1-136 名前: プリンセス スクランブル 第三章〜欲望編〜 [sage] 投稿日: 2006/02/16(木) 01:30:00 ID:kPEvp9c8

「なおくん、起きて。朝だよ」
「うーん……」
「もう、早く起きないと……あ、そっか」
つい、いつもの調子で直樹を起こしにきた保奈美は昨日からの状況を思い出した。
現在、直樹の中にいる人格は朝霧達哉なのである。

「たっちゃん、朝ですよー」
「……うん?」
妙な呼ばれ方をした気がして目を覚ます。目の前には夏制服+エプロン姿の保奈美。
やっぱりこれは夢じゃなかったか……と溜め息混じりの大欠伸をする。
「よく眠れた?」
「まあ普通かな……ありがとう、起こし来てくれて」
「あっ……うん、こちらこそ」
お礼をされて何故か視線を外して顔を赤らめる保奈美。
きっとこうして礼を言われるのに慣れていなのだろう。

顔を洗ってリビングに行くと既に朝食の準備がされていた。
茉理や源三さん、英理さんの姿はない。
「これ、もしかして全部保奈美が?」
「そうだよ。おばさまには昨日事情を話しておいたから。
 あ、おじさま達は今日も仕事だからってもう出かけたよ」
聞けば昨晩遅くなることも伝えておいてくれたらしい。
どうりで問い詰められることもなかったわけだ。まったく気が利いている。
テーブルの上には基本的な和食が一式並ぶ。味噌汁を手にとって一口。
「うまい」
「よかった、それじゃいただきます」
麻衣や姉さん、ミアが作るのも勿論美味しいけど、それらを凌ぐ美味さだ。
同じ幼馴染みでもこうも違うものか、と菜月の顔を思い浮かべる。
「きゃあっ!!」
「ぐへぇ!?」
瞬間、顔面にしゃもじがヒットした。
「ごっ、ごめんね!後ろにゴキブリがいたから……」
「あぁー、なるほど」
スリッパを拝借して壁から叩き落す。ティッシュに包んでトイレへ。
しかしここでアレを自分が喰らうとは……菜月、怖ろしい子。

朝食を済ませ、保奈美が片付けている間に制服に着替えて学園へ行く準備。
なるべく人と接触しないようにと茉理が起きてくる前に早めの時間に出発。
今日は土曜日……半日とはいえ学園で久住直樹を演じなければならないのだ。
他の皆には休んでもいいと言われたが、それは申し訳ない気がして普通に登校すると宣言した。
保奈美曰く、授業中でも眠り続けてて構わないというが……。

まだ人が少ない通学路を保奈美と二人で歩いていく。
たまに横をちらっと見るとそれに気付いてにこっと微笑んでくれる。
「くすっ、どうしたの?さっきから落ち着かないみたいだけど」
「ああ、いや、何でもない」
文句なく可愛い。昨日初めて会った時も思ったけど、本当に魅力的な子だ。
同じ時代に生きていたならこんな子と……
キィィィィンッ──
「うぐっ!?」
「!なお……達哉くん?」
「だっ、大丈夫……ちょっと目眩がしただけさ」
「そう?ならいいけど、具合悪くなったらすぐ言ってね」
謎の頭痛で一瞬フラッとよろけそうになったのをすぐ側で保奈美が支えてくれた。
それにしても今のは何か嫌な痛みだった……まさか今度はフィーナの念?
これ以上浮わつかないようにしようと心に決め再び歩き出した。



一方、蓮華寮では──
チュン チュンチュン
「ん……」
朝。小鳥の囀りで目を覚ます。結構長い時間寝ていたように思える。
見知らぬ地で眠るということはもう身体が慣れてしまった。
しかし疲れていたとはいえ、少し眠りすぎたかも知れない。
早く達哉に会いたい、そう思って体を起こそうとする。が、体が重い。
風邪?別段熱っぽさはない……金縛り?完全に動けないわけではなかった。
「むにゅ……」
「ふ、文緒……」
いつの間にか一緒のベッドで寝ていたようだ。
だがいつまでもこうして抱き枕にされ続ける訳には……
「ふみゅ……」
「うっ」
抜け出そうと試みるも、襟元を掴んで足を絡められて離れてくれない。
「困ったわね」
いっそ一撃加えて気絶させようかと頭をよぎる。しかし恩を仇で返すような真似は……
「はむ」
「あうっ!!?」
いきなり耳を甘噛みされた。寝息がしているということは故意ではないと。

