7-621 名前: 千堂 瑛里華 ―4月2日― [sage] 投稿日: 2007/12/22(土) 20:03:39 ID:SucaXhHp

「んっ…ぅく、はぁあぁぁ…ん、んく…んぁあぁっ」

 部屋の防音は完璧だと分かっていても、それでも私は声を抑えずにはいられなかった。
気を抜けば、どんなボリュームで恥ずかしい声をあげるのか、自分でも自信が無いから…
そもそも自分を抑えきれるのなら、私は今、ベッドの中でこんなコトはしていない。

私は今、うろ覚えの知識と本能を頼りに、生まれて初めて自分の身体を指で慰めていた。
――シャワーを浴び、下着を取り替えても治まらない、身体の火照りを鎮める為に…
 
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――『彼』の手に触れようとした瞬間、"それ"は起こった――


「ひぁぁぁぁっっ!?」

思わず悲鳴を上げてしまったがこれでも何とか自重した方…
一瞬でも自我を取り戻すのが遅れていたら、私は人目もはばからず、もっと恥ずかしい声をあげていただろう。
――直後、私は身体を支える芯が抜け落ちてしまったかのように、その場に尻餅をついてしまう。
生まれて初めて味わう痺れるほどの甘い感覚が腰から全身に迅りぬけ、文字通り『腰が抜けて』しまったから…

「だ、大丈夫?」
「え、ええ」

 目の前の彼が心配そうに私の顔を覗き込んでくる。まあ、自分を迎えに来た人間が、いきなり奇声を上げて
へたり込んでしまったのだから、無理もないわね…



「あのさ……俺、なんか、まずいことした?」

 親切にも私を引き起こそうと彼が差し出した手に、触れないように立ち上がった私に当然の質問。
失礼なのは百も承知だけど、今、貴方に触れたら、どうなってしまうか分からないの…
ゴメンなさい…
心の中で彼に謝りながら、同時に自分の身体におきている変化も実感する。

体温が1〜2度上がったように、身体が熱く火照ってきてるのはまだいい…急に、ブラがきつくなったような――
最初は錯覚かとも思ったけど、確かに私の胸が大きくなっていた。もちろん『全体』ではなく『一部』が…
胸の『先』が硬く尖ってきたのだ、ブラが窮屈に感じるほどに…しかもブラの生地に擦れてますます敏感に…

(ちょ、ちょっと…どうしちゃったのよ!?私の身体〜〜)
「もしかして、調子悪い?」
「別に、そんなことは…」

 こんな私の失礼な態度にもかかわらず、心配そうな顔で彼が尋ねてくる。紳士的でいい人なのは分かったけど…
ごめんなさい。貴方が悪いわけじゃないけど、貴方の『何か』に私の身体が反応してしまうの。
 
「でも…」
「いいの、本当に大丈夫だから」

身体が奥からどんどん火照ってくるのを感じながらも、彼の言葉をなんとかムリヤリにでも誤魔化す。



"…ちゅく――"
(――っ!?)

 不意に、内腿に冷たい感触が伝わる。
身体が火照っている分、それは余計敏感に感じられて…
いつの間にか内腿がしっとりと湿り気を帯び、汗とは違う『何か』が下着から染み出してきていた。
そして外気に触れた『それ』が、熱く火照った私の身体を、そこだけ冷たく冷やしてくる…

(…やだ…何…濡れてる…?)

「誰か呼んだほうがいいか?」
「大丈夫、大丈夫よ」
「ぜんぜん大丈夫じゃなさそうだぞ」
「平気だから……ちょっと、ごめんなさい」

 少し彼から離れ、呼吸を整えるフリをしながら(もちろん呼吸も整えてたけど)、口に手をやり
口の中の『アレ』を確認する。

(…うん、まだ目立つほどには『伸びて』ない…)

「ど、どう?」
「ええ……だいぶ楽になったわ」
「一人でも転入手続きくらいはできるから、無理しないで」
「ありがとう……もう、平気よ」

 実際のところそれはウソだけど…ただ、ここで彼を放り出してしまうのは私のポリシーに反する。
彼に「歓迎する」と言った以上、私にも意地がある。
彼に楽しい学園生活を送って欲しいと言う気持ちに、ウソ偽りはないから…

「あ、案内するからついてきて」
「どこへ?」
「先生のところよ」

 身体の変調を気遣わせないように気を引き締め、彼を先生のところまで案内する。
出来るだけ、彼に近付かないように…



 ・
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 ・

「じゃあ、先生はこの中だから」
「ちょっと」
「何?」
「案内してくれて助かった。調子がよくないのに、すまないな」
「……ええ」

 彼の労いの言葉に最低限の返事をして、私は彼の姿が青砥先生の教室の中に消えるのを見送ると
思わずその場にへたり込んでしまいそうになる。
…流石にそれは踏みとどまったけど、正直もう限界だった。
 硬く尖った胸の先が歩く度にブラの生地に擦れて、痺れるような甘い刺激を私にもたらしてくるし、
その度に上ずった声を上げそうになるのを必死に堪えていた。
 そして、ショーツの中がグッショリと濡れ、生地で抑えきれなくなった露が、内腿を伝って垂れ落ちてくるのを、
イヤでも実感してしまう…
いくらそっち方面に疎い私でも、これが汗でないことくらいは流石に解かっている。
とはいえ、いま自分のショーツを濡らしている液体が『どういうモノ』なのかわかっていても
『何故』自分の身体が『そんなモノ』を垂れ流しているのか理解できない。

