8_5-867 名前:流れSS書き ◆63./UvvAX. 投稿日:2012/09/25(火) 22:18:12.42 ID:2RyeAtZQ

 月人居住区のある中州を間に挟み、高層ビルが建ち並ぶ繁華街の対岸に位置する住宅街の中に建て
られた満弦ヶ崎大学付属カテリナ学院は見晴らしも良く、常に海からの風が穏やかに空気を入れ替え
ているので夏でも比較的涼しい。
 ましてや、その屋上ともなれば更に快適……な訳がなく、逆に直射日光で熱せられたコンクリート
の発熱で蜃気楼が立つほどの暑さである。
 「……麻衣?」
 が、そんな屋上にも知る人ぞ知ると言う穴場があった。夏休みも終わり日差しが傾き始めると、階
段棟の重い扉の裏側に、ほんの僅かだが一日中日差しが当たらないポイントが発生する。そこであれ
ば昼休みでもそこそこ涼しく、また喧噪からも解放された快適な隠れ場所となる。
 「あ、菜月ちゃん!」
 もっとも、そこそこ程度の涼しさを求めて更に快適な教室や食堂その他の場所を放棄する者などい
る筈もなく、結果として短期間ではあるが麻衣と菜月が内緒の逢瀬を繰り返すための学院内での隠れ
家となっている。
 「遅くなってごめんね? 翠に捕まっちゃって……」
 先に来てレジャーシートを広げ二人分のお弁当を前に待ってくれていた恋人……になったばかりの
先日まで幼馴染み兼妹みたいな存在だった麻衣の甲斐甲斐しさに思わず頭を下げてしまう菜月。
 「ううん、全然気にしてないから座って座って?」
 「そう……だね。うん、そうする」
 タンポポの様に飾り気がなく真っ直ぐな笑みに菜月も自然と笑顔になる。ちょうど一人分だけ残し
てある麻衣の隣に腰を下ろし、愛情の籠もった昼食に手を……
 「だぁ〜め!」
 「へ?」
 ……何故か嬉しそうに背中に隠されてしまった。
 「な、菜月ちゃんは私のカノジョさんなんだから」そしてチラリ、と上目遣い「気にしてないって
言われても、その……あるでしょ?」
 「え? あ……ああ、これで許して……ね?」
 座った場所から動かず、互いに首を伸ばし合って軽く。
 「ちゅっ」



 もっと欲しい、と半目でおねだりする麻衣の潤んだ瞳に引き寄せられ再び。
 「ちゅ、ちゅ、ちゅっ」
 面倒くさい子だなぁ、と心の中で苦笑する菜月だが、そんな所も可愛くて思わず抱きしめたくなっ
てしまう私も重傷だなぁと自分にも呆れてしまう。珍妙な経緯を切っ掛けに体から始まってしっまっ
た恋愛だが、とりあえずは幸せだから由である。
 「はにゅ〜ん、なちゅきちゃ〜ん」
 「んにょっ!?」
 などと暢気なことを考えていたのは菜月だけらしかった。甘い唾液でコーティングされた小さな舌
が僅かな隙間をニュルリとすり抜けて侵入してくる。そして常日頃から積極的で恋人の口内の構造と
弱点を探り尽くした巧みな動きと素早さで舌同士を絡め、触れ合う程度だったキスを瞬く間に吐息と
唾液を混ぜ合うディープなものにしてしまう。
 「ひょ! おひりゅ、おひりゅろはん!」
 「はむはむ。 じゅる、ちぅぅぅぅぅぅぅ……」
 「んんんんん〜〜……」
 駄目だと分かっていても唇を重ね粘膜同士で愛撫し合い、唾液を混ぜるという行為にハマってしま
う。何度繰り返しても、この心地よさというか、愛しい女の子と体内を愛撫し合い共有し合っている陶
酔感と興奮を自分の意思で全く制御できない。もっと奥まで舐め回したいと思ってしまう。
 「……って、らめ! ここ、らっこう……!」
 「んむんむんむ、れろれろれろ……」
 だめだ、また押し倒される! 喉を通って鼻孔まで広がってくる甘い香りを何とかこらえ、ありっ
たけの気力と腕力で細い肩を押し返すと、ちゅぽんと水っぽい音を立て麻衣の舌が菜月の口の中から
引き抜かれる。
 「あんっ!」
 「も、もう昼間っから可愛い声出さないの!」
 めっ、と目で叱っても麻衣は「えへ……」と妙に艶っぽい照れ笑い。
 「ほ、ほら口の周り拭いてあげるから」
 危なかった、あと数秒も続けたらスイッチが入り何もかも忘れモウドウナッテモイイ状態になって
いに違いない。テカテカと怪しく光る恋人の可憐な唇に少しドキドキしながらも、菜月は取り出した
ハンカチで麻衣と自分の口元を拭った。



