8_5-798 名前:はにうられ・第6回 投稿日:2012/09/10(月) 19:21:46.97 ID:fvh9ChJ9

「ああ、待たせて悪かったね翔子」
 『特別室』は豪華な寝室だった。その中央で途方に暮れ立ち尽くしていると、数分後に身なりの良
い中年男性が柔らかな笑みを浮かべながら入室してきた。
 「い、いえ…………あの、よろしくお願いします!」
 事前に受けた警告から、相手に不快感を与えぬよう慌てて頭を下げるちひろ。こんな所に女の子を
買いに来る以上は普通の人じゃない筈だ。
 「ん? 何を他人行儀な挨拶をしてるんだ、まさかお父さんの顔を忘れたわけじゃないだろ?」
 「え……?」
 「おや、なかなか会いに来ないからって拗ねてるのか? これは困ったなぁ」
 「あ、いえ、その……」
 この人は、本当に翔子のお父さんなのだろうか 本物なら、どうして自分と翔子との見分けが付かな
いのだろうか? 訳が分からないちひろは返答に窮してしまう。
 「それにしても」うんうんと嬉しそうに何度も頷き、ちひろの困惑を他所に男は彼女の制服姿を眺
めて満足そうな笑みを浮かべる「最初はどうなることかと思ったが、高等部の制服も似合ってるじゃ
ないか。母さんに似て美人さんだ」
 「あ、ありがとう……ございます……」
 「おいおい、いい加減に機嫌を直してくれないかな? 寂しい思いをさせてしまった分、今日は翔
子の気が済むまで甘えさせてあげるよ。ほら、おいで?」
 腕を広げているのは、つまり飛び込んでこいと言うことなのだろう。クラスメイトの父と名乗る男
の真意が読めないまま、ちひろは恐る恐る身を寄せる。



 「しかし、相変わらず細いなぁ翔子は。またダイエットか? いかんぞ、お前くらいの子はもっと
食べて体を育てないと立派な子供が産めなくなるんだからな。そのままでも充分に可愛らしい
んだから、目先の事よりも将来を大事にしなさい」
 頭、頬、肩、両の腕と上から順番にちひろの肌をなで肉付きを確認しながら男は優しく窘める。別
に演じる必要はない、と言われても、どう対応して良いのか未だ判断がつかない。
 「ところで」と、ちひろの細い肩に両手をおいた男が膝を折って視線の高さを合わせてくる「今日
は何故、お父さんが時間を作って会いに来たか……わかっているかな?」
 「あの、えっと……」
 「ん?」
 「ご、ごめんなさい。わかりませ……」

 ギリギリギリッ!

 「いいいい痛っ!?」
 急に加わった握力に華奢な肩関節が悲鳴を上げる。
 「わからない、だとぉ!?」
 「い、痛いです! 放して……」
 「翔子、お前は私を馬鹿にしているのか! ここはどこだ、答えなさい!!」
 「が、学園ですっ。学園の、特別……ほうし、しつ……」
 「そうだ、特別の奉仕場所だ! そこでお前は何をしているッ!?」
 「ですから、奉仕活ど……痛い、痛いですっ!」
 「つまりお前は、こんな薄暗い所で何所の馬の骨ともわからんような男共に体を売ろうとしていた
訳だな、違うか!」
 「でも……」
 「言い訳など許さんっ!!」
 ミシミシミシと骨がきしんでる。左右の上腕を握り潰され、ちひろの細い体が風船か何かのよう
に軽々と持ち上げられてしまう。
 「あぐっ……!?」



