8-246 名前: 243 [sage] 投稿日: 2008/07/29(火) 22:07:14 ID:z+fxW0IW

プロローグ

正式に付き合うことが認められた達哉とフィーナはあろうことか所かまわずいちゃついていました。
まぁあの二人ですしね。
さやかは「まぁ、恋は盲目とはいったものですね」といってお茶を飲むくらいの構えですし、
ミアも「嬉しそうな姫様にお仕えできて幸せです」と達哉とフィーナの関係を嬉しそうな目でみています。
菜月?いや、彼女はどうでもいいですから。

が、しかし、そんな二人の関係を嫉妬とかその他諸々の負の感情を伴った視線で睨む者がおりました(姑的な意味で)。
達哉の妹、朝霧麻衣です。

Forbiddenな関係と頭では理解しつつも、兄のことを密かに想い続けたin my heartの数年間。
日本語でおk。

そんな兄がある日突然ものすご遠い国からホームステイしてきた人に、
ゲームでいうならわずか10時間程度のシナリオの内にホイホイ取られてしまったのですから堪ったものではありません。
ちなみにその国がどれくらい遠いかというと、例えて言うなら地球と月の距離くらい。
いや、比喩ではないのですが。

しかも、妹の気持ちも察さずに目の前でベタベタいちゃいちゃするものですから、
それは麻衣の怒りという名のターボエンジンにハイオクガソリンを注ぐようなものです。
リッター190円くらいですか。

しかし夏休みが始まったこともあり、フィーナは学校があってたときには予定にいれることができなかったのスフィア王国の姫としての公務と、
達哉とそういうことがあったおかげでさらに増えた公務のお陰で朝霧家に居る時間が少なくなっていきます。

ここからずっと妹のターン!と思った麻衣の逆襲がいまはじまろうとしています?



一日目(その1)

今日のフィーナは昼過ぎ頃に出掛けて行った。なんでも今日は夕食もそっちで食べるらしく、いつ家に帰ってこられるかわからないそうだ。
ミアもフィーナの付き添い。さやか姉さんはいつも通り仕事で夜遅くなるとのこと。
もっとも姉さんの職業を考えると、フィーナの公務に姉さんも関係していることは大いにありえる。
そうなると三人していつ帰ってくるのかわからない。

「ま、これくらいのことで寂しがっちゃいけないな」
そう気を取り直してバイトに行くことにした。

・・・

バイト中は何も考えないようにした。忙しさの中なら無心でいられる。
菜月も一緒にバイトをしているし、家に帰れば麻衣もいる。
何も寂しがることはない。そう自分に言い聞かせながら。

・・・

バイトが終わって家に帰ると、麻衣が二人分の夕食を作って待ってくれていた。
しばらくはミアやフィーナ、仕事の都合次第では姉さんも交えた食卓に慣れていたので、久しぶりの麻衣と二人での夕食だった。
フィーナ達がホームステイしにくる前までは何年も続いた当然の風景だったのに。
この数カ月の間での自分の変わりように改めて気付いた。

それは多分、フィーナも同じだろう。
今この瞬間も、国の重要な貴賓客を前にしてもそれに怖じけづく事なく、一国の姫として毅然として振るまっているに違いない。
きっとフィーナなら立派にそして平然とそれをこなすのだ。
でもきっと、その心内にはこの数週間の朝霧家での温かな食卓が思い浮かばれているだろう。そうであって欲しい。
場所は離れていても、想いは繋がっていて欲しい。そんな一人勝手な願いに頭の中が支配されていく・・・

「おーい、おにーちゃーん」

「おあ?」
ふと我に帰ると、麻衣がテーブルの向かいから自分の顔を覗き込んでいた。
「おあ?じゃないよー。今日バイトから帰ってからずーーっと変だよ?なんか考え事でもしてる?」
「あぁ、まぁそんなところかな」
「どうせフィーナさんのことでしょ?」
ちょっとキツい。

「まぁ、な」
下手にごまかすとボロがでそうだし、ここは事実を当たり障りなく伝えることにした。

「そっか・・・そうだよね・・・」
複雑そうな表情の上に歯切りの悪い返事だったが、麻衣もそれ以上は突っ込もうとせずに話題を変えてくれた。

今日の学校のこと。放課後の部活動のこと。。
きっと麻衣には俺の考えてることなんてお見通しなのだろう。
それを察して何気ない話題を振ってくれることで気持ちも幾分か軽くなり、自分にとって有難いことだった。

