3-181 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/10/28(土) 19:14:42 ID:VjPrbQ/e

―――・・・・ん・・・・―――

声が聞こえる・・・・
―――ぁ・・・・ゃ・・・・―――

聞き覚えのある・・・・しかし聞いたことのない声音。
まどろみの中に漂たう私の中に普段は決して流れ込んでくるはずのない私の器たる少女(リースリット)の声。
私はリースリットの知覚する情報の全てを受け取る事が出来る。
だがそれは時に苦痛で、だから自分の意識を眠らせる事でその知覚を後づけで、あくまで情報として受け取るように

するのだが・・・・何故今?

『・・・・・?なんだ?』

私とリースリットは故あって同じ器を共有する存在。
いやこれは正しくはない表現だろう・・・・私がリースリットの肉体に後から入り込んだ存在なのだから。
例えそれが月と地球にとって重要な事であり、リースリット自身も望んでいるとは言え・・・・
だから私は必要な時以外は表に出る事はなく、また最近はリースリットが表に出ているときは出来るだけ眠りにつく

様にしている。

―――っ・・・・くす・・・・たい―――

また流れ込んでくる・・・・途切れ途切れの言葉と映像情報。
この少年は・・・・・そうか・・・・

今、リースリットは、リースリット自身さえ何処か軽んじていた自分自身を大切にしてくれる存在、優しく受け入れ

てくれる場所を手に入れた。
なのにそれを手放そうとしている。
ロストテクノロジー知識を後世に残すという使命のために、つまりは私のために・・・・

―――ぁ・・・・ぁ―――

朝霧 達哉・・・・その少年の名だ。
それを認識したとたん流れ込んでくる情報が鮮明化した。

いけない・・・・

これはリースリットにとって大切な想いと場所だ。
たとえ器を共有する私とて踏み込んで良い部分ではない・・・・いけない・・・・
なのに、情報が止まらないさらに鮮明化して流れ込んでくる。
リースリットと達哉の行為は徐々に激しくなり、まるで私が・・・・その・・・・達・・・・哉に・・・・

トクン・・・・

不意に私の胸のうちを不思議な感覚が疼く。
いけない。引き込まれてしまう・・・・リースリットの感情に私の心が・・・・でも、ほんとうにこれは・・・・リースリットだ

けの・・・・?
私はそれが何かわからないまま、情報を遮断しようとする努力を放棄し、リースリットとして達哉に抱かれる感覚を

共有していった。



コンコン

深夜・・・・自分の部屋をノックする音に達哉は目を覚ます。

「・・・・ふぁ・・・・誰?」

目をこすりながら自分の体を横たえていたベッドから起き出し、答える声のない来客のために自室のドアを開けた。
部屋の外には金の髪の少女、自分が誰よりも大切にしたいと思った孤独で、そのくせ優しくて、寂しげな少女が俯い

たまま立ち尽くしていた。

「リー・・・・・」

その何処か迷うような、迷子の子猫のような少女に声をかけようとして達哉は不意に気付いた。

「・・・・どうしたんだ? フィアッカ?」
「!!」

弾かれたように少女が達哉を仰ぎ見、そのリースとは違う真紅の瞳を驚きの色に染めて目の前の少年を見つめる。

「判るって・・・・」
「フッ・・・・恋した相手の事は判ると言うわけか?」
「ま、そう言うこと・・・・入るかい?」

僅かに混じった皮肉にも動じない達哉に、逡巡し無言で頷いた赤い瞳の少女を部屋に招きいれる。
椅子を勧めようとする前にベッドに腰掛けてしまう少女にやれやれと苦笑しながら自分もその隣に座る。

「・・・・どうしたんだい?」
「わからないのだ」

フイっと真紅の目を逸らし戸惑うように呟くフィアッカを達哉が不思議そうに眺める。

「なんだ?その目は・・・・?」
「いや、珍しい事を言うなと思って・・・・」
「私は万能でも全能でもない。判らないことくらいある・・・・特に心の事は・・・・」

苦笑する達哉にフィアッカがやや頬を膨らませ、最後は達哉に聞こえないように小さく呟いた。
ロストテクノロジーの知識を後世の残すフィアッカの知識は莫大で、また幾人もの人物の中でさまざまな人生を図ら

