1-238 名前: 電気羊は淫夢を見る?(にられば) [sage] 投稿日: 2006/03/13(月) 01:51:35 ID:DqO6Sr3V

「………今、何と………」
源三が聞き直す。
「久住直樹君を私達に戴きたいと………」
玲が即答する。
「………はぁ………仰る意味がよく意味が分からないのですが………」
「こちらでお預かりしている久住直樹君をお婿さんに戴きたいのです」

「えーーーっ」
絶叫の多重奏が渋垣家に響く。
皆が皆、隣人の顔を覗いたりと驚きを隠せないが保奈美だけは落ち着き払っていた。
少なくとも外見上は………
内心、いきなり婿にと迫ってくるとは想定外だった。
「どういう事だ………直樹………」
目が点状態の源三。
「先ずこれから話す事は他言しないで下さい」
三人の口から語られたのはオペレーションサンクチュアリの概要、
及び百年後の世界の現状だった。
「と言う訳で百年後の世界では人間が減り過ぎてしまい、子孫繁栄の
為に一夫多妻が認められているのです」
ふと保奈美はある事に気が付く。
一夫多妻。
それは直樹が複数人の女性と結婚しても大丈夫だと言う事。
それはつまり………
「なおくん、一緒に行ってもいい?」
「え?」
「私もなおくんのお嫁さんになるってこ・と」
アッケラカンと言い放つ保奈美に言葉を失う直樹。
「まっ、一人くらい増えたところで変わらないかわよ」
だが先程の保奈美の発言がきっかけとなったのだろうか?
「わっ、私も行く。久住君の事好きだもん」
「わ、わたしだって………」
「わ、わたしもっ」
次々と名乗りを上げる少女達。
「なにか大変な事になってきましたね………」
結が久しぶりに発言する。
「あらあら」
何故か微笑ましい英理。
「何だか知らんが両手じゃ花を抱えきれないじゃないのか?」
同じく何だか楽しそうな源三。
「娘をくれてやるんだ。泣かすなよ」
バンバンと直樹の背中を叩く。
「直樹君、茉理をお願いします」
ピーンポーン
その時、再びチャイムが鳴った。
「あっ」
保奈美は重要なことを忘れていた。
理事長に対抗する為に肩書きを持った助っ人を呼んでいた事に………
「秋山さんの事、忘れてた………」