 「うう、麻衣のお弁当が今日も美味しい。なんか落ち込んじゃいそう……」
 僅か一歳差とはいえ、年下の女の子から自分以上の女子力を見せつけられ微妙に消沈気味になって
しまう菜月。正式な秘密の交際を約束し合ってから麻衣は毎日のように二人分のお弁当を持参するよ
うになった。
 「だって菜月ちゃんに美味しいって言って欲しくて毎日作ってるんだもん、当然だよ。それに私は
部活が終わったら特にすることもないし、前からお料理とかしてたし」
 一方、麻衣の方はと言うと恋人に手料理を振る舞うことが出来てご機嫌。菜月が食べる様子を満面
の笑みで見つめている。
 「それはそうだけど、私だって一応は飲食店の娘なのにぃ」
 「でも将来の夢は獣医さんで、いまは受験生でしょ? そんな菜月ちゃんを支えてあげるのがカノ
ジョさんである私の役目なんだから……はい、あ〜〜〜ん?」
 「あ〜〜〜ん……うぅ、やっぱり美味しい……」
 と、ぼやきながらも仲睦まじく食は進み。
 「ふぅ、ごちそうさまでした」
 「はい、お粗末様でした」
 終わる頃には気分も良くなるのだから、やはり楽しい食生活は人生を豊かにする重要なポイントと
いえるのかも知れない。
 「あ、そうだ!  今日はデザートも用意したんだけど、食べるよね?」
 語尾を疑問形にしながらも麻衣の瞳は期待の色でキラキラと輝いている。どうやら菜月に選択肢は
与えられていないらしいが。
 「ま、まぁ入ることは入るけど、カロリーが……」
 「大丈夫だよ。美味しくて愛情はたっぷり入ってるけどお腹には優しいし、しかもカロリーは控え
めというスペシャルデザートなんだから」
 えっへん、と自信満々に胸を張る麻衣。
 「じゃあ……せっかくだし少しだけ貰おうかな?」
 「うん……いま、用意するね……」
 と何故か恥ずかしげに頬を染める麻衣。ランチボックスを横に退け、胸のリボンを解いてファスナ
ーを下ろし上着の前を開くと………ぷるるん。
 「……菜月ちゃん専用の特製ミルクプリン、召し上がれ……?」
 「って麻衣、ブラはっ!?」
 動転の余り、ツッコミが微妙にズレてしまう菜月。



 「えと、お手洗いで外して……ポケットの中」
 「つまり計画的!?」
 「そんな事より早く食べて、菜月ちゃん。さっきのキスでうずうずしちゃって……」
 「さ、さっきの……って……」
 菜月自身のバストと比べると二回りは小さい麻衣のそれ。だが成長期らしく中身がたっぷり詰まっ
たプリン型の乳房は若々しくツンと上向きに張り、先端の桜色は早くも顔を出している。
 「菜月ちゃぁん!」
 「…………………ごくり」
 ここは学園、しかも昼休み、そう頭の中で繰り返し自分に言い聞かせながらも菜月の視線は麻衣の
生乳にロックオンしたまま。逆に学園の中で、制服を着たまま胸だけを露出させているという背徳的
なシチュエーションにどんどん鼓動が速くなってゆく。
 「た、確かに美味しそうだしお腹には優しいしカロリーは低いと思うけど……」
 そんな言葉が漏れてしまう時点で完全に麻衣の術中に嵌まっているのだが、菜月は真っ白な処女乳
房と理性の狭間で無駄な抵抗を続けている。
 (ああ美味しそう……でも昼間っから女の子のおっぱいで興奮するなんて、私ったらすっかり同性
愛志向になっちゃったの? でもクラスの子達と一緒に着替えてても何も感じないし麻衣の裸だか
ら欲しくなってっるだけで正常だとと思うけどでもこのまえ翠から比べっこしようよって誘われたと
きに思わず揉みそうになったってことはやっぱり女の子の方があああああああああ………!?)
 「あ、忘れてたよ菜月ちゃん」どこに隠していたのか、メープルシロップの入った小瓶を取り出し
た麻衣が、蓋を開け傾けて突き出した乳首の少し上辺りにトロリと「これで完成、だよ? 垂れちゃ
う前に食べてね?」
 「う……あ……」
 琥珀色の液体が重力に引かれ、ゆっくりと柔肌の上を流れる。そして(麻衣が体を傾け巧い具合に
調整して)淡い色の乳首に絡みつき汚してしまう。
 「ああん、スカート汚れちゃうよぉ。菜月ちゃん早く早くぅ!」
 「ソ、ソウダヨネ、ヨゴレチャウモンネ……」
 そして菜月は……



 「……あはは、スカートは無事だけど……ぱんつ濡らしちゃった、菜月ちゃんは平気?」
 舐め回された跡を綺麗に拭いて下着を着け、身形を整え直した麻衣は、ほんの数分前に『私、おっ
ぱいだけでイっちゃう! イく……うぅ!』なんてあられもない声を上げていたとは思えない程に清
潔感溢れる美少女に戻っていた。というか、性欲をすっかり発散させ昼休み前より血色も良く清々し
い笑顔だったりする。
 「私も、ちょびっと……」一方の菜月は軽い自己嫌悪に陥っていた「……ごめんね、その、幾つも
跡を付けちゃって……」
 「そんなの気にしなくて良いよぉ。はい、これ私とお揃いのぱんつね?」
 「って、やっぱり計画的っ!?」
 「そんなことより、早く履き替えないと時間ないよ? はい、今日は部活がないから私が一緒に洗
っておくね?」
 「うん…………て、ああっ! だから見ないで広げないで鼻に近づけないでっ!」
 「菜月ちゃんには、私の舐めさせてあげよっか?」
 「いいいいらないからっ!!」
 「じゃあ、ぱんつの代わりに今晩は菜月ちゃんのプリン食べさせてね?」
 「ええっ!?」
 「お風呂も(私の)家で一緒に入りたいし……午後も頑張ろうね!」
 「あ、うん、それで……あ」
 ちゅ、と最後に投げキスを残し麻衣は足早に校舎の中へ。
 「……ほんと、計画的なんだから」
 ブラの内側で膨らんでしまった感触を持て余し不満げに口を尖らせながらも、菜月は少し楽しそう
な顔で立ち上がり予鈴の音に急かされながら屋上を後にした。