しかし文緒の攻撃(?)は止まらず、胸の上に置かれた左手がわしゃわしゃと動く。
「く……っ!」
このまま責め続けられしまっていてはスフィア王国第一王女の名が廃る。
反撃すべく文緒の胸へ腕を伸ばす。 しかし彼女の右手がそれを遮った。
この身のこなし……眠っているとはいえかなり腕の立つ人間でだ、そう認識する。
抵抗する隙もなく文緒はもぞもぞと体をずらしてうつ伏せで覆い被さってきた。
文緒の顔が乳房の中に埋まる。漏れる吐息が胸を熱くさせる。
「うっ、あ……んっ……ぅ」
何とかもがいてみても両脚の間にある彼女の脚が擦れてしまう。
すると脚を悟ったかのようにさらに摺り寄せてくる。そしてまた体勢を変えた。

「だ、だめ!こっ……これ以上は……!」
「んー、お姉ちゃんの言う……事聞きなさぁい……むにゃ」
顔が至近距離まできた。振り向けば唇を重ねてしまう、と必死に首を反らす。
このままでは……本当に…………何故か頭の奥がボーッと熱くなってくる。
「ちゅー……」
「ふみ……お……」
コンコン
「っ!!誰か来たわ!」
「ハッ?!」
ドアがノックされる音と同時に二人は飛び起きた。
「あ、はーい、誰ー?」
何もなかったかのように応対しに行く文緒。危うく過ちを犯してしまうところだった。
「あら橘さん、おはよう。どうしたの?」
「秋山先輩、まだいらしてたんですか。もう学園に行ったのかと……」
聞こえてきた話声に気付いて時計を見ると8時を指し示していた。
「きゃあぁっ!どうしよう、8時に時計塔って約束したのに!」
「そ、それは本当なの?急がなくては!」
二人して大慌てで支度を始める。
「すいません、私は先に行ってますね」
「そう……ね、、じゃあ、あと……は、私に任せ……てっと!」
話しながらもテキパキと身支度を整えていく文緒。やはりただ者ではない。
「そうだ、フィーナさん。これを」
「これは……制服?」
「ええ、流石にドレスのまま行くのは目立っちゃうから、学園着くまではこれで我慢してね」
「わかったわ、ありがとう」
手渡された蓮美台学園の夏服に着替える。カテリナ学院のものより少しヒラヒラした感じ。
「それじゃあ行くわよ!」
胸や腰周りが少しキツいことは口にせず、荷物をまとめて寮を飛び出した。



時刻は7時50分。約束より10分早く時計塔に着いた。
「先に中入ってよっか」
「そうだね、先生や俺の体のことも気になる」
フィーナ達を待たずに時計塔の中へ入った。階段を昇ってまずは上を目指す。
途中、理事長室にて結宛てのメモを見つけた。どうやら仁科先生と宇佐美理事長は出張中らしい。

コンコン、ガチャ
「失礼します」
二人で静かに入室。気付かれていないのか、結先生は画面に向かってキーを打ち続けている。
カタカタ打つというよりはダダダダとキーを叩いている、それほどのスピードだった。
別画面のリースと目が合う。邪魔しないで、視線からそう読み取れた。
そういうことならとすぐに装置室を後にして地下の研究室へ向かった。

「さて、これからどうしよう……あれ?俺の体は?」
「きっと奥の病室じゃないかな、ほらあっち」
誰かが動かしたのか、昨日寝かせておいたはずの応急用のベッドの上には姿がない。
保奈美に指された方を見るともう一つ扉があった。
向かいの壁のマジックミラーから中を覗くと、自分の体が寝かされていて安心した。
「……ふぅ」
「どうした?」
この部屋に入って以来、保奈美の表情が暗い。以前ここで何かあったのだろうか。
するとこちらから聞く前に彼女は静かに語りだした……。