「ごちそうさまでした」

「あ、食器は私が洗っておくね。それとお風呂沸いてるから入ってていいよ」

「ありがとう」

そう短く麻衣の自分への気配りに感謝して、風呂に入ることにした。



一日目(その2)

「おーい、風呂あがったぞー」
へんじがない。いっかいにはだれもいないようだ。
麻衣は二階の自室に戻ったのだろうか。

階段を上り、麻衣の部屋の前に立つ。が部屋の電気が消えてる。
もしかするともう寝てしまったのかもしれない。風呂は自分がバイトに行ってる間に済ませてしまったのだろう。
小さな妹が一人で家事をこなしているのだ。疲れて早目に寝てしまったのも無理はない。

そのまま向かいにある自室に戻る。
せめてフィーナ達が戻ってくるまでは起きておかないと。それがただ帰りを待つことしかできない自分のフィーナに対して唯一できることだと思ったから。

とりあえず、机に着いてみる。が、頭の中ではついフィーナのことばかり考えてしまう。

「これじゃまるで恋する乙女じゃないか・・・」
いや、俺は乙女じゃないだろ常識的に考えて。
そんな自分が嫌になり、ごろっとベッドに横になる。

夏休みはまだ始まったばかりだ。そしてフィーナとはようやく認められたばかりの関係。
これからを楽しみにしていた、その矢先の出来事だったので余計にがっかりしてしまったのかも知れない。
補足しておくけど、やましいことばかり楽しみにしていたわけじゃない。そりゃやましいことも少しは、それなりに、結構、かなり楽しみにしてたけど。

初めてフィーナと共に過ごした夜のことを思い出してしまう。
それはほんの数日前。

フィーナとの関係がカレンさんにも認められ、鷹見沢家のレストランで周りの人達から祝福を受けたその夜。
興奮抜け切れないままに家に帰り、そのまま自室で涼んでいた。そこへ控えめなノックがなされ、ナイトドレスを纏って入ってきたフィーナ。

仮にも一国の姫である彼女と過ごした、たどたどしくて、なのに官能的だった夜。
男の自分には想像も付かない痛みと恐怖に耐えながら、それでいて普段の凜とした容姿には相応しくない程に淫らなになっていった姿を思い浮かべる。
それは重くのしかかる背徳感と、体を重ねるごとに増していく独占欲のせめぎ合い。
ようやく許された二人の関係の、そしてお互いの身体の貪りあい。

そんな事を思い出していると、なんだかムラムラしてきた。

無意識の内にズボンwithパンツを降ろす。
中途半端に固くなり始めたちんこを手で握る。
「早く帰ってきてくれ、フィーナ・・・」
手の中でむくむくと大きく固くなったちんこを、そのまま手で扱きはじめる。

暫し男の時間(not複数形)。



一日目(その3)


「なんだか頭上で地震が起きてるよー?」

!?

突然聞こえた声に反応し、咄嗟に布団を被る。
というより被せる。特に下半身を重心的に。

「だ、誰だっ!」
武器になりそうな物は・・・。ない。
くそ、これでは丸腰じゃないか。しかも俺はいま ぱ ん つ は い て な い 。

そして、ベッドの下からのそのそと這い出てきたのは、麻衣。
・・・って、なんで?

「ながーいマグニチュード1.8くらいの地震が起きてたけど、いま収まっちゃったね。どうしたんだろ」

ちょっと待て。頭の中のシステムがフリーズする。一体何が起きたというのだ?妹よ。てか寝てたんじゃないの?

なんだかニヤニヤしながらこっちを見下ろす麻衣。こっちとは違い、敵は至って冷静。震源の規模を小数点第一位まで推測するレベルだ。

そしてその視線が下半身に移る。
あわてて自分もそっちをみるが、幸いさっきの突然の出来事で完全に萎んでいた。これなら問題ない。何もやましいことをしていたようには見えない筈だ。

「予想的中♪狭苦しいベッドの下で待ってた甲斐がありました〜」
勝ち誇ったようにそう言うが早いが、布団を捲られる。

外気を受ける下半身。それと同時に男として大切なものが晒される。
さっきまでは勃ち上がり気高く舞う運命を受けた戦士だが、今はプライドが傷ついて力尽きて戦死していた。

みっともない姿を見られてしまい、「あ」とか、「う」とか、そういう言葉にならない言葉しかでてこない。
今更ながら、両手で股間を隠してみる。ちょっと防御コマンド。もう遅いけど。

