8-234 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 04:49:39 ID:3HdcVyPi

 重く厚いカーテンの隙間から差し込む一筋の日差し、それだけが広く薄暗い
室内を照らす明かりだ。整然と並べられた高級感溢れる家具には生活感など全
くなく、閑散とした空間には生き物の気配や痕跡すら感じられない。
 「………………」
 だが、そこには確かに人がいる。この巨大な屋敷に住まう一家の長女である
少女が淀んだ空気の中、天蓋のついた年代物のダブルベッドの中で死んだよう
に横たわり、虚ろな瞳を何の飾りもない壁の方角に向けている。
 こん、こん。
 遠慮がちなノックの音が、私室への来訪者を知らせる。
 こん、こん。
 二度目のノックにも、少女は全く反応しない。
 「瑛里華さま、失礼しますね?」
 それでも物言わぬ部屋の主に動じる様子もなく、重い扉を半分ほど開いた来
訪者は廊下の明かりと共にスルリと部屋の中に滑る込むと、内側から慎重に扉
を閉めた。そうして二つ目の光源を失った室内は、再び時が止まったかのよう
な暗がりに戻ってしまう。
 「瑛里華さま、お茶をお持ちしましたけど、えっと……そこでお召し上がり
になりますか? 今日は栗羊羹ですよ?」
 薄暗がりの中で一方的に喋り続ける彼女、東儀白も、彼女の主が一般的な糧
食を必要としない体質であること位は重々承知である。が、三度の食事と三時
の間食は、主に時刻を認識させるための大切な儀式だと考え欠かしたことは一
度もない。
 「………瑛里華さま、失礼しますね?」
 もう一度、先ほどと同様に非礼を詫びながら手探りで壁のスイッチを押すと、
天井のシャンデリアが点灯して柔らかい光のヴェールで部屋一面をほんのりと
照らし出す。



 「……白……」その明るさに反応したのか、焦点の合わない瞳で遠くを見つ
めていた瑛里華の唇が小さく動く「……今日って、何日だったかしら?」
 「今日は、八月一日ですよ。」
 明かりを点けたことで動きやすくなった白が、慣れた足取りでベッドに近づ
き茶具と羊羹をサイドテーブルに並べてゆく。彼女が纏う清楚な香りと、急須
から立ち上る上品そうな湯気で、部屋の中に少しだけ生活感が戻る。
 「学院にいた頃でしたら、もう夏休みですね。今年は去年よりちょっと暑い
みたいですし、海で泳いだら凄く気持ちいいと思います。」
 純白のシーツの中央に横たわった瑛里華は、昨夜の就寝時に着替えたシルク
のネグリジェのまま、先程の昼食を終えた時と同じ四肢を投げ出すような格好
で横たわっている。薄い生地越しに透けて見える裸の上半身や小さな下着を恥
じらう様子もなく、たた虚ろな表情で明後日の方角を見つめるのみ。
 
 (こればっかりは焦っても仕方ないさ。瑛里華が自分で乗り切るまで辛抱強
く待つしかないと思うよ。)

 聞きようによっては無責任な伊織の声が頭の中で蘇る。そしてその言葉を自
ら実践するかのように数年来妹に会いに来ない元生徒会長の経験者故の冷静さ
が少しだけ悲しい。
 「夏休み……か……」
 口の中で呟きながらコロリと半分寝返りを打った瑛里華の両目は天井越しの
虚空へと向けられる。
 「……支倉君達、どうしてるのかな……」
 思えば、あの頃は何もかもがキラキラと輝いていたような気がする。今の瑛
里華にとっては懐かくも寂しいだけの記憶だが。
 「そ、そうですね……」
 目の前のサイドテーブルには数日前、白自身が置いた封書がそのまま封も切
らずに放置されている。他ならぬ支倉孝平から送られてきた物だ。そしてその
中に『子供が生まれたので、会いに来ないか?』と書かれていることを、自
分宛の手紙で読んだ白は知っている。



 「………っっくっっ……!」
 白の歯切れの悪い返事に何かを感じ取った瑛里華が声にならない嗚咽を漏ら
す。彼女が感じているのは時の流れの残酷さか、変わらぬ白の優しさか、己自
身の不甲斐なさか。
 「瑛里華さま!?」
 思わず身を乗り出して主を気遣った白と、堪えきれぬ涙で潤んだ瑛里華の視
線が絡み合う。
 「…………………」
 自分のことを心から慕ってくれている瞳。その限りなく優しい光に何かを求
めようと震えた瑛里華の唇は、しかし胸の内を声にすることなく閉じた。その
まま逃げるように顔を背けた瑛里華が言いたくても言えない、いや、自分の方
から口に出すなど許されない『お願い』を読み取った白は、小さな唇を主の耳
元に寄せて静かに告げる。
 「……瑛里華さま、私を……慰めてくださいませんか?」
 