「ちょうど1年前くらい前のことかな、なおくんの記憶が戻ったのは」
「えっ……記憶喪失……?」
保奈美はその問いに頷くと話を続けた。
彼、久住直樹は過去にも時空転移装置の事故に巻き込まれたことがあったらしい。
それがきっかけで両親と記憶を失い、それと同時にもう一人の自分が分裂、そして融合……
「そっか、ごめん……また辛い事を思い出させてしまって」
「ううん、いいの。なおくんはきっと戻ってくるって、信じてるから」
目尻に光るものをすっと拭いながら微笑む保奈美。

すごい。この二人は誰よりも深い絆同士で結ばれている、そう思った。
だけどその絆なら俺も持っている。そうだ、俺にはフィーナがいる。
もしも、自分と直樹の状況が逆だったらフィーナもきっと俺のことを──
キィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!
「うぐっ、く……ぁああアッ!!」
「?た、達哉くんっ!」
これは朝方襲われたものと同じ感覚……だけど今回のが強い……意識が飛びそうだ!
「ぐわああっ!あがぁあぁぁ……!」
「えっ!!」
「っ……?」
二人同時に声のした方を見る。壁の向こうからも同時に唸り声があがった。
保奈美は慌ててドアを開けて病室の方へ向かう。
「ま、待っ……うぐうぅ……ッ!」
だめだ、追いかけたくても動くことができない……。

「なおくん、なおくん!しっかりして、私、保奈美だよ!ねえ、ねえっ!!」
「うぐ……ぁ……ほ、ほな……ふぅあぁっ!」
保奈美の必死の呼びかけに僅かに反応する達哉の中の直樹。
しかしベッドの上でもがきうずくまっている。
この状況、保奈美は前にも見た事があった……そう、直樹と祐介が学園の屋上で出会った時。
まさか、また二人を融合させることに?という思考が保奈美の頭をよぎる。
でも今回は体と人格が入れ替わったということで勝手が違う……
転移すればいいというものではない事はわかっていた。

ふと我に返ると二人の唸り声が消えていた。
「達哉くんっ!なおくんっ!!」



保奈美が名前を呼ぶと二人ともゆっくりと体を起こしはじめる。
もしかして体と心が元に戻った?期待で胸を膨らませる保奈美。
だがそれがぬか喜びだったことがすぐにわかった。
立ち上がる直樹と達哉。保奈美は彼らの目を見て奥に揺らめく何かを見出した。
(そう、この目は……エッチな時のなおくんの眼と同じ!!)
逃げだそうと一歩たじろぐ保奈美。だがベッドから飛び降りた達哉の体に羽交い絞めされる。
「きゃあっ!!ちょっと、そんな、だめぇ……!」
二人は保奈美を病室から研究室内のベッドに運び出した。
そしておもむろに保奈美の体中をさわさわと触りなぶる。
二人の手が保奈美の胸、腰、尻、太腿とせわしく這い回る。

やがて胸のリボンが解かれて制服が開かれる。それと同時にスカートにも手がかけられた。
「やだ……こんなの、やっぱりだめだよ……」
上下黒色の下着だけに剥かれてしまった保奈美が涙目に訴える。
しかし今の二人にはどれだけ言っても思いが伝わることはなかった。
達哉の顔が近づき、保奈美に口付けをする。
「ーーーーっ!!」
保奈美は突然のキスに目を白黒させる。
もうどちらが達哉か直樹かなどわからなくなっていた。
続けざまに達哉は保奈美の首筋、鎖骨、胸などを舌でなぞっていく。
直樹は下着の上からヴァギナ全体を嘗め回す。
「だ、だめ……そこは……んぅ!……っ、あぁぁ……」
徐々に力を失う保奈美に反比例して二人の眼は、よりギラギラとしたものになる。

そして最後の下着を脱がそうと手をかけようとしたその時──
バァンッ
「達哉!!」
「久住君っ!!」
扉を突き破るようにしてフィーナと文緒がようやく到着した。
着いて早々、研究室内で起こっていることに絶句する。
「これは……いったい……そんな、達哉が……」
保奈美から体を引く達哉。その二人の口から口へうっすらと涎の糸が光った。
最愛の人の唇が他の女性と合わさったことにショックを受けたフィーナは倒れてしまう。
「秋山さ……逃げ……て……!」
途切れ途切れ、糸のような声が保奈美から発せられる。
身の危険を感じとった文緒は荷物を持ったまま一人病室へと逃げ込み鍵をかけた。
「!!しまった!フィーナさんが」
しかもここは出口と反対方向。逃げ出すことも不可能と逆に自ら追い込まれてしまった。
どうすることもできなくなった文緒は震えながらその場にへたり込んだ。

