2-36 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/08/25(金) 10:38:48 ID:Cvs/vmAK

「あつぃ〜」
「本当暑かったね〜 お疲れ様、お兄ちゃん」
「麻衣もお疲れ」

うだるような暑さの中2人で買い物に行って、ようやく帰宅。
商店街からは大した距離ではないのに、2人とも汗だくになってしまった。

「よっこいしょ」

玄関に荷物を置いて、ぱたぱたと手うちわで扇ぎ始める麻衣。

「こうすれば少しは涼しいかな」

と言いながら、服の胸元をもう片方の手で引っ張って
体の中を冷やそうと努力し始めた。
・・・・・・胸元に目がいくのは男の性だろう。

「と、とにかく生ものもあるから冷蔵庫に早く入れないと」
「あ、そうだね」

目をそらしつつ言いながら重い方の荷物を台所へ持っていく。
麻衣も続いてリビングに入って、

「クーラー入れるねー」 ピッ
「えーっと、牛乳はこっち、スポーツドリンクはこっち・・・油は・・・」
「あー涼しい〜」

・・・どうやら1人だけ涼んでるようだ。

「お〜い麻衣、俺はもう入れ終わったぞ」
「え、早いね?」
「そっちで麻衣が涼んでる間に入れたからな」

麻衣は相変わらず胸元を引っ張って
今度はクーラーの冷風を胸元に入れようとしている。
やはり胸元に目が・・・いかんいかん。

「俺、シャワー浴びてくるわ」

と後ろ向きで言いながらリビングを後にした。
麻衣の荷物には要冷蔵なものは入ってないはずだから大丈夫だろう。



「うお、汗でシャツが張りついてるぞ・・・」

脱衣所で今日の暑さを再確認する俺。
素早く服を脱ぎ捨ててさっさと風呂場へ。
かなりぬるめのの温度にセットして蛇口をひねる。
まもなくぬるま湯がシャワーから落ちてくる。

「おおー気持ちいい・・・体も洗うかな」

と目をやると、ちょうど石けんが無くなっていた。
(しょうがないな・・・)
少し風呂場のドアを開けて、

「麻衣ー」

リビングの方から返事が。

「何ー? お兄ちゃん」
「石けん無くなってるから持ってきてくれー」
「うんわかった。買い物の整理が終わったら持っていくねー」

これでよし。先に頭から洗うことにしよう。

「ふう、やっぱり汗をかいたらシャワー浴びるにかぎるな」

シャンプーを泡立たせながらどうでもいいことを独り言。
(シャワーなら水道代も安いしな・・・)
ますますどうでもいいことを考えている俺。

「お兄ちゃん、石けん持ってきたよ」

その言葉と共に風呂場のドアが開く気配。
しかし俺はドアに背を向け、しかも目をつぶっているために振り向けない。

「おお、サンキュ。手にのせてくれ」

と体を少しだけひねって、掌をなるだけ麻衣の方に向けて差し出す。

バタン
「ん?」
「へっへー。どうしようかな〜」

ドアが閉まる音と麻衣の声。ドアを通したようには聞こえなかったが・・・。
そして背後に立ち上るある意味禍々しい気配。
数瞬後、

「えい!」
「うぉっ!?」

一瞬何事か分からなかったが、すぐに麻衣が後ろから抱きついてきたと悟った。