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名前: 1019 ◆9sqDJ/aML2 [sage] 投稿日: 2008/01/26(土) 22:04:02 ID:Wzp5vr3L
<麻衣のお散歩>
赤い空が夜の黒に変わろうというとき、達哉がイタリアンズの散歩を
終えて戻ってきた。
麻衣が家から庭に出て、兄を迎える。
「おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
達哉は首輪からリードをはずし、鎖でつなぎなおす。
三匹が代わる代わる兄にじゃれつくのを見て、麻衣はうらやましげな
顔つきになる。
「ね、ねえお兄ちゃん。その、散歩は……」
「ああ。あとで麻衣も、散歩しような」
すっと立ちあがり、ぽんぽんと麻衣の頭を軽くたたく。
麻衣は兄の大きな手のひらの感触に目を細め、ほんのりと頬を染める。
もじもじと身を小さく揺すった。
さやかが寝入った夜中、達哉と麻衣が外に出る。
麻衣の全身はすっぽりと、大きなコートで包まれていた。
(つづく)