一方、直樹と達哉は矛先をフィーナに向ける。
場所など関係なしという勢いで二人がかりでフィーナの体にむさぼりつく。
少しきつめの制服を着てここまで走ってきたせいか、白い布地に汗が染みて所々透けている。
二人はそれらを嘗め採るようにフィーナに吸い付く。
特に胸はノーブラで乳首の形がくっきり浮き出ていた。
銀色の長い髪は乱れ、制服も汚されていく……。


「う、うーん……ッッ、私は……?」
気を失っていたフィーナがようやく意識を取り戻す。
気付くといつの間にかベッドの上で裸にされていた。
隣には同じく裸の保奈美の姿。無言で少し震えている。
ベッドの前には達哉と直樹。ここにいるのは皆全裸。
保奈美には達哉の体が、フィーナには直樹の体が近づいていく。
もちろん既に二人のペニスは隆々と反り返っていた。
「なっ、直樹……いけないわ、待って……」
ベッドの両端に追い詰められた保奈美とフィーナ。
達哉と直樹は無言で怯える二人に覆い被さり、ペニスの先端を割れ目にあてがう。
そしてゆっくりと腰を沈めていく……



「あうっ……だ、だめ……ぁはあっ!!」
「きゃ……あんんっ……!!」
それぞれの肉壷が同時に奥まで貫かれる。
お互い初めて、別の肉棒の感触を味わうこととなった。

フィーナはシーツを掴み、歯を食い縛りながら耐えている。
一国の姫が他の男と繋がるなど、決してあってはならないこと……
そんなプライドがフィーナの頭の中を駆け巡る。
しかしその感情にも増して快感の波がフィーナに押し寄せる。
葛藤する彼女の心は直樹の激しい突きによって決壊寸前。
「あ、ぅぐっ、ん……はぁっ、た、た……つや……」
横を向くとそこには保奈美を貫き続ける達哉の姿。
体が入れ替わっているとはいえ、自分の男が他の女としている姿は苦痛だった。

「フィー……ナ……ッ」
「っ?!な、なお……き?」
ふと直樹がフィーナの名を呼んだ。フィーナは驚き直樹を見つめる。
するとこれまで魂が抜けたようなうつろだった瞳に生気が戻った気がした。
「……いくよっ!」
「えっ……きゃっ、あんっ……ふあぁ……!」
そう言って直樹はリズミカルにフィーナの膣内をかき回す。
これまで一定だった腰の動きに緩急がつけられフィーナもそれに合わせて身を揺する。
(こ、この感じ……達哉、やっぱり達哉なのね!!)
頭の中にくぐもっていたものが段々晴れていく。
やはり私の前にいるのは達哉だ、フィーナはそう確信した。

「なおくん、なおくんっ……もっと、きて……!」
「ほな……みぃっ……!」
一方の保奈美も達哉の体中の直樹を見出していた。
それに応えるように達哉はズンズンと保奈美の中を突きたてる。
「うおおおおおおおおおっ」
「おあああああああああ!」
達哉と直樹はスパートをかけるようにピストンの速度をあげた。
すると二人の体が淡い光を放ち始める。
「達哉っ、達哉ぁぁ……っ!!」
「なおくんっ、私、イッちゃう……!!」
フィーナと保奈美も絶頂を迎えた。
それと同時に二人の中でペニスが唸りをあげ暴発した。
ドクンッ、ドプッ、ドピュ、グププ……


「な、何だったの?今の光は……」
病室に避難していた文緒が謎の閃光に気付き、恐る恐る扉を開ける……。
ベッドの上には体液まみれで裸のまま絡み合った四人の姿。
「……一応息はあるわね、よかった。それにしても……臭」

あちらこちら汚れた箇所を見つけては掃除して回る文緒。
「はぁ、私ってば授業にも出ずに何してるんだろ……
 あ、女の子二人だけでも体拭いておいてあげた方がいいかな」
悲しき習性、そう呟きながらも委員長らしく後片付けをこなしていった。