…いや、違う。

理解できないのではなく、理解したくないんだ。私の身体が彼に『欲情』している事を…
より正確に言うなら『欲情』ではなく『渇望』―――

(鎮めないと…)

そう…私は兄さんとは違う。
兄さんみたいな事をしなくても、私は普通にこの学院でやっていける…







「…ン、あぁっ…」

 歩いている最中も、腰が抜けそうになる程敏感になっていた身体を、引きずるようにして部屋に戻った私は
すぐにシャワーを浴び、下着を取り替えてベットに突っ伏していたけど…

…無意識のうちに私の指はスカートの中に潜り込み、下着越しに敏感な柔肉に触れていた――

"ちゅく…ぬちゅぅ…"

 取り替えたばかりの清潔な下着にシミがひろがり、身体の奥からあふれ出した蜜が、布地越しに
私の指先を湿らせていく…

「ふぁっ…んあ、あ、いぃっ…ふ、んんっ…あぁぁっ――」

 自分の声とは思えない、上ずった喘ぎ声が響いている。
指先が下着の中に潜り込み、蜜でしっとりと潤んだアソコを直接なぞり始め、その指の動きにあわせるように、
いつの間にか脚をひろげ、腰を突き出すような格好になっていた。

(私…なんてイヤらしい格好してるんだろう…こんなに脚をひろげて…もし、誰かにこんな格好を見られたら――)

自分の…あまりにもはしたない姿を自覚しながらも、身体の方はますます興奮を募らせていた。
そしてもどかしげに下着を下ろすと、まるで中空にいる誰かに見せ付けるように、人差し指と薬指で柔肉を押し広げ
おそるおそる濡れそぼったアソコに中指を挿し入れていく。
 開いていたもう片方の手は自然と胸元に伸び、ブラジャーをずらして胸を揉み、硬く尖った先端の突起を
つまみ上げていた。



(やだ…こんなに硬くなってる――)
「――ん、ふああぁあぁぁっ!」

 直後、ツーンと指先から頭のてっぺんにかけて電流のような快感が迅りぬける。
秘唇をかき回していた指先が、無意識の内に合わせ目の突起を引っ掻くように擦りあげたからだった。

(ダメ…こんな…こんなの…――も、もう…考え…られない――)
「ぁああんっ…ん、くふぅ…あぁあっ……や、ぁあぁ…ダメ…ダメよ……あ、ふぁあぁぁっ」

 自分の声に後押しされるように、アソコをかき回す指の動きが激しくなる。それに呼応するように
腰がクネクネとうねり始め、その動きにあわせて膝頭が開いたり閉じたりする。
もちろん、もう片方の手も胸を愛撫したままで、その硬さを確かめるように、先端の突起を指で摘み
引っ張り、擦りあげていた…

 私の身体は今、貪欲に快楽を貪っていた。私の心をどこか置き去りにしたまま…
心のどこかでは「いけない」「止めなきゃ」と思っていても
、指の動きは自分の意思を無視してますます激しさを増していた。
段々と思考に霞がかかっていき、頭の中がチカチカと明滅を繰り返し始める

そして――

「ふぁ…あ、ぁ…あっ…いっ…ん、ああぁあぁあああぁあぁぁぁぁぁぁ―――っ!!」

 私の身体に一際大きな快楽の波が押し寄せてくる。
全身がピーンと硬直したかと思うと、ガクガクと痙攣を起こしたように身体が震える。
アソコを弄っていた指は『その瞬間』に吹き出た熱い汁でべたべたになっていた。

 やがて痙攣が治まると、まるで潮が引くように快感の波も静まり、冷静さと落ち着きを取り戻し始めると
あれほどまでに自分を狂わせていた身体の疼きが、いつの間にか鎮まっていることに気付く。

 そうして私は、けだるい身体を引きずりながら、再びシャワールームへと向かう。







「支倉…孝平――」

 再びシャワーを浴び、下着を取り替えたあと、今日一日の自分の痴態のきっかけを作った、
彼の名前をひとり呟く。

(今度、また彼に触れたら…)

 一瞬、あのときの痺れるような快感に、身を委ねたいという甘い誘惑を振り切って、これから先のことを考える。

「ちょっと癪だけど…」

 相談相手のニヤついた顔を想像して、その気が萎えかけたけど、今は背に腹はかえられない。

「支倉 孝平…」

もう一度、彼の名前を呟いた。

(END)