふっ♪」
 こちらも偶然、部活が休みで直帰の予定らしい保奈美を捕まえて長い長い坂をゆ
っくり下ってゆく直樹。二人とも不用意に口に出したりはしないが、美琴と歩む道
を選んだ直樹と保奈美の間には緩やかな、しかし確かな距離感が生まれ広がりつつ
ある。だがそれは決して不快だったりする物ではなく、どちらかというと互いが明
日へと続く別々の大人への階段を昇ってゆくような、飛ぶことに目覚めた雛鳥が微
かな未練を足下の巣に残しながらも頭上に広がる新しくて広い世界へと羽ばたくよ
うな、名残惜しさと希望とが溶けて混ざった不思議な感覚である。
 「なおくんは、天ヶ崎さんと同じ大学にしたんだよね?」
 「まぁな。お前は……」
 「残念でした。長年の腐れ縁も、とうとう幕切れだよ?」
 何かを期待するような、恐れるような笑顔を浮かべながら保奈美が直樹の顔を覗
き込んでくる。
 「……そっか……」
 「うん。そろそろ自分の足で歩きたいって言うか、自分一人の力で何が何処まで
出来るのか試してみようかなって思ったの。それと、未来の数が沢山ある学校を選
んでから、改めて自分の将来を真剣に考えてみようって。」
 「相変わらずの優等生思考だな、ほなみんは。」
 「……ちょっと格好付けすぎ、かな?」
 「いや、どっちかっつーと安心した。色々な意味で。」
 「そう?」
 「ああ。俺も今度ばかりは本気で頑張ってみるよ。いつか、笑いながら同窓会が
開けるように、な?」
 「うん……」どこまでも深く高く晴れ渡った冬の青空を見上げながら、保奈美が
独り言のように呟く「……もう、春が近いんだね。」



 「なな、直樹ぃ〜〜〜〜〜っ!!」
 ずっと連れ添ってきた幼馴染みとの、そんなしんみりした一時から数時間後。現
彼女の天ヶ崎美琴が半泣き顔で渋垣邸に押しかけてきた。
 「ってお前、制服のままかよ!」
 「そんなことより大変だよ大事件だよ一大事だよ、乙女の危機だよぉ〜!」
 とりあえず部屋に通してみたものの、制服のままベッドに腰掛ける美琴の様子は
そわそわと明らかにおかしい。
 「何だか大ピンチっぽいのは理解できるが、それじゃ訳がわからん。良いから落
ち着いて最初から順を追って包み隠さず全部話してみろ。」
 「ぐすん。じ、実はね………?」
 

 「時空転移機の実験、ですか?」
 「はい。もう半年ほど前の話になりますけど、天ヶ崎さんがこちらの世界に来た
とき、何故か出現座標に誤差が生じて屋上に落ちてきましたよね?」
 「あ、はい……」
 学園の最深部に隠された巨大な転送機を前に相変わらずニコニコと話す結と向き
合いながらも、美琴の中で運命的とも言える直樹との出会いが頭の中で蘇る。思え
ばあの時に……
 「で、仁科先生の抗体開発にも光明が見えてきてオペレーション・サンクチュア
リも第一段階に区切りが付いたので、改めて時空転移機の改良と微調整を行うこと
になったんです。」
 「はぁ……」
 「天ヶ崎さんの時は、たまたま危険がない場所に出現できたから大事には至りま
せんでしたけど、転送物質の再構築時に空間座標の誤差が発生してしまうというの
は、本来あってはいけないミスなんですよ。」



 確かにそうだ。美琴の時も、あと数メートル違えば命に関わる事故になるところ
だったし、他の固形物質が存在している座標内に出現したりした日には何が起こる
か想像も出来ない。
 「既に、非生物を使ったテストは何の問題もなく終了していますし、実は天ヶ崎
さんの時以外では起こったことがない事故なので、最終テストとして天ヶ崎さんに
ご協力をお願いしたいのですけど?」
 「え、えっと……私がですか?」
 「ええ」と満面の笑み「とは言っても、特に変わったことをするわけでは無いの
で心配は要りませんよ。天ヶ崎さんに、こちらと未来とを一往復して頂くだけの事
なんですから。天ヶ崎さんは座っているだけでオーケーです。」
 「え………えぇっ?」
 「あの……なにか不都合でもありますか? 最初に言いましたけど、もう何回も
他の物質での実験を行って危険がないことは確認していますし、久しぶりに祐介く
んに会ってあげてはいかかでしょう?」
 「あの………えっと………は、はぃ……」