カラーン、カラーン、カラーン……
「う、うーん……」
「く……私たちは一体……」
「フィーナさん、藤枝さん、大丈夫?」
1時間目の終了を告げる鐘の音と共に二人が先に目覚めた。
「まさか今度は貴方達が入れ替わってるとかないわよね?」
「いいえ、そんなことないわ。大丈夫よ」
「うん……なんとかね」
「それで、これからまたどうするの?また起きそうもないけど」
男二人はまた眠ったまま起きそうな気配がしない。
「なら今度は私がここで番をしているわ」
「でもまた一人で襲われたりしたら危険じゃないかしら」
「安心して、こう見えても護身術程度のものなら心得ているのよ」
「そうなんだ。さすがお姫さまは文武両道なんですね」
「そんなことより藤枝さん、授業出るならまだ2時間目以降なら間に合うわよ」
「うーん、やっぱり出た方がいいかな。なおくん用にノートも取っておいてあげたいし」
「はい、そうと決まればお二人は早く校舎の方へ」
「わかりました。じゃあフィーナさん、あとはよろしくおねがいね」
「何かあったらすぐ逃げてね」
保奈美と文緒は駆け足で研究室を出ていった。
「……さて、しばらくしたら装置室にでも行ってみようかしら。施錠していけば大丈夫よね」

そしてしばらくした後、時空転移装置室──
「失礼します……あらリース、おはよう」
「ん、おはよう」
室内は閑散としていた。画面上にリースは待機しているものの、他に姿はない。
「野乃原先生はどうされたの?」
「さっき出てった。授業に」
「ではもう装置の改良は済んだのかしら?」
「あと少し。だから行かせた」
「そう、ならよかったわ」
「タツヤは、元に戻った?」
「え、ええ、いろいろ試してはいるものの……今は眠っているわ」
「……そう」
歯切れ悪く答えるフィーナを見てリースは僅かに顔をしかめた。
「そうだわ、達哉たちの看病を続けなくては……」
フィーナは慌てた様子でいそいそと装置室を後にした。

ちょうどその頃、地下研究室では……
「ッ……んん、あれ?何で俺はこんなとこで寝てんだ?それに……」
目が覚めると床の上。格好はパンツ一枚。横には同じくパンツ一枚の見知らぬ男。
「え、まさかな……無意識でコイツとあんなことしちゃったわけじゃないよな?
 ……そうだ、確か空から人が降ってきて──」

ガチャ
「あら直樹、目が覚めたの?」
扉の方を向くとドレスを纏った綺麗な女性。歳は同じくらいだろうか、スタイルは……上!そして綺麗!!
「どうしたの?まだ気分が優れないのかしら」
「え?あ、ああ、ちょっとな」
「それとも二人きりの時くらい達哉と呼んだ方がよかった?」
達哉?この横で寝てる奴か?それがこの姫様の相棒ってことで、その名前ってわけか。
でも何で俺のことをそんな勘違いしてるんだ……?
「そ、そうだ。とりあえず着替えていいかな」
「あっ、ごめんなさい。私ったら……外出てた方がいい?」
「ああ、後ろ向いててくれればいいよ」
制服に袖を通す。その隙に携帯で日付を確認。俺は丸一日近く眠ってたのか?
「それにしても、どうしたらその入れ替わり現象は元に戻るのかしらね」
「うーん、どうだろうね」
(……空から降ってきたショックで俺とこの達哉の人格が入れ違ったということか)
一度祐介と融合した経験のある直樹本人だけにそういうことへの理解は柔軟だった。



直樹は高速で頭の中を整理する。昨日の昼、空から男と姫が降ってくる。
その時男と衝突して人格が入れ替わり、直樹に入った達哉だけが直樹として活動していた。
そして今日になって何があったかは知らないが元に戻って今に至る。

「達哉?何か考え事でも?」
「いや、なんでもない。それと、やっぱりここは直樹で通してくれ」
「そう……わかったわ、直樹」
直樹の胸がドキッと高鳴る。同年代の子から大人びた声で名を呼ばれたことで、
今までに感じたことのない、高揚感のようなものを覚えていた。
「そうだ、ここに居ても息が詰まるだろうし、学園内を回ってみないか?」
「えっ、でも……」
「心配ないって、こいつはここに寝かせておけば。なあ、どう?」
「そこまで言うのなら……では少し待ってて。文緒から借りた制服に着替えるわ」
「ああ。それじゃあ先に理事長室の方まで出てるから」