ずも覗いてきたフィアッカでさえ判らない事は多い。

「どうしたんだい?」
「・・・・別に」

――――判らない。人の心は・・・・自分の想いは・・・・この感情は・・・・――――

ジッと自分の横に腰掛ける少年を覗き見るように見つめる真紅の瞳が戸惑いに揺れ、切なげに震えている事にフィア

ッカ自身まるで自覚していない。

「リースリットの意識はもうすっかり戻ったようだ。」
「ほんとか!?」
「ああ、もうリースリットの意識が消える心配はない。」
「そうか・・・・良かった」

心の底から安堵し胸を撫で下ろす達哉を見ながら理不尽と思いながらも胸の中に湧き上がるもやもやが消えない。
リースリットの意識がしっかりとしたという事は自分が表に出てくる必要がないということだ。
この少年と出会う必要もこうして会話する必要も・・・・



「・・・・っ」

ズクン・・・・
胸の奥に経験したことのない重く痛い何かがわだかまる。
悲しみだけでもない、寂しさだけでもない。

――――・・・・え?――――――

自分の心の中を冷静に分析していたフィアッカが不意にそれを知覚し、思いっきりうろたえた。

―――・・・・悲しい・・・・寂しい・・・・わ、私が?―――――

「・・・・フィアッカ?」

心配げな瞳が自分をのぞき見る。
何故そんな瞳で自分を見つめるのだろうか?
最初に自分が表に出たときは警戒し、どこか恐怖さえ抱いていたはずの少年が今は自分を案じている。
それが何故か嬉しいと思う自分がいる事にフィアッカは戸惑い、恐れた。

「な、なんでもない!」
「え?いや・・・・でも・・・・」
「くどい!」

慌てて、ベッドから立ち上がり部屋から出て行こうとする。
間違いだった、ここに達哉の部屋に来たことは・・・・
たとえようもない恐れがフィアッカの中に湧き上がり、この場から、この少年の傍から一刻も早く立ち去ろうと焦る

