2-41 名前: フィーナらぶ [sage] 投稿日: 2006/08/27(日) 17:26:16 ID:GdMuSiYM

「お、おい。フィーナ」
「ふふふ。どうかしたのかしら」
 艶かしく、裸体をこすりつけてくるのは月の姫。高貴な姫は俺の婚約者。
 妖しい光を瞳にきらめかせ、しなやかな肉体を猫のように擦りつけてくる。
いや、猫のようでいて、実は獰猛な女豹かもしれない。輝きを増した緑眼に魅
入られて、俺はもう動けなくなっている。
 くすくすと笑うフィーナは上になって身を重ね、きゅっと俺を抱きしめる。
ぷるぷるぷにぷにしている肉塊が胸板に……。
「いや、その、えっと」
「気持ちよくない?」
「……とっても気持ちいい」
 あたたかくてやわらかい、女の子の体。でもフィーナは、女の子というには
発育がよくて、熟れつつある女の色香にあふれ、だから男である俺は……。
 艶然と笑うフィーナは俺の思いを見抜いている。
「もっと気持ちよくしてあげる」
 ほてっている股間がやさしく、あたたかく包まれる。とっくに固くなってい
るのに、ぐんぐんと大きく、どくどくと血液が。
「うっ。フィ、フィーナ、お、俺っ」
「いいのよ」
 うっとりとした声を聞いた瞬間、気が遠くなるほどの快感が……。



 意識が浮かびあがってきた。快適な目覚めでありながら、嫌な感覚に見舞わ
れている。見なくてもわかっているが、俺は上体を起こしてその場所を見下ろ
した。
 トランクスがぐっしょりと冷たく濡れている。下にあるシーツまで汚れてい
る。
「はあ」
 時折り神様は心地よい幸せな夢を見せてくれる。そして、最悪の朝を迎えさ
せてくれる。
 週に一度は見る、フィーナとの淫夢。フィーナの声を、いい匂いを、肉体の
やわらかさを俺はしっかり覚えている。なんども激しく愛し合った記憶が、月
に帰ってしまったフィーナを寂しく思う気持ちが、こんな夢を見させる。
 フィーナにも驚嘆された、射精量。夢精であっても、いやいや、歯止めの効
かない夢精だからこそか、おびただしい量の液が放たれていて股布がどっぷり
と浸かっている。
 夢のなかでの射精の快感は気が遠くなるくらい。だが、フィーナのなかで放
つ快感に比べればいかほどのものでもない。
 下着に散った白濁液を見ていると、情けなくなってくる。
「はあ」
 二度目のため息を吐きだしてから、のそのそと起き出して始末をはじめる。
「わっ」
 机の上の写真スタンドで、フィーナがほほえんでいた。美しい無垢な笑顔を
今ばかりは正視できない。
 スタンドを倒し、こそこそとトランクスを穿き替える。どうせ隠しきれない
のだからと、シーツを毟り取ってトランクスといっしょにまるめ、洗濯機のあ
る脱衣所へと運んでいった。