8_5-108 名前: 流れSS書き ◆63./UvvAX. [sage] 投稿日: 2009/06/20(土) 04:00:15 ID:xiGDLVO7

 エステルは爪先立ちで達哉に首に腕を回し、達哉はエステルの細いウエストを両側から
支えながら、二人は楽しかった一日の余韻を味覚で味わっていた。他に人気のない礼拝堂
は二人きりになるという目的においては絶好の場所と言えた。互いの唾液の甘味。そして
混ざり合うことで生じる更なる美味さは媚薬のそれ。
 「………んぁ……」
 やがて達哉の方から顔を離すと、彼の口の中に射し込まれたままだったエステルの小さ
な舌がテラテラと光りながら姿を現す。その先から伸び二人を繋ぐ唾液の架け橋と良い、
切なげに潤んだ瞳と良い彼女がもっと口付けを続けていたかったのは明らかだが、達哉の
中の愛しさは恋人の全てを求めるほどに高まっている。まだ互いの吐息を感じるほどの近
さにある大きな瞳を見つめながら、達哉は両の腕をウエストからヒップの方へと動かし更
なる行為への了承をアイサインで求めるが。
 「あ……あの、達哉……」
 エステルの瞳が……揺らいだ。
 「あ、ああ……ごめん」
 恥ずかしそうに俯かれてしまっては、もう無理強いは出来ない。腕の中の天使をそっと
地上に降ろしながら精一杯の笑顔で言葉を継ぐ。せめてエステルに不快感を与えてしまわ
ないようにと。
 「わわ、私も達哉にその……も、もっと愛して欲しいのだけれど、ここだと余りゆっく
りは出来ないから続きは私の部屋で……………………って、え?」
 「こ、今度はもう少し先まで足を伸ばそうか? エステルは満弦ヶ崎の外は余り知らな
いだろう? 月人居住区から遠い街っていうのは心細いかも知れないけど、これからの事
を考えたらエステルが率先して色々な所を見て回った方が良いとかなって思うし、それに
……」



恥ずかしさの余りテンパってしまった達哉の耳には、同じく恥ずかしさの余り蚊の鳴く
ような声でしか恋人に『おねだり』が出来ないエステルの声など拾えるはずもなく。
 「……………………………………」
 「……って思うんだ、どうかな?」
 「う、く……!」
 増してや厳粛に育てられ何よりも職務を最も重んじるエステルに、達哉の真剣(?)な
提案を遮ってまで抱いて欲しいと甘えるなどと聖職者にあるまじき不謹慎なお願いなど口
に出来る筈もなく。
 「エステル?」
 「……達哉の言うとおりだと思います」
 恥ずかしいやら腹立たしいやらで声を震わせながら、そう答えるしかない。
 「そっか。じゃあ来週はそんな感じで良いかな?」
 「え、ええ。ところで達哉、良かったらお茶でも……」
 とは言え濃厚なキスで灯が灯った下腹部の疼きも『はいそうですか』と我慢できるもの
ではない。せめて達哉に二度目の(あわよくば自分が誘う前に押し倒して貰う)機会を与
えようと少々不自然な笑顔を作るが。
 「い、いや。今日は姉さんも帰ってくるし麻衣一人に家の事を押し付けて来ちゃったか
ら、そろそろ帰らないと……」
 同じく我慢の限度に達しかけている達哉は強引なセックスで恋人を傷つけてしまうのを
恐れ、こちらも適当な言い訳を並べてしまう。なんとも生真面目で似たもの同士なカップ
ルであるが故の微妙なすれ違い。



 「達哉のバカーーーーーーーっ!!」
 そうしてエステルがやっと素直になれたのは、達哉がそそくさと帰路についてから数分
経った後だった。
 「じょ、女性の方から何度も何度も誘えるわけがないじゃないですか! こういう時こ
そ殿方が気を利かせて多少強引にでもリードするというのが筋でしょう!? わ、私は達
哉がどうしてもと言えば何時でも受け止めてあげられるというのに、どうしてあんなに意
気地がないんでしょうか!」
 などと半ば逆ギレ気味に大声を出した程度で冷めてしまう程度の熱なら持て余したりは
しない。礼拝堂の真ん中でモジモジと摺り合わせる内股の更に奥は、ちょっと気を抜いた
だけで溢れ出しそうな愛液が蜜壺いっぱいに溜まっている。
 「そ、そうです。前に此処(礼拝堂)で抱い…………じゃなくて慰めて差し上げた事だ
ってあるのだし、腕力で私が勝てるはずがないのですから無理矢理にでもしようと思えば
出来たのではないですか! 例えば……」
 (ごめんエステル、もう我慢できないよ!)
 妄そ………もとい想像の中の達哉はエステルの言うことなど聞いてくれない。彼女を離
すどころか程良く引き締まったヒップを鷲掴みにしつつ、首筋に吸い付いてくる。
 (だめ! 駄目です、こんな所で! それに汗が……)
 デート帰りの彼女の体は汗臭いに違いない。そんな肌の匂いを嗅がれたり、その上舐め
られたりなど、恋人としても女の子としても羞恥の限りである。当然のようにエステルは
弱々しく拒絶するが、やはり達哉は聞く耳を持たない。次々とキスマークを付け上から順
番に服を脱がせながらながらエステルの汗を味わってゆく。
 (エステル、良いよね!?)
 (ああ、だめです。本当にだめですぅ!)
 いくら両手で突っ張っても達哉の体はビクともしない。そんな無駄な抵抗をしている間
に達哉の手はスカートの中へと侵入して、可愛いと褒めて貰う予定だった下着を問答無用
でずらしてゆく。
 「だめなのに……だめなのにぃ〜!」