 
 「………という訳なんだよ………」
 「訳なんだよって……いい話じゃない。要は実験の名目で里帰りさせてくれるっ
て事なんだろ? たまには祐介にも元気な顔見せてやってこいよ。」
 「そ、それが、その……実は……あの、なんてゆーか、そんな簡単な話じゃなか
ったりしちゃったりして……えっと……」
 「なんだよ? 妙に歯切れが悪いな?」



 「なな、内緒だよ? 直樹だから言うんだよ? 誰にも言っちゃ駄目だよ?」
 「わかったわかった、わかったから早く言ってみろって。」
 「うん、実はね、ごにょごにょごにょ……」
 「…………………………………………………」
 「……ごにょごにょごにょごにょ……というわけで……」
 「な、何ぃーーっ! こっちに来るときに見栄張って身体測定データを改ざんし
ただとぉーーーーーっ!?」
 「わーーっ、わーーっ! 言わないでって言ったのにぃーー!!」



 美琴の話を要約すると、転送前の質量計算の為に受けた身体測定の際、検査官の目
を盗んでバストの数値だけを書き換えたと言うことだ。出現時に誤差が生じたのも、
設定時に入力された美琴のパーソナルデータと実数との間に開きがあることで発生し
たエラーである可能性が極めて高いと言うことだが。
 「だって、ほんの数センチ程度なら大丈夫かなって思ったんだもん……」
 「思ったんだもん………じゃねぇっ! どんな話かと思って聞いてみりゃ、一から
十まで全部お前の所為なんじゃねーかっ!」
 「その数センチが、乙女の運命を大きく左右したりするんだよぉ!」
 「確かに、大きく左右はしたな……」というか、どっと疲れた直樹「……というか
今度は正直に申告すれば済む話だろ……」
 「そ、それがぁ……」
 「あん?」
 「……この前、改めて計ってみたら……まだ足りないんだよぉ……」
 「…………足りないって……もしかして、胸の話か?」
 「うん」と涙目で頷く美琴「身長もヒップも……もちろんバストもだけど……こっ
ちに来る前よりは確かに成長してるんだけど、それでもあの時に書いた数字にはちょ
っとだけ届いて無くて……」
 「………………………………………」
 「半年だよ? こっち来て平和な暮らしして美味しい物食べて祐介の病気も快方に
向かって、しかも彼氏まで出来てエッチも経験したって言うのにおっぱいが小さくな
ったただなんて嘘でも言えないよー! 一生の恥だよぉぉぉぉぉ!!」
 「あー……」
 開いた口が塞がらない、という言葉の意味を身を以て体験した直樹だった。