「ふーん、私じゃ興奮しないんだねー。フィーナさんが羨ましいなぁ〜」
遅れて展開したシェルターを払いのけられる。
ぷに、っと。戦死した戦士を手で摘まれる。
「へぇ、男のひとのここって、こうなってるんだぁ」
ぷにぷに。つんつん。でれでれ。略してツンデレ。
ただ興味本位でちんこを弄る麻衣。
あくまで快感とくすぐったさの境界線。
そのくすぐったさ故に、麻衣を止めることができるにも関わらず、敢えてその選択肢を取らずにいた。

それがだんだんとエスカレートしていき、次第に手のひらで包むように握りだす。男が一人でやるときのあんな感じで。
「や、やめてくれないか」
理性虚しく下半身が反応する前に、麻衣を咎める。
「どうして?フィーナさんがいるから?」
甘えるような目でこっちを見つめられる。
「それもそうだけど、だって、麻衣は、『妹』じゃないか」
そう、麻衣と俺は兄妹なのだ。

そこで麻衣は言葉を詰まらせる。俺と麻衣が兄妹であることは二人が一番よく分かっているし、そしてそれは二人しか知らないことでもある。
その代わりに手でちんこの先端の敏感な部分をなでられる。言葉で言えないことを行動で示すかのように。

境界線が段々と快感側にシフトしていく。そして情けないことに身体はそれに正直に反応してしまう。

気が付けば 俺のちんこは フル勃起(読み人知らず、季語なし)



一日目(その4)


突然、手の動きがとまる。ちょっと理性が安心する。でも股間はあまりの中途半端さに疼々する。これは酷い生殺し。

「ねぇ、これからどうしようか?」
そういって顔を股間に近づけ、躊躇う素振りをみせてから、目の前の物を口に含む。

「あふっ・・・?」
そんな間抜けな声を出す俺。

なにも言わずに、そのままの状態で舌を転がす麻衣。
最初は唇が先端に触れるだけだったのに、次第に深く口を沈めていく。
なにか熱いものに包まれる感覚。
ざらついた熱いものに神経を舐めとられていく感触。

あまりの気持ち良さに、思考がとまる。
視界の中に、無言で咥え続ける麻衣を捕らえる。
快感という霞がかかった意識のなかで、ぼんやりと、必死に奉仕している麻衣にフィーナの姿がかぶる。
消えかけていた罪悪感が再び迫り上がってくる。

止めないと。このまま麻衣の口のなかで果ててしまう。でも手も口も足も動く意志を持たない。
そして、我慢の限界を快感が突き抜けようとする瞬間。

ガチャ、っと、玄関のドアが開く音が聞こえる。

「ただいま帰りました」
フィーナの声が聞こえる。
「あれ、中に誰もいませんよ・・・?達哉くんたちはもう寝ているのでしょう。とりあえず私たちはお風呂に入りましょうか」
姉さんの声も聞こえる。
「それでは姫さまからお入りください、今から服の準備をしておきますので」
ミアの声も聞こえる。
三人そろっていま帰ってきたようだ。


それで、麻衣が咥えていたもの離す。名残惜しそうに唾液が糸をひく。

そのまま上気した顔をこっちに向ける。
なにかに縋るような目で見つめられる。
お互いに何も言葉がでない。

そして、ゆっくりと。麻衣が顔を重ねてくる。

両手は空いている。それを払うことは十分にできた。
でも麻衣の甘えるような、縋るような視線に思考を止められていた。

ふっ、と。唇を重ねるだけの、ほんの軽いキス。

麻衣はすぐに顔をあげると、赤みがさしたままの顔でふらっと立ち上がった。
おぼつかない足取りでそのまま部屋を出て行こうとする。
俺は何も出来ずに、ただボーッと見送ることしかできない。

ドアノブを下ろす瞬間、
「おやすみ、おにいちゃん」

小さくそう言い残して、麻衣は静かに自室に戻っていった。



一日目(その5)


「はぁー」

思わず溜め息が漏れる。
もう疲れた。俺はなにもしてないけど。

フィーナ達を迎えるつもりだったのに、今はその気力がない。何よりも顔を合わせることができない。
何も考えないようにしよう。
フィーナのこと、麻衣のこと。
頭の中にはっきりと浮かび上がるそれぞれの顔も身体も振り払う。
とりあえず、あの二人のことだけは。今は考えてはいけない・・・

そして気が付けば眠りに落ちていた。



Melt into Dream(その1)

今日のバイトは特に忙しかった。
夏休み初旬ということもあり夕食時はほとんど満席に近い状態だった。
俺も菜月も休む間もなくぶっ続けだったし、おやっさんも仁さんもフルに働いていた。

