1-383 名前: 失われた技術(テクニック)? (にられば) [sage] 投稿日: 2006/04/28(金) 22:05:14 ID:QCJfCJ0C

夜、朝霧家のリビングで皆と寛いでいるリース。
時間はまだ九時過ぎと言ったところだろうか。
ピンポーン
本来なら夜分なので男である達哉が見に行くべきなのだろが膝の上に
リースがいるので動けない。
「はーい」
麻衣がパタパタと玄関に向かう。
変質者ではあるまいとは思うものの………
よく考えたらこの家のリビングから玄関先は丸見えだった事に気が付き、
達哉が外を見るとさやかがカレンの肩を担いで佇んでいる。
「はは、カレンさんが酔い潰れるなんて見た事無いな」
微笑ましく見つめる達哉の膝の上でリースも一緒に外を見ている。
いつものブスッとした顔でカレンの存在を確認する。
(上からの情報によると月に戻っていたはず………)
プイッと正面に向き直る。

暫くすると先程まで達哉とリースが寛いでいたソファの上にカレンが横になっていた。
「貴方がアルコールに流されるなんて珍しいわね………」
さやかと一緒に介抱するフィーナ。
「姫様にも御迷惑をお掛けして………申し訳ありません………」
言葉通りフィーナにも迷惑を掛けた事に恐縮しているのか意気消沈しているカレン。
そこへ水の入ったグラスを持ってトテトテとリースが歩いてくる。
「………水………」
カレンにグラスを渡す。
ほんの一瞬だがカレンの表情が引き締まる。
が、
「痛っ」
アルコールの過剰摂取の為、一瞬頭痛が走る。
(殺気?)
カレンは何か空恐ろしいものをリースから感じ取る。
だが、トテトテと歩いていく彼女の後ろ姿を見て思い過ごしだと考える。
(気の迷いだろうか?)
何処となく今日のカレンは疲れている様だった。
月と地球を短期間で行き来したので疲れてるのでは?と親友のさやかが
心配しても当のカレンの反応は今ひとつ。
「………そうかもね………」
結局その夜、カレンは朝霧家に一泊する事となった。
そして深夜、リビングで寝ていた筈のカレンは起きあがる。
月から急遽戻ってきた目的を果たす為に………
そのままリビングを出て行こうとするカレン。
「………待て」
ハッと身構えて振り返るカレン。
するとそこには月明かりを浴びた戦闘スタイルのリースがカレンを睨んでいた。