 そして、こうなると残された手段は自ずと限られてくる。
 「あんっ!」
 大好きな直樹の手で胸を揉まれた美琴が可愛い嬌声をあげる。もっとも手っ取り早
い方法として、性行為に伴う女性ホルモンの分泌と乳房への集中的な刺激とで成長を
促進させよう、という話になったのだが。
 「……お前、喜んでないで意識を集中させろよな?」
 ベッドの上。互いに服を脱ぎ美琴を後ろから抱きかかえるように体を重ねた直樹は、
キスもペッティングも素っ飛ばして胸への愛撫に集中する。両方の乳房を下から持ち
上げるように掴み、そのまま母乳を絞るみたいな動きで刺激を加えてゆく。
 「だって……はぁん! 素直に感じた方がホルモンの分泌の……きゅうんっ!」
 恋人との交わりを期待してか、しっとりと汗のヴェールを纏った素肌は更なる愛撫
を強請るように直樹の掌に吸い付いてくる。そのこの上ない触り心地と女体が発散す
る甘い性臭、そして自分の腕の中で自分の手の動きに翻弄されピチピチと跳ねる恋人
の姿と声に興奮しない男など居るはずもない。何度となく何時間と無く味わい続けて
も飽きることがない美琴の体の魔力の前に、直樹自身も我を忘れ溺れつつあった。
 「ふぁ……ああん、直樹、なおきぃ……!」
 お腹を空かせた子犬のような瞳で顔を向けてくる美琴に応えて唇を貪る直樹。二人
の舌が自然と絡み合い、吸い合う唇と唇の間で互いの唾液をミックスさせ更なる高み
への媚薬のように嚥下し合う。
 「ちゅ……ちゅ……くちゅっ……」
 一方で汗が浮いた乙女の柔肌、しかも大量の皮下脂肪が蓄えられているヒップと男
性器が擦れる感触も二人のどんどん興奮させていた。直樹は恋人の素肌の触感に、美
琴は牡の味を覚えてしまった子宮の疼きに。挿入がもたらす最高の快楽という、言わ
ば禁断の果実の誘惑は甘美にして凶暴なのだ。



 「み、美琴?」
 「うん……」
 言葉の代わりに柔らかい指を肉棒に絡みつかせて応える美琴。どくどくと脈打ち絶
え間なく先走りを垂れ流し続ける劣情の象徴を愛おしげに物欲しげに細い指で包み、
慣れた動きで前後にさする。
 「私が合わせるから直樹は………お、おっぱいを、お願い……」
 美琴の秘所からも、直樹と同じかそれ以上の性液が溢れ出し二人の周囲を乳製品に
も似た甘酸っぱい香りで包み込んでいる。愛撫を加えながらも直樹の角度を疼きの源
へ向けて調整しつつ、ゆっくりと腰を下げて恋人を迎え入れる。やがて直樹が淫唇を
分け入るように蜜壺の入り口にたどり着き。
 「直樹…………来て?」
 
 (ずんっ!)

 「ぐ……!」
 「あ……あ………!!」
 そこからは、もう無我夢中だった。後側位という深い結合が難しい体位故に、二人
は互いの臀部を打ち付け合うかのように激しい動きで交わり少しでも深い所で愛し合
おうと汗を撒き散らす。
 「なおきっ、なおきっ!」
 抑えが効かなくなった直樹の硬い指が乳房に食い込むが、その痛みすら今の美琴は
快感へと変換してしまう。これ以上ないと言うくらいに突き出た乳首を指の隙間で挟
まれ、女性の象徴たる膨らみを乱雑に扱われながらも、少女はシーツをきつく握りし
め絶頂へと駆け上がってゆく。
 「美琴、俺、もう……!」
 「良いよ、良いよ! 中に………私の中にぃ……」
 その言葉が引き金になったのか、直樹は出口へといっきに殺到してくる灼熱の弾丸
で美琴の体内を染め上げようと最後の力で子宮を突き上げ。
 「う……うぐっ!」
 「んっ! んんんんんんーーーーーっ!!」
 体内で弾けた直樹の熱さに応えるよう、美琴は全身を硬直させ痙攣させながら放た
れた全てを一番奥へと絞りとって………果てた。



 「それでは天ヶ崎さん、準備は良いですね?」
 「う、うぅぅ〜!」
 「ほ、ほら美琴。向こうで祐介も待ってんだから、もっと良い顔してやれよ、な?」
 「うぅ〜、うぅ〜!」
 「まぁまぁ久住くん、唯一の家族のと再開なんですから、余り無理を言ってあげな
い方が良いですよ。きっと祐介くんも、お姉さんの元気な姿を見られるだけでも充分
だと思っている筈ですし。」
 結局、たかが数日程度で劇的な変化が望めるはずもなく。美琴は幾つかの手土産と、
連絡書類と、何故か減ってしまった胸囲と、複雑な涙を抱えて一緒に無事に里帰りを
果たした。
 「ふ、不遇だよぉ〜!」
 もちろん時空転移機は完全な動作を果たし、もう屋上に天使が舞い降りることは二
度と無かったという。