 「制服が気に入ったからとダダを捏ねるから仕方なく入学を許してやったし、寮にも入れてやった
といのに、高等部に上がった途端に親に黙って男漁りか!」
 「ご、ごめんなさい……!」
 「しかも行きずりの男に端金で純潔を売り払い、それだけでは飽き足らず子供の分際で商売女の真
似事など……私の顔に泥を塗るのがそんなに楽しいのか!?」
 「ごめんなさい、ごめんなさいぃ!」
 「そんな口先だけの謝罪など……このッ!!」
 「きゃあっ!?」
 そのままキングサイズの高級なベッドの上に投げ出される。しっかりとした作りのスプリングの
お陰で体を痛めたりはしないが、圧迫による酸欠に加え落下の衝撃と腕の痛みとで思考力が全く働か
ない。
 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 それでも恐怖の命じるまま、譫言のように謝り続ける小さな体に大きな陰が近づく。 
 ちひろは今や、クラスメイトの父親と名乗る男に完全に支配されていた。胎児のように体を丸め、ご
めんなさいを繰り返しながら震えるだけ。膝を曲げたために露わになった白くて華奢な太股に男の目が
引き寄せられる。そして、その奥に覗く大人しめの下着にも。
 「くそっ、子供のくせに男を誘うよな下着を着けおって! こんなモノを買わせてやる為に小遣いを
やってるとでも思っているのか!?」
 靴も脱がぬままベッドに上がった男は興奮で血走った目のまま、小さな頭を後ろから鷲づかみにして
引っ張り上げる。
 「ひっ……!?」
 「もう今日という今日は勘弁ならん! 二度と私に逆らえないように躾けなおしてやる!」
 「ゆ、許して……うぷっ!?」
 「黙れェ!!」
 男の腕力ででちひろの顔をマットレスの中に押し込み、俯せの状態にしてスカートを捲り年相応
のシンプルなショーツを力任せに破り取る。
 「こ、これが翔子の……」



 高等部の生徒にしては、やや小ぶりなヒップ。だがシミ一つなく真っ白な素肌は、足跡のない早朝の
雪景色のように美しく可憐な輝き、その下の秘唇はぷっくりと柔らかそうに膨らみながらも処女を破ら
れたとは思えない清楚な色と形のまま、ぴったりと閉ざされている
 「こ、こんな小さな尻で!」
  ぱあん!
 「んぐぅっ!!」
 振り下ろされた男の手が小気味良い音を立て、純白の肌に真っ赤な手形を浮き上がらせる。
 「私に黙って!」
 ぱん!
 「雌犬のように!」
 ぱん! 
 「男を!」
 ぱん!
 「銜え込んだのか!」
 ぱん!
 「この親不孝者めぇっ!」
 ぱん、ぱん、ぱあん!
 余りの痛みに細い体が白魚のように跳ね回るが、男は一向に手を緩めようとはしない。泡だった
唾液を口からまき散らしながら、狂ったように折檻を続ける。たちまち赤く無残に腫れ上がってゆ
く、ちひろの可愛らしい桃尻。
 「このっ、このっ、このぉっ!」
 ぱん、ぱん、ぱん、ぱんっ!



 果たして何度叩いたのか、不意に掌の痛みで我に返った男の下で、ちひろはピクリとも動かなく
なってしまっていた。
 「……翔子?」
 まさか、という最悪の思考が頭をよぎり慌てて体を傾ける。
 「翔子!?」
 「……………ぃ……………さぃ、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 もはや涙も尽きたのか真っ赤に腫れた目は焦点を結ばず、ちひろは壊れたオルゴールのように同じ
フレーズを何度も何度も繰り返していた。
 「翔子! しっかりしなさい翔子!」
 ぺちぺちぺち、と痛くならないよう気をつけながら頬を数回叩くと、瞳に生気が戻ってくる。
 「………え……あ……!!」
 が、たちまち恐怖で凍り付いてしまう。
 「大丈夫かい? お前があんまり心配だったから、少しやり過ぎてしまったようだ。だが、全部お
前の為を思ってのことなんだ、わかってくれるね?」
 「は、は……い……」
 ちひろが怯えた様子でカクカク頷くと男は満足そうな笑みに変わるが、男の豹変を目の当たりにし
た今では、その笑顔が何よりも恐ろしい。
 「よしよし、もう反省はしたね。ならお父さんも安心して仕事に戻れるよ。小遣いも今まで通りに
送ってやるから、二度とこんなことをしてはいけないよ?」
 今になって、ちひろはようやく直樹の警告を本当に理解した。腕を折られる程度のことは正しく日常茶
飯事なのだ。それどころか命にすら関わりかねない。通常の『奉仕活動』の数十倍という破格の報酬の
見返りが、これなのだ。
 「とはいえ、我が娘ながら翔子は本当に魅力的だからなぁ。お前にその気がなくても、身の程知らず
な餓鬼共が虫のように群がってくるかも……う〜む」
 腕の中で恐怖に震える少女の様子に全く気がつかないのか、ちひろのウイッグを指で優しく梳かし
ながら男は唸る。