 ごめん、と口が動いたのを確かめた白はベッドから数歩後ずさり、ほんのり
と頬を染めながらも滑らかな動作で服を脱ぎ始める。リボンを解いて胸元を広
げると、全身の羽が抜け落ちるように黒いワンピースがフワリと落ち、日焼け
とは無縁な美しい素肌の大半が露わとなる。そのまま飾り気のない清楚な
下着も自らの手で取り去り靴下とチョーカーだけになった白は、白以上に恥じ
らい、こちらを向こうともしない瑛里華の元へ。
 「瑛里華さま……」
 「……白……」
 再び謝罪の言葉を紡ごうとした瑛里華の口を、上からそっと啄む。更に二回、
三回と軽い口付けを重ねてから、二人は互いの背中に腕を回し互いの唇を口で
愛撫し合う。まだ舌を使うような激しいキスはしない。相手の温かさと柔らか
さと、甘味で心の隙間を補いながら自分を高めてゆくのだ。
 やがて上位を取った白が次の段階へ進み始める。口元から頬へ、顎へ、喉元
へと唇で愛撫しながら片手で瑛里華の寝間着を解き、瑞々しく張った乳房を目
指して体ごと移動してゆく。
 「……あ……!」
 妹のように可愛がっている少女との接吻で興奮して隆起した乳首が熱く濡れ
た粘膜で包まれた感触に、瑛里華の口から小さな喘ぎが漏れる。ヌルヌルと柔
らかい舌が更なる勃起を求めるように転がし、巻き付き、吸い上げる度に静電
気のような快感が乳腺を通って全身に広がる。もう片方の乳房にも手が添えら
れ、細い指で乳輪をマッサージされると、もう手足の震えが止められなくなっ
てしまう。せめてのも反撃にと両手を白のヒップへ、剥き出しの白い膨らみを
捕らえて揉みほぐすが、一度上昇を始めてしまった快楽曲線を止めることは出
来ない。
 「はむ……ん……ちゅ……ちゅる……ちゅ……」
 「あ、あんまり胸ばかり……んぅっ……いじめない……で……!」
 「……ちゅ……ちゅ……かりっ……」
 「きゃふっ!?」
 小さな前歯で乳首を引っ掻かれて声が裏返ってしまう。



 興奮でしっとりと肌を湿らせる汗からは少女特有の甘酸っぱい性臭が匂い立
ち、絡み合った二人の周囲の気温をゆっくりと上昇させている。瑛里華の吐息
も白の口内も熱を帯び、指の舌の動きも次第に丹念でねちっこくなる。
 (白のお尻、柔らかくてスベスベして……)
 普段から余り肌を露出させない白の体の中でも最も厳重に守られてきた部分
は、汚れを知らないが故に生まれたての胎児のような脆さと清潔さを併せ持っ
た絹のよう。そのきめ細かい薄皮が手に吸い付いてくる心地よさに何時も夢中
になってしまう。その内側に詰まった半液状の触感をもっと知りたくて、瑛里
華の手は大胆になってゆく。
 「きゃっ!」
 その瑛里華の細い指先が偶然にも白の窄まりに触れた。指の表面の指紋で敏
感になった急所を擦られ、思わず顔を跳ね上げてしまう白。
 「あ……」瑛里華の動きを止める「……ご、ごめんなさい……」
 「い、いえ……あの……その……えっと……」
 自らの唾液で口の周りを汚したまま、大きな瞳を揺らし言葉を探す白は、す
ぐにはにかんだ笑顔に変わる。
 「……い、一応ですけど、毎日その、おおお風呂で綺麗に……ですから、瑛
里華さまがお嫌でなければ……あの……そちらも可愛がって頂いて……」
 「え? あ、あの、違うからね? さっきのはたまたま……」
 「瑛里華さま……」
 主の言葉を遮って白の細い指が瑛里華の手首に巻き付き、先程の孔の裏側に
ある乙女の聖域に誘う。
 「あ……」
 陰毛もなく貝の様に閉じたままの白の恥丘は、しかし合わせ目の隙間から染
み出した粘液でヌルヌルになっていた。汗とは明らかに違う、少女が異物を胎
内に受け入れる意志を示す分泌液が手のひらに付着し広がってゆく。
 「私、瑛里華さまとキスをして、瑛里華さまのちく…………胸を触らせて頂
いただけで、こんなになってしまって……」
 「し、白……」
 恐る恐る指を曲げ無毛の秘唇を少しだけ広げてみると、更に熱い蜜がトロリ
と滴り落ちて指先に絡みついてくる。ほとんど一方的に奉仕していただけの筈
なのに、こうして全身で瑛里華を受け入れようとしている。そんな白のいじら
しさを知る度、瑛里華の中から抑えきれない衝動が沸き上がってくる。
 (この子を、もっと感じさせたい。私の手で気持ち良くなって欲しい。)
 