何とか正真正銘の久住直樹とバレずに話をすすめることができた。
しかし校内を回ると言っても今は授業中……迂闊に動き回ることはできない。
欠席扱いになってるのかは知らないけど知り合いに遭わないようにした方がいいだろう。
「お待たせしました」
「よしっ、じゃあ行こう」
「あ、あの、直樹?似合ってる……かしら」
パタンと扉を閉めて目の前に立つ。問題ない、普通に着こなせている。
これなら生徒として紛れていても変に騒がれたりはしないはず。
「でもちょっとなぁ……」
「? どこかまずいところがあった?」
「いやね、あんまり綺麗で似合いすぎてて逆に注目されちゃうかなー、と」
「もう、このフィーナ・ファム・アーシュライトをからかうような事を言って。
 冗談では済まさないわよ?ふふっ」
「ハハハごめんごめん。それじゃ行こうか、フィーナ」
彼女の手を引いて時計塔を後にした。

そして校舎棟へ向かう。グラウンドでは体育の真っ最中。
静かに一階の昇降口を抜けて、中央階段を昇っていく。
ガチャッ──
屋上の扉を開けると涼しげな風が通り抜けていった。
空には雲ひとつない晴れた空が天高く広がっている。
「気持ちいいな」
「ええ、それに……」
フィーナはフェンスの方へ歩いていく。目を細めてこの街一帯を眺めていた。
風になびく髪をかき上げる姿は素直に見惚れてしまう程、それだけで芸術的ともいえる。
そんな彼女の姿をベンチから見ているだけでは物足りなくなった。
「あ……直樹……」
「フィーナ……」
静かに近づいて後ろから抱きしめる。
制服の上からというよりは直に抱いているようない気になった。
「あれ、もしかして……ノーブラ?」
「んっ、やだ……言わないでちょうだい」
図星のようで、胸をまさぐってみると丁度その辺りに乳首の突起を感じた。
「ちょっとこの制服では、ブラを付けていると形が浮いてしまうと思って……」
「なるほど、委員長のじゃあしょうがないか。でも付けないなんて大胆だな」
制服の上からくにくにと乳首を手の平で擦るように押してやる。
「な、直樹……こんな所で、だ……だめよ」
「授業中だし、誰も来やしないさ。それに……俺、もう止まれない」
乳房全体を包み込んでこねるように揉みしだく。制服の上からでも張りの良さが手に伝わる。
「あぁっ、そ……そんなに強く……んうぅっ!」
「フィーナの事、もっと感じたい……」
「直樹……」
フィーナの身体を引き寄せてキスを交わす。
お互い舌を絡めて舐め合う。唇と唇の間から二人の唾液が頬を伝っていく。
彼女の眼もまた俺のことだけを捉えていた。



二人でベンチに座ってまた唇を重ねる。そして目と目で確認しながらリボンを解く。
視界に飛び込んでくるのはきつい制服の中でその存在を主張し続ける豊かな胸。
そこへ惹かれていくように再び手を添えて徐々に力を込めていく。
「ん……んんっ……あっ……はぁ、ふぅ……ひゃんっ」
少し形が変わる程に指を埋め込んでみても、布地の下から押し返すような感触。
制服をたくし上げてやるとプルンと形の良い円錐形が露になった。
その先端には硬くなった乳首が少し荒い呼吸と共に上下している。
我慢できなくなってフィーナの左乳にしゃぶりつく。
乳房ごと口にほおばってちゅばちゅばと吸いあげ、もう片方の乳首を指で転がす。
「く、う……直樹、熱いわ……胸が……はぁぁっ……」
フィーナが顔を赤く染めるように俺の頭の中もフィーナの事で満たされていく。
興奮のあまりにボーっとしてきたが、それでも無心にフィーナのおっぱいを貪る。

「はぁ、はぁ、ぁふぅ……っ、んっ……はぁ……」
息を切らせて紅潮するフィーナ。下の方ではパンツにうっすらと染みが滲んでいた。
手を添えて指を押し込むとにちゅっと音を立てて愛液が染みが広がっていく。
「フィーナ、もうこんなに……」
「だって……直樹が赤ちゃんみたいに……胸ばかりいじるから……」
きゅっと胸を寄せて、潤んだ瞳でこちらに視線を投げかけてくる。
こうなれば堕ちない男はいないだろう。素直にそう思う。
保奈美といい、人間は平等じゃないなぁと心の中でほくそえんだ。
「なお……き?」
「んんっ、何でもない」
自分がどんなおかしい表情していたかはともかく、意識を目の前のフィーナへ戻す。
身体の感度も良好のようだが勘の方も鋭いみたいで油断はできない。