 もはや何が駄目なのか自分でも良く分からないが、とにかく拒絶する。が、達哉の猛攻
を止めることは出来ない。膝まで下ろした下着の吸水部分をベットリ汚した生暖かい粘
液が指先に絡みつく。外気に晒された性器から立ち上る甘酸っぱい性臭がたちまち頭の中
を満たしてしまう。陰部どころか全身の汗腺から発散させているのではないかと思えるほ
どに匂いが強い。
 (ほら、ね? 僕ももうもう、こんななんだ)
 「あ、あああ、固ぁい……」
 そして無理矢理に握らされた達哉の男性もエステルの女性をギチギチに埋めてしまうほ
どに固く太くなっていた。
 (こ、こんなに大きいのが私の中に? ああ駄目、こんな逞しいもので中を擦られたら
壊れてしまう。きっと、おかしくなってしまうわ。そうして、熱くて濃いので子宮の中ま
で満たされて、きっと受精してしまうに決まってる。沢山の精液で……そう、達哉のドロ
ドロの精液が……)
 思わず唾を飲み込んでしまうエステル。そう言えば、前に礼拝堂で抱かれたときには最
初に口で受け止めたような気がする。そう、あのネバネバの子種でお腹がいっぱいになっ
てしまったのだ。今回のように。
 「んちゅ、んちゅっ、じゅるるるるっ!」
 指を三本纏めても本物の太さには及ばないが、贅沢は言っていられない。下着を奪われ
胸もさらけ出されたエステルを四つん這いに押さえ付け、達哉は小さな唇へと欲望を無理
矢理押し込んでくる。そして、こうなってしまっては早く達哉を満足させる以外に助か
る望みのないエステルは嫌々ながらも積極的に舌を使い、口いっぱいに頬張って達哉に奉
仕するのだ。
 (ああ、エステルの口は気持ちいいよ。まるでアソコみたいだ!)
 「そ、そんにゃ言い方しないでください! そんな例え方はいやぁ……」
 性欲を満たす道具のように口の中を蹂躙され、あまつさえ性器のようだと比喩されて嬉
しいわけがない。そう嬉しいわけなどないのだ! だがエステルは従順にイラマチオ(と
書いてあったと思う)に耐え、涎を垂れ流しながらも自ら舌で唇で達哉を悦ばせてる。だ
ってか弱い女の子なのだ。だから今は、仕方がないから恋人の排泄器官を舐めて吸って味
わい続けるのだ。



 とは言え、自分の指にどれだけ唇で舌で奉仕をしたところで熱くて濃厚な精液など出し
て貰えるわけがない。よって想像の中の達哉は適当な所で肉棒を引き抜き、今度は後ろか
ら俯せとなったエステルのヒップを問答無用で引っ張り上げてくる。
 (エステルの………凄く濡れてるよ?)
 「え、あ……ち、違います! これは違うんです!」
 (何が違うの? こんなに涎を流しながらパクパクしてるのに。この分だと、昼間も清
ました顔でデート中をしながらヌルヌルにしてたんじゃないのかな? こんな風にされる
のを期待して?)
 「違います! 違うんです、達哉……!」
 (それに………あれれ、お尻の穴までパクパク動いてるよ? 聖職者なのに、頭の中は
セックスばかりなんだ? こんな娘だったなんて、みんなが知ったら間違いなく幻滅する
ね。それどころか司祭のエステル・フリージアは淫乱ですって月に報告されちゃうかも知
れないな。きっとフィーナやモーリッツさんが直々にやってきて変態エステルを破門しち
ゃうだろうなぁ。あの二人から蔑んだ目で見下ろされながら)
 「あ……ああ達哉、許して! こんな、はしたない私のこと、誰にも言わないで! お
願いだから許してぇ!!」
 (じゃあ……そうだな、変態は変態らしく自分でお尻を振ってセックスをお強請りして
ご覧よ? ちゃんとエッチにお願いできたら考えてあげても良いよ?)
 「はい、します! 達哉の言うとおりにします! 何でも達哉の言うことを聞くから
お願い……」



