8_5-275 名前: 穢欲のユースティア [sage] 投稿日: 2010/02/26(金) 19:00:33 ID:iPY0XJk4

 「へへへ、ほら、もっと腰振れよ」
 「腰だけじゃねえぞ。しゃぶるのもちゃんとやれ」
 「おう、俺たちを救ってくれるんだろ」
 けたけたと下卑に笑う男たちに取り囲まれているのは、浮遊都市ノーヴァス・アイ
テルが生まれて以来延々と祈りを引き継いでいる少女。聖なる存在である彼女は衣を
ぼろぼろに引き裂かれ、四つに這わされて男のモノを二本同時に突っこまれている。
 少女は三つの層に分かれる都市の未来を憂い、滅びから救うべく巡回していた。上
層から下層へ、さらに《牢獄》まで行こうとした少女を誰もが引き止めたが、心配す
る者すべてに穏やかなほほえみを返し、地獄としか言いようにない区画へたったひと
りで降りた。
 上から落ちてくる水が溜まり、澱む底で絶望する男の群れは飢えた狼。少女は羊。
尊ぶことなどありえない。ごちそうを欲の赴くままに貪るのみ。
 口と性器を穿たれながら少女は思う。
 貪られたのは、ここだけではなかった。上層でも、下層でも、人がいれば欲が渦巻
く。女を犯そうというぎらぎらした視線が飛んできて、暗がりひ引きこまれて犯され
た。《牢獄》を嫌悪する者たちも一皮剥けば同類だった。
 (これが、今のノーヴァス・アイテル。私が救うべき……う、ううぅふぅ)
 畜生と化した人をあわれむことはない。人が生きている証と受け入れ、少女は自分
の運命と向き合っている。
 彼女が怖れているのは、非道い行為を受けていながら肉体が快感を覚えはじめてい
ることだ。口の粘膜が摩擦で熱くなる。蠢く膣内の襞をこすられるたびに、とろける
ような感覚が生まれる。
 (もし私が堕ちてしまったら……それはきっと、すべてが堕ちて、都市のすべても
落ちて……)
 どんなに犯されようとそれこそ試練と覚悟を決めている少女だが、快楽を受け入れ
てそれを自然と思ったときになにが起こるのか想像し、戦慄した。
 「おい。口ふさいでるとつまらねえ。ちょっと抜けよ」
 「ちぇ」
 イラマチオを楽しんでいた男がしぶしぶ、野次に応えて腰を引いた。少女の口から
ペニスが抜けると、とたんに肉欲を響かせる弱々しい声がひろがった。
 「う、うあっ、あああぁ……」
 「やっぱりだ。感じてるぜ、こいつ」
 「聖女とかいって、やっぱ牝じゃねえか」
 「偽者なんだよ、こいつは」
 「だったらお仕置きしないといけねえな」
 勝手な文言が飛び交うなか、やっと順番が来たとひとりの男がにやついて寝転がり、
少女を上に置いて対面騎乗位で楽しむ。さらにもうひとり、膣にペニスを受け入れて
いる少女の尻穴に肉棒の切先をあてがって、アナル内部へ突き刺していく。
 「ひ、ひあっ、アアッ」
 薄い皮を挟んで剛直にこすられて、少女は口角から泡を吹いた。
 「もっと悶えろ。二本ももらって、嬉しいだろ」
 「嬉しいなら、お仕置きにならねえ」
 下品な笑い声が高らかに響く。鼓膜を揺らされた少女は瞳の焦点を失いながら、意
識を失わないように考えつづける。
 凌辱はいつになったら終わるのか。この者たちが満足しても、歩き出せばまた別の
獣に襲われるだろう。上の層に戻ったところで、欲をさからせているものはいくらで
もいる。
 (世界が、終われば……)
 それは絶対に避けなければならないこと。それなのに、男たちにいたぶられ、穢れ
た欲の対象となっているうちに“願い”に掏り替わっている。
 祈りを引き継ぐ少女の願いは、予感と紙一重。たったひとつの浮遊都市に残った人
類の穢れが臨界点を越えたとき、そのときこそ世界は――