腰掛けたままのフィーナの脚を開かせ、その間に入りこむ。
顔を近づけて鼻を割れ目の溝に押し当てて上下に動いてみせる。
「あ……んっ、そんな、擦っては……ぁ……」
鼻先がクリトリスを掠めるとフィーナの身体がピクンと震えた。
唾液をねっちょりと乗せた舌でわざとパンツの上からねっちょりと舐めあげる。
「だめ……あっ、直樹……いけない……汚れて、しまうわ……」
「大丈夫、汚れてもフィーナは綺麗だから」
「も、もう……直樹は、しようのない事を……んんっ!」
染みはどんどん拡がっていき、もう秘部全体が透けてしまっていた。
「いっ、いやぁ……くぅ……ぬ、脱がせて……」
「ん、わかった」
そう言いつつ股の付け根から手を入れて肉壷に指の第一関節を食い込ませる。
軽く挿れただけでもくちゅくちゅ音を立てて愛液が滲み出してくる。
「きゃっ!んうぅ……な、直樹……っ、意地悪しないで……」
「ごめんごめん」
ゆっくりと指を引き抜いてパンツを脱がせにかかった。

そして女性器が露になるとまたそこへ顔を埋めてキスをした。
「直樹、よして……そこは……っう!?」
フィーナの呼びかけを無視して続け様に指を二本挿入する。
グチュグチュとかき混ぜるようにして中の感触を貪っていく。
すると白くて濃い液体が中から溢れてくる。
クリトリスを摘んでやるとフィーナの身体全体がひくつくように体を揺らす。
「あぅ……!ひゃう、っあ……んっ、ふぅっ、あぁっ……!」
肉芽を押さえながら指の出し入れを激しくしてやる。
襞を掻きまわすように中で動かすとドロリと愛液が零れる。
「あ、あっ、あっ、あ……直樹っ、私、もう……っっ!!」
「フィーナ……」
絶頂が近いのか、フィーナの声が跳ね上がる。
喘ぎ声と淫液の粘着質な音が脳を刺激して興奮が高まっていく。

我慢の限界に達した俺は怒張を解放しようとベルトに手を掛けた──
バンッ!!ヒュンッ……!
「そこまでよ!!」



「なんだッ?!」
直樹が扉の方を向くと矢が顔のすぐ横を飛んでいった。
「いいい委員長?それに……保奈美っ!ちひろちゃんまで?」
「なおくん、見損なったよ」
「久住先輩……信じていたのに」
「え……もしかしてっ」
「そうよ、元に戻ったことは朝霧君から聞いたわ。それで探しに来てみたらこんな……」
「ぐぅ……っ!」
詰め寄る三人の前に直樹はフィーナから身を離してじりじりと後退していく。
「フィーナさんごめんね、なおくんが酷いことを……」
「いいのよ保奈美は……そういうことだったのね」
保奈美から渡された真紅のショールを纏い、ちひろから手渡された竹刀を持ってベンチから立ち上がる。

「ま、待て、これには海よりも深く山よりも高い理由が……」
後ずさりながら直樹は往生際の悪い言い訳を並べるも、それがフィーナの逆鱗に触れる。
「問答無用ッ!!」
「ひぃぃっ?」
その鋭い眼光と一喝に直樹は屋上の隅で腰を抜かした。
追い詰めた直樹を見据えたフィーナは竹刀を構え、詠唱を始める。
「月よ、我に力を与えたまえ……その力が宿りし剣を今、振りかざす時……
 王女の名において滅す、必殺剣技・ラピスティックスラッシュ!!!!」
瞬間、竹刀が青白い光を放ち、そして直樹を一閃した!
「なんじゃそりゃあーーーーっ!!」
断末魔の叫びが蓮美台の丘に響き渡った……


