8-373 名前: あけるり「液まみれの夜」 [sage] 投稿日: 2008/11/22(土) 12:12:20 ID:xWN9HTFJ

 満弦ヶ崎市に夜の帷が降りたころ、普段なら静かであるはずの教会の礼拝堂に信
者たちが集まっていた。日の光が差しこむときの集会で司祭に見入る澄んだ瞳はど
こにもなく、闇にふさわしい暗さがどの者の目にも漂っている。
 演台の反対側、少し広くなっている空間にエステルはしゃがみこんでいた。その
周りを信者たちが囲っている。少年に青年、中年男性に老年になりかけの月人たち、
そこにいるすべてが男だ。
 「司祭様は地球人の男と姦通したそうですね。」
 「ああぁ……そ、そうです……」
 淡々とした声に、司祭の印である法衣をまとった少女が震える声で返す。肩を落
として弱々しく控える少女は、集会のときに凛とした声で話を説いていた司祭とは
別人としか思えない。
 「幻滅しました。私たちを導いてくれるはずの高貴な司祭様が、セックスしまく
っているとは。」
 「し、しまくってなんか……」
 嘲るような声に反応してエステルは上を向きかけ、ぎらりと強い眼差しを全方向
から返されて結局うなだれてしまった。恋人となった地球人と一線を越えてしまっ
たのは事実であり、性交回数にこだわったところでなんの言いわけにもならない。
 「教団の司祭といっても、ただの牝だったんだ。これが大好きなんだろ!」
 侮蔑の言葉を吐いて男がジッパーを下げ、肉根を取りだした。ひとりが出せば、
場にいる男たちが野卑な文句で息巻きながらどんどんあとに続く。まだ小さい性器
を少年が出し、若鮎のようなペニスを青年がおっ勃たせ、黒光りする見事な一物を
見せつける壮年男もいた。
 「好きだっていうなら、出してやろうじゃないか。なあ……」
 我慢できなくなった男がにやりと笑って卑しい声をたてれば、牡の吠え声が響き
あい、みなが一斉にペニスをしごきはじめる。
 「な、なにを……や、やめなさ、あ、ああぁ……」
 肉欲を発散しながらペニスをしごく牡たちに、エステルは呑まれてしまう。男と
通じた罰が下されると観念し、悲哀を瞳に浮かべて来るべきものを待つ。
 「うっ!」
 一分も持たずに、若い青年が真っ赤な顔で呻き声をあげた。
 ビュッと飛んだザーメンが法衣に染みつき、汚す。
 「俺も、出るぜ。」
 唇をわずかに歪めた男はエステルの顔へ照準を合わせ、タイミングよくぶっぱな
した。
 「きゃっ、ああっ、イ、イヤぁ……」
 美しき少女の顔に濁液がへばりつく。すると、俺も俺もというように、司祭だっ
た少女の顔目掛けて次々とスペルマが放たれ、汚れの面積を大きくしていく。
 顔だけじゃなく、法衣にもたっぷりと白濁液がかけられている。
 「ひひひ、ザーメンまみれじゃねえか。いい気味だ。」
 「まだまだ、出してやるよ。」
 前に出ては精液をひっかけ、後ろの者と交代する。どの男も一度出したくらいで
は劣情が収まらず、ペニスを勃起させたまま次の番を待っている。少女は牡臭に包
まれて、じっとそのまま、呻くことしかできない。綺麗な顔は見るよしもなく汚さ
れ、ピンク色の髪がべったりと白い樹液で固められていく。
 地球人と情を交わして女になってしまったエステル・フリージアは、信者から精
液便所として扱われ、長い夜を白濁まみれになって過ごす。
 しかしこうなるのも今夜が最初にして最後。明日になれば月へ移送される。そこ
でどんな、さらに苛烈な運命が待っているのか、汚液まみれで意識朦朧となってい
る今エステルが知るよしもなかった。

(終)