 「そうだ! 下らん男に犯されて出来てしまうくらいなら、その前にお父さんが翔子に赤ちゃんをプ
レゼントしてあげるよ。翔子も、その方が良いだろう?」
 「え? あ……の……?」
 「そうすれば他の男に汚される心配もなくなるし、お前も断りやすくなって一石二鳥だろ? お腹が
膨らんでくれば、もう言い寄ってくる奴もいなくなるな、うん!」
 天井の向こうの何処かを見つめながら、男は夢見るような口調でしゃべり続ける。もう彼の目にも耳
にも何も入っては来ない。
 「良いぞ、実に良い! 前から欲しがっていた妹か弟が出来てお前も嬉しいだろう? しかもお前に
似て可愛い子になるに違いないしな! ちゃんと自分の母乳で育ててやるんだぞ、翔子とお父さんの愛
の結晶なんだからな」
 正気じゃない! 心から嬉しそうに笑う男の姿に、ちひろの顔から血の気が引いてゆく。鼓動に合わ
せてズキズキと痛み出した下半身のことすら忘れてしまいそうな程の悪寒。
 「なぁ翔子、翔子も嬉しいだろう? 大好きなお父さんの子供を産めて?」
 「な……!」刹那、言葉さえ出せなかったちひろだが、男の瞳の中の危険な輝きが自分に向けられて
いるのだと気づいて慌てて頷く「……う、嬉しいです、お父さん……」
 「そうかそうか! お父さんの赤ちゃんが欲しいか!」
 「……はい、欲しい、です」
 今度怒らせたら、殺される。それは確信だった。
 「じゃあ、お父さんを悲しませたお詫びに翔子からお願いしなさい。今すぐ、翔子を妊娠させてくだ
さいとね?」
 「っ!!」
 枯れたhずの涙が、再び目尻に浮かんでくる。
 「言えるよね、翔子?」
 「……い、いますぐ……お父さんので……翔子を妊娠させてください……っ!」
 「おお、そうか! そうか!! 大丈夫だよ、お父さんは上手だからね? ちゃんと翔子を気持ちよく
受精させてあげることが出来るんだ。お前はもう、ジッとしているだけで良いからね?」
 そうして、ちひろの返事を待つこともなく力尽くで足を割り広げて……



 「っっっっ!!」
 ちゅんちゅんちゅん、と近くの電線に留まった雀の合唱が聞こえる。
 「……夢」
 愛用の布団、愛用の枕、自分で選んだ壁紙とカーテン。一つ一つを確かめ、ちひろはようやく安堵の
溜息をつく。ここは妹のちさとと二人で暮らすマンションの自室。『退部』して数日たつ彼女は既に自由
だというのに、過去という名の鎖は一向に解放してくれそうにない。
 『お父さんのオチンチン気持ちいいです!』
 『もっと、もっとお父さんの精液を子宮に飲ませてください!』
 『お父さんの精液で妊娠できて、とても幸せです!』
 最初の『特別奉仕』の記憶は、悪夢となって頭の中にこびりついている。あの後で何度も何度も膣内で
射精され、最後は動かすだけでゴポゴポと溢れだし真下にネバネバの水溜まりが出来てしまう程に汚され
てしまった。それこそ、壊れて開きっぱなしになってしまうのではと怖くなってくるくらいに繰り返し繰
り返し一番奥で征服されてしまった。
 「…………っ……!」
 「おねえ……ちゃん、起きてる?」
 「!」だが、誰にも慰めては貰えない知られてはならない、特に大切なちさとにだけは「うん、起きて
るよ。ど、どうしたの?」
 涙を拭い、ちひろは笑う。妹に見せるための笑顔の練習をする。
 「あのね、渋垣さんから電話だよ?」
 「…………茉理」
 すぐ行くね、と返事をしてベッドから降りる。
 ちひろは、まだ朝が好きになれそうにない。