 これで大義名分が……ではなくて身の破滅を宣告されてしまっては脅しに屈するしかな
いので仕方なく達哉の言葉に従うエステル。伏せを命じられた飼い犬のような姿勢からお
尻だけを高々と達哉に向かって差し出し、両手で尻肉を割り広げて女性の最も恥ずかしい
部分を残さずさらけ出す。もちろん、先程から膝のあたりに絡まって邪魔で仕方がなかっ
たドロドロの下着を脱ぎ捨てスカートを目一杯捲り上げるのも忘れない。もはや彼女の体
で隠れている部分は辛うじて衣服の残ったヘソの辺りだけである。
 「わ、私エステル・フリージアは淫乱なんです! 礼拝堂に来て下さる方々に神の教え
を説き教えながら、達哉が側にいるだけで抱いて欲しくてアソコを濡らしている変態なん
ですぅ! どうか、キスだけで火照ってトロトロになった私のイヤらしい場所に達哉の熱
くて固いのを入れて、メチャメチャにしてくださいぃぃぃぃ!!」
 目をつむって顎と胸を冷たい床に擦り付けながら下半身だけ爪先立ちになってヒップを
更に突き出すエステル。熱く尖った乳首が床の上で押しつぶされ冷やされる感触が気持ち
いいのは絶対に錯覚だ。
 「お願い達哉、寂しいの! 激しく愛し…………はぅぅぅぅっ!?」
 最後まで口にするよりも先に奥まで打ち込まれて全身が痙攣する。待ち焦がれた挿入を
で歓喜する膣壁が一斉に指に絡みついてしゃぶり尽くそうと蠢く。自分でも恥ずかしい体だ
と思うが、それも愛故の反応ならば不思議と憎む気になれない。ただ……
 「うぅぅ、足りないの。これじゃ駄目なの達哉ぁ……」
 いかんせん指では短すぎて一番奥まで満たすことが出来ない。若く健康な彼女の肉体は
幾度も性交を繰り返してゆくうちに、体の最深部まで差し込まれ子宮まで突き上げられる
快感を覚えてしまっていたのだ。二本纏めて突き込んだとしても、女性の細い指では到底
満足など出来そうにもない。
 「うぅぅ、達哉、達哉ぁ………!」
 涙声になっても体は止まらない。不完全でも良いから達したいとばかりにエステルの腰
は脳幹を無視し子宮からの指示で自らの掌にヒップを押し付け、体内の指を広げて懸命に
刺激を貪る。夜の帳が舞い降り暗く冷たくなって行く礼拝堂の中央。涙のように溢れ出す
愛液が空気と混じり合う音と臀部と掌がぶつかるペチペチという音、そして啜り泣きと喘
ぎ声が混ざった少女の甲高い声が空しく響き渡る。
 「達哉、達哉っ! たつ………ゃぁ……ぁ……っ!!」
 そして最後に大きく四肢を震わせ、エステルは自らの体液で汚れた床の上に力尽き崩れ
落ちた。
 「……達哉………………ごめんなさい……」



 「リース?」
 こちらもこちらで悶々とした気持ちを誤魔化すように足早に帰路を辿っていた達哉は
月人居住区の端で黒づくめの少女の待ち伏せに遭っていた。
 「こんな時間に一人で出歩くなんて危ないよ? どうして……」
 「分別は美徳。でも過ぎた遠慮と依存は単なる甘え。伝えようとする意志と言葉無し
で絆を守れるほど人間は便利に出来ていない」
 「え……えっと?」
 「エステル、寒い場所で泣いてた。達哉を呼びながら」
 「エステルが!?」
 咄嗟に教会に向かって一歩を踏み出した達哉だが、目の前の少女を放っておくのも拙い
と思い直し、一緒に戻ろうとリースに向かって手を差し伸べる。
 「あれ?」
 が、そこにはほんの数瞬前まで居たはずのリースの姿は無かった。代わりに冷たい夜風
が達哉の体から体温を奪いながら教会の方へと流れてゆく。
 「……いや、それよりもエステルを……!」
 月人居住内なら治安も良いだろう。そう判断し颯爽と駆け出した達哉が運悪くエステル
が身支度を調え証拠を隠滅している最中に踏み込んで平手打ちを喰らい、それでも何故か
朝帰りとなり、麻衣にコッテリと搾られる羽目になったのは、また別の話である。