そして日が暮れて──
「はい、ようやく完成です……」
「これでタツヤとフィーナ、こっちに帰ってこれる」
授業を終えた結先生の奮闘により、ようやく時空転移装置の改造が完了した。
「ありがとうございました。リースもお疲れさま」
フィーナと二人で結とリースに頭を下げる。
「いいんですよ、元はといえば私の作ったもののせいですし……」
「でも、こんな貴重な体験が出来て私はとても満足しているわ」
沈みそうな空気をフィーナが明るく答えて持ち上げる。

「もう……お別れなんですね」
しばしの沈黙を破ってちひろが呟く。
「最初はどうなることかと思ったけど、終わり良ければ……ね」
委員長がこれまでの時間を思い返すように語る。
「これ、お土産に持っていって」
保奈美がお菓子を詰めた袋を手渡す。
「ありがとう、みなさん……また、きっと、会いましょう」
それを受け取ったフィーナは目に涙を浮かべて言葉を繋ぐ。
「残念です……非常に残念ですけど、もう会うことはないと思います」
フィーナの切なる願いを断つように結先生が言う。
「A.D.2006との転送はこれで最後。今回の応急プログラムは一回使えばだめになる」
結先生の言葉に続けてリースが付け足す。
「何百年も離れた世界へ何度も転移するのは危険です。それが行方の知らない未来なら尚更のこと」
「そしてこんな過ちは二度とくり返させないために」
二人の技術者は極めて冷静だった。確かに今回のことは予期せぬ事。
生活水準は似ていると言えど、月にはそれを支えるロストテクノロジーが数多くある。
その一つでもまかり間違ってこの世界へ流出してしまっては歴史改変に発展する恐れも考えられる。



「タツヤ、そろそろ」
リースが帰還を促す。こちらに長居してしまえば月国王にも迷惑がかかってしまう。
俺は別れを惜しむフィーナの手を取って装置の方へ向かってゆっくりと歩き出した。
「こちらの準備はいつでもいいですよ」
コンソールの中央から結が声を掛ける。そして二人で装置の中へ入った。
「先生、おねがいします」
結先生は無言で頷いてキーボードの操作を行う。
すると来た時と同じようにガラス管が光を発し始めた。
「いよいよ……お別れみたいね」
さっきまで別れを惜しんでいたフィーナはぐっと堪えて顔をあげる。
そのフィーナを抱えるように腰に手を回して支える。
「それじゃ、さようなら」
「元気でね」
「楽しかったです」
「みんな、ありがとう……」
三人の女の子が手を振って見送ってくれる。それに応えてこちらからも手を振った。
そして、装置はまばゆい光を放って……


ヒュウゥゥゥゥ……ドテッ!
「痛たた、いきなり空中に出るのは仕方がないのか」
「達哉、大丈夫だった?」
「おかえりなさい」
「リース!すると、俺たち戻って来れたんだ」
周りを見回すとそこは月の遺跡の入り口付近だった。胸の奥から安心感がこみ上げてくる。
「さあ、戻りましょう。父様が心配しているわ」
こうして俺とフィーナは一日ぶりに月の王宮へと戻った。
戻ってからもあまり咎められる事はなかった。リースがうまく繕ってくれたのだろう。

その夜、フィーナはまた俺のところに来て今回の出来事について話をしていた。
「ははは、俺が眠ってる間に大変だったみたいだな」
「もう、笑い事ではないわ。こっちの気も知らないで」
「でも実際まんざらでもなかったりして……あ、いや、冗談だからな」
「……自分の事を棚にあげておくとは卑怯よ、達哉」
「え?」
「昨晩、文緒の部屋で私が寝ている横で何をしていたのかしら?」
「うっ、え……やっぱアレ、起きてた……んだ」
フィーナの目の色が変わり、こちらを文字通り見詰めてくる。血の気が引いていく感覚になる。
その深緑の瞳に吸い込まれてしまいそうで視線を反らせることができない。
「すきあり!えいっ」
「わっ?」
フィーナが勢いよく抱きついてきて二人でベッドに倒れ込んだ。
俺の上に乗ったフィーナは身体をすり寄せ、抱く腕にぎゅっと力を込める。
「私は貴方だけのもの……そして、貴方は私だけのものよ──」

地球に戻る前夜、二人は互いの愛を確かめるように唇を交わし、何度も体を重ね合った。

 プリンセススクランブル -完-