1-234 名前: 電気羊は淫夢を見る?(にられば) [sage] 投稿日: 2006/03/11(土) 23:47:33 ID:+g3tlfkX

リビングのソファーに座る教師三人。
疲れ切っている直樹。
脇でそわそわしている茉理。
「どうぞ」
英理がお茶を出す。
「お邪魔しまーす」
「あ、保奈美ちゃんが来たみたいね」
内心穏やかでない直樹。
保奈美が笑顔でリビングに入ってくる。
「なおくん、さっきはゴメンね」
申し訳なさそうに謝る保奈美。
「あ、あぁ」
あっさり引き下がられたので拍子抜けする直樹。
むしろ直樹の方が申し訳なく思っているだから。
自らが望んでというよりは誘導されるように三人と関係を結んでしまったものの
自分の不甲斐なさを嘆いていた。
その時、三人の中で結だけはそわそわしていた。
直樹の担任でもあり天文部顧問でもある結は直樹と保奈美の中が進展しつつある事を知っていた。
玲の機能を正常化する為とはいえ、それを利用して自らも直樹と関係を結んで
しまった事で自らに嫌悪感を抱いていた。
直樹をいきなり今日、保奈美から奪ってしまうのだ。
チラッと横を見やる結。
だが横に並んでいる玲と恭子は顔色一つ変えない。
覚悟が決まっているのだろう。
三人に向き合ったソファーに直樹、源三、保奈美。
その両脇に英理と茉理。
「それではお話に入らせていただきます」
玲が言った。
緊張する結。
何時になく見た事がないよう位真面目な表情の恭子。
ごっくん
息を呑む。
ピンポーン
突然のチャイムによって緊張の糸が緩む。
「わたし、見てくる」
茉理が玄関に向かう。
「あ、あぁ、話の続きをどうぞ………」
柄にもなく緊張している源三が促す。
息子同然の直樹の事で学園の理事長自ら訪問してくるのだから、ただ事ではない。
カランカラン
玄関に据え付けてある大きな鈴が鳴り響く。
「直樹、天ヶ崎先輩とちひろが直樹に話があるって」
玄関から茉理の声が響く。
「えっ、俺に?」
このタイミングは悪すぎる。
困惑する直樹。
「天ヶ崎さんと橘さんですか………」
結が呟く。
「でも、天ヶ崎と橘なら問題ないんじゃない?」
「そうですね」
こうして美琴とちひろを加えて話が再開される。
「率直に申し上げます」
キリリと引き締まったいつもの勤勉な表情の玲の口から言葉が紡ぎ出された。
「直樹君を私達に下さい」