2-134 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/09/29(金) 10:46:57 ID:0OICeYp1

今日は私の誕生日。
 父様から「何が欲しい」と言われたとき、私は迷わず「時間」と答えた。苦
笑いとともに「いいだろう」と言ってくれた父様の頬にキスを返す。
 セレモニーを夜の二時間だけにしてもらって、はじまるまでの時間を好きな
ように過ごさせてもらう。
 …
 ……
「貴重な時間をこんなところで、怠惰に使うのは王女様としてどうだろう?」
 達哉の声が耳をくすぐって、私は重たくなっているまぶたを持ちあげた。
 私はずっと彼といっしょに、ベッドの上で過ごしている。たっぷりと、愛し
てもらっている。
「どうだろうもなにも、素敵なことに決まっているじゃない」
 あれだけ責めて、私の体を熱くしておいて、そんな優等生なコメントしたっ
て全然説得力がない。だいたい、そう言いながら今なお胸のふくらみを撫でて、
いたずらしているんだから。
「達哉は、私とこうしているのが嫌なのかしら」
「嫌だったら、とっくにやめてるよ」
 爽やかな笑顔になって、手を妖しく動かす達哉。あん。ま、またそんなふう
にする。
 気怠さが火照りに追い払われる。何ひとつまとっていない体が自然にくねっ
てしまう。
「時間はまだ残っているわ。だから……」
 両手を伸ばせば、温かくほほえみながら達哉がかぶさってくる。燃える肌と
肌とがぴったりと合い、ひとつになる。
 ああ、嬉しい。私が生まれてきたのは、こうして達哉とひとつになるため。
達哉を体のなかに感じて、心から、そう思える。
 私を生んでくれた父様、母様。達哉を生んだ地球の御両親。月の民に地球の
人たち、すべての人に祝福を。達哉と会えたことに感謝を。
 こうして達哉とともにいること。これこそが私にとって最高のプレゼントな
のだから。