 トロトロと手を濡らす愛液をシーツで拭い、瑛里華は両手で白の頬を包んで
顔の方へと引き寄せる。そんな主の意図をを感じ取った白も、背伸びをしなが
ら瞼を閉じて唇を捧げる。
 (ちゅっ。)
 二人の唇と舌が触れ合い、一つとなって互いを愛し合う。更なる一体感を求
めて口付けを深くすると、唾液が混ざり合って泡立ち化学反応を起こして甘い
媚薬に変貌する。
 「「ん……ちゅ……ちゅっ……」」
 もう言葉は必要なかった。皺だらけになった純白の寝具の上で絡み合った体
がフワリと半回転して、瑛里華の血色の良い乳房の重みが白の発育途上の控え
目な膨らみを上から包み込む。更に量を増した汗で濡れ光る素肌同士で挟まれ
た四つの乳首が二人の鼓動に合わせてコロコロと滑り転がる。
 (白……白……!!)
 瑛里華の体内でも堰を切ったように大量の蜜が湧き出してくる。白に覆い被
さる体勢になってしまった所為で足が開き、際限なく次々生み出される愛液が
溢れて下着の中にどんどん溜まってゆく。水分を吸収して重く不快になったシ
ョーツを吸血鬼の力でなんなく引き裂き投げ捨てると、露わになった性器から
垂れ落ちた熱い粘液の滴を素肌で受けた白が、そっと太ももを広げて僅かに膝
を立てて瑛里華を受け入れる状態になる。
 「ふぇ、ふぇりかしゃま……」
 濃厚なキスの合間で白が紡ぐ甘えた声。
 「うん。」
 目で頷き、瑛里華は自分の太股を白の淫唇に密着させる。そして白も膝を瑛
里華の熱い泉にあてがい、二人はゆっくりとしたペースで体を揺らし始める。
 「っ!」
 「〜〜〜〜っ!」
 チュプチュプと少女達の粘液がさらさらの素肌の上でシェイクされ、気泡と
混じり合う淫靡な音がハーモニーとなり、そろぞれの耳に届く。未だ処女膜の
先にまで何者の侵入も許したことがない、という意味では間違いなく純潔を守
り通している二人であるが故に、押し広げて秘裂の深部を刺激するようなこと
はしない。あくまでも表面に擦りつける程度の力加減で愛撫の延長線上に近い
交わりである。が、それ以上の行為を体験したことがなく、互いが最も悦ぶ強
さを心得ている彼女達の行為は、彼女達の世界の中では立派な性交であり愛の
交歓なのだ。



 (き、気持ち良い……っ!)
 柔らかく滑らかな少女の足が愛液に塗れながら、快楽を渇望する素肌の最も
敏感な部分を何度もなぞり、同時に包皮越しのクリトリスも絶妙な加減で刺激
してくれる。瑛里華は白の頭を胸に抱き寄せ、白は瑛里華のくびれにしがみつ
き余すことなく全身を密着させながら足を腰を擦りつけて快感を与え合い共有
する。もうキスをしている余裕など、どちらにもない。
 (瑛里華さまっ、瑛里華さまっ!)
 若々しい張りのある胸の谷間に頬を埋めた白が荒い息を吐くたび、瑛里華の
汗と体温とフェロモン臭が酸素を押しのけて体内に取り込まれる。加えて瑛里
華の指が触れたときのの感触が消えないままの排泄器官に汗と淫らな蜜とがミ
ックスされた液体が冷めないままに滴ってきてピリピリとした疼く。
 (白、白の息が……!)
 瑛里華の方も白のサラサラの髪、そして興奮で熱くなった吐息を乳首に浴び
せかけられて、頭の中が真っ白になりそうだ。それでも下半身の動きが激しく
なるのは、ひとえに頭脳から主導権を奪い取った子宮の本能のなせる技なので
あろう。
 本来のセックスよりは緩やかな角度で、しかし自慰よりは数段早い速度で二
人は一緒に上り詰めてゆく。孤独を恐れる子供みたいに強く抱き合い、胸の中
にポッカリと空いた底なし穴を一時でも良いから快楽で満たそうと、瑛里華は
白の優しさの中に身を投げ込み……
 「ッッ、ッッ、ッッ〜〜〜〜〜ッ!」
 白は、主に求められた物を捧げることが出来る喜びに包まれながら……
 「え……りか、さまっっっっ!!」
 押し寄せる津波の中へと、沈んでいった。