ようやく仕事が終わると、客のいないテーブルに着く。
足が棒のようだ。
「おつかれさん」
菜月がテーブルにお手製の野菜ジュースを置いてくれる。
「ありがとう。菜月も疲れてるだろ。座れよ」
「うん」
そこで今日一日忙しかったねー、みたいな話をする。
まだまだこれから後片付けもあるよ、と。
「おーい、仁がどこに行ったかしらんかー」
厨房からおやっさんの声が聞こえる。もう厨房の片付けは終わったようだ。
「俺はしりませんよ」
「私もみてないー」
そう返事すると、
「まったくあいつはどこいってんだ。ま、それはおいといて、今日は俺はもう上がるから。戸締まりは任せたぞ」
「わかりました」
「おっけー」

おやっさんがでていく。
そして訪れる二人だけの静寂。

ってあれ?なんか菜月の顔が赤いような?

「そ、それじゃ後片付けしようか」
「おう」

何事もなかったかのように作業を始める。なんか菜月が妙に浮ついている気がするが・・・

「すまん、ちょっと俺トイレいってくる」
ふと尿意を感じたので、そう伝えてトイレに行く。
そういえば今日は休む間もなかったし、さっき野菜ジュース飲んだし。
「あんま関係ないか」
余計なこと考えてたら、尿意が強くなってきた。



Melt into Dream(その2)

another view 鷹見沢菜月


「はぁー」
店内に一人残され、大きなため息をつく。
「やだ・・・なんで緊張しちゃってるんだろ・・・」
達哉とバイトなんて何年もやってきたこと。二人だけで後片付けなんて珍しいことでもなんでもなかった。
それが最近、どうも変わってきた。

フィーナと付き合ってからの達哉は楽しそうだ。でもそれでも自分にもちゃんと今までのように接してくれている。
二人のお祝いの時も、そんな達哉だったからこそ心から祝うことができた。筈だった。

それなのに、自分の中で感情が抑えられなくなってきている。
今までずっと抑えていた感情。
それが叶えることができないと知って、あからさまに以前よりも欲する気持ちが昴ぶってきている。
達哉とフィーナを頭では認めつつも、それ故に強まる想い。

「もう、無理だってわかってることなのに・・・」

泣きそうな顔で、テーブルにもたれ込む。そこはさっきまで達哉が座っていた席。

「達哉・・・」

拭きあげたばかりのテーブルに、一滴の涙が零れた。

another view end



Melt into Dream(その3)

「うー、トイレトイレー」

トイレに駆け込む俺は、至って普通の高校生。
別に変わっているところはそうないと思っている。

と、トイレの前の小さな椅子に腰掛けている仁さんを発見。

「なにしてるんですか、こんなところで。おやっさんが探していましたよ」

だが今の仁さんはなんか普段と違う。まるでそんなことはどうでもいいと言わんばかりの態度だ。それどころか聞こえてのいないかも知れない。
そんな仁さんを無視してトイレに行こうとする。が、何故か視線が仁さんから離れない。
視線がぶつかる。
真っすぐな目で見つめられて、顔を逸すことさえできなくなる。

自分と同じウェイターの制服を着ている仁さん。
そしておもむろに制服のボタンに手をかけると、一つ一つそれを外しはじめた。

変態な発言ばかりする仁さんだが、口さえ開かなければ顔は控えめに言っても美形だ。
実際、店にくる女性客からもチヤホヤされてたりする。
そう思うと、かなりのいい男なのかもしれない。
改めてそんなことを思う。

そして、仁さんが口を開く。

「やらないか」

・・・

「アッー!?」
布団から飛び起きる。時間はちょうど6時。夏休みというのに自然といつもの時間に起きる。

飛び起きて、布団が払われる。と同時に下半身がすがすがしい。というより涼しい。ようやく気付いた。
ぱ ん つ は い て な ( r y part2
急いでパンツをはく。

「・・・なんだか嫌な夢をみたような」
どんな夢だったか。それは思い出せない、というか思い出さない方がいいような気がする。
とりあえず、確か昨日は麻衣とフィーナのことだけは考えないようにしようとして・・・あれ、なんでだっけ?いつもはフィーナのこと考えて寝てるじゃん。
しかも何故かちゃんと夢の中には麻衣もフィーナも出てこなかった気がする。

それで思い出してしまった。昨日の麻衣とのこと。
突然フィーナに対する罪悪感が沸く。

・・・もう仕方ない。あれは「事故」だ。たまたま起こった不遇な出来事に過ぎない。
そう言い訳をした。それはフィーナに、そして自分に。

これ以上考えると泥沼にはまりそうな気がしたので、少し早いが一階に降りることにした。