・・・・自分自身気付いていない後ろ髪引かれる思いを抱えながら。
そして・・・・

「あ・・・・っ」

実際に後ろに引かれてしまった。
少年に掴まれた「手」が優しく引き寄せられる。

「ふ・・・・ぁっ」

ポスン・・・・
達哉の足と腕と広い胸の中にすっぽりと収まり、リースがそうされていたように優しく抱きしめられ、フィアッカは

思わず切なく甘えた声を漏らした。

「は、離し・・・・っ」

キュ・・・

「ぁ・・・・ふぁっ」

優しく腕の中に包み込まれ、達哉の温もりと鼓動と吐息がフィアッカの胸を優しく掻き乱し、切なく熱く疼かせる。

抵抗は一瞬で掻き消え、力を失った小さく軽い身体が心地よい温もりに身を委ねた。

「こうすると嬉しそうなのはリースと同じなんだな・・・」
「う、嬉しくなど・・・・・ない」

赤らめた顔を必死に達哉の視線から逃がし、必死に作ったぶっきらぼうな言葉を投げかけるが・・・・



「嘘つきなのも一緒なのかな?」
「はぅぁ・・・・」

優しく身体を揺すられ、頭を撫でられるとその心地よさに素直じゃない言葉が溶け消え、切ないため息が漏れる。

「フィアッカ・・・・オレはリースが好きだ」
「ぁ・・・・」

不意に告げられた当たり前の既知の筈の事実に胸の中が重く沈んだ。
あれだけ暖かく高揚していた胸の内が凍えるように冷え切っていく・・・・

―――そうだ・・・・知っていたはずではないか。タツヤの心はリースリットのものだ―――

知っていたはずの覆しようのない真実。
自分はアレだけ見てきたではないか達哉のリースへの想いの深さを、リースの達哉への微笑ましくも不器用な切ない

想いも・・・

―――なのに私は何を期待して・・・・期待?―――

「知っている・・・・」

必死に溢れ出す想いを押し込め、感情を消し去った・・・つもりの声で答える。
しかし隠しきれない寂しさと切なさ、その奥に隠された真実の感情・・・・

「そしてフィアッカ・・・・君もだ・・・・」

そしてリースとフィアッカの想い人はその大切なものを見過ごさなかった。

トクン・・・・

信じられない言葉に胸が静かに跳ねた。

「た、タツヤ?な、何を言って・・・・」
「フィアッカ・・・・」

優しく耳元で囁かれ、細くちいさなおとがいに優しい指がかかる。

「やっ・・・・き、キミはリースリットの事が・・・・」

切なく揺れる真紅の瞳が迫る想い人の顔を映し、怯えたようにふるふると小さく首が振られる。
少女の中にいた。いつも凛として達観していた「女性」はそこにはいない。

「だめだ・・・・・っ!」

ぎゅっと目を閉じ怯える少女への口付けを止め、そのままの姿勢で達哉は囁く。

「フィアッカ、オレは無理強いはしたくない。だから本当にいやなら逃げてくれ」

卑怯な言葉がフィアッカの心を激しく揺さぶる。

「だがキミは先ほどリースリットの事を、そ、それに私の事を嫌っていたのではないのか?」

リースが事故で意識が弱まり、消えかけていたとき達哉に怒りをぶつけられた事をいまさらのように思い出し、どうしようもなく悲しくなる。

「泣かないでくれ、フィアッカ・・・・」
「だ、誰も泣いてなどいない!・・・・ぁ!」

目の端を指で優しく拭われ、その指先についた雫に初めてフィアッカは自分が泣いていた事に気づいた。



「こ、これは・・・・そ、その」
「フィアッカ・・・・オレはさっき言った様にリースが好きだ。」

慌てふためくフィアッカの言葉を遮り、達哉は真剣な瞳でその真紅の瞳を見つめる。

「あ、ああ・・・・知っている」

その真剣な瞳にどぎまぎしながら頷き俯く少女にそっと優しく笑いかけ、少年は言葉を続けた。

「リースは言っていた、フィアッカを受け入れたのは自分の意思で、自分の使命だと・・・・最初は納得できなかった。

フィアッカのことを恨みもした。」
「無理もないさ・・・・」

自分の恋した相手の中に別の人間が住んでいて、その人間の為に恋した相手が消えるかもしれないなど耐えられる人

間はいない。

「オレはリースの全てを受け止めたい。受け入れたい。なら・・・・フィアッカ。君も含めて受け入れる」
「な・・・にを言って」

おとがいから手を離され、そっと頬の横に手が添えられ優しく撫でられた。

「リースは君と離れることを望まない。そしてきっと自分だけ幸せになる事も望まない。そう言う子だ。」
「だ、だからと言って・・・・っ」

暖かい手の感触に動揺し、真紅の目を泳がせながらフィアッカは期待に高鳴る鼓動を抑える事ができない。

「フィアッカ自身がそんな事にもオレにも興味がないならリースの中の家族として受け入れるつもりだったけど・・・・

自惚れていいのかな?」
「は・・・・ぁっ」

頬を撫でる手が優しく首筋を愛撫し、ゆっくりと頬や額に軽くふれる唇。
甘く切なく迸る甘美な電流に、フィアッカの小さな唇から切ない吐息が漏れる。

「それに・・・・リースとの件で君と話して、君に接してオレは思ったんだ」
「はぁ・・・・た、タツ・・・・ヤ?」

目の端に浮かぶ涙にそっと口付け、達哉が笑う。

「フィアッカ・・・・君にも幸せになってほしい。使命とかそんな事だけじゃなくて・・・・」
「はっ・・・・ん・・・・」

優しく重ねられる唇。フィアッカとしては初めて経験する甘い口付けに、何処までも酔っていく。
かつてフィアッカが消えてしまうんじゃないのか? リースの件でそう達哉に問われ、それでいいと、寂しさなど忘

れたと答えた自分。
そんな自分を悲しげに見つめていた少年・・・・そんな事を考えていてくれてたのだろうか?と胸が熱くなる。

潤んだ真紅の瞳が僅かに揺れて・・・・しばしの逡巡の後、覚悟を決めたように静かに閉じた。



「はぁ・・・・はぁ・・・・ふうっ。キミには・・・・驚かされることばかりだ。」

長い沈黙のあと開放された唇から、達哉も初めて聞くフィアッカの拗ねた様な言葉が漏れる。

「この歳になって初恋と初めてのキスを経験するとは思わなかった・・・・」
「え・・・・?」

そっと濡れた自分の唇を人差し指で幸せそうになぞるフィアッカを達哉が驚いたように見つめた。

「意外かい? フフフ・・・・私が存命中は生涯技術に身命を捧げていたし、この様な身体になってからは恋愛どころで

はなかったからな」

少し寂しそうに笑う・・・・フィアッカの話が本当ならば7.8百年は人の身体の中で生きているはずのこの女性が・・・・

初めて。

「こら・・・・失礼な事を考えなかったか?」
「あ、いやその・・・・ごめん」
「いいや、許さん」

悪戯っぽく紅い目が笑い、細い両腕が達哉の首に回し甘えるように囁く。

「だから責任をとってくれ・・・・」
「もちろんさ」

想い合う二人はくすりと笑い合い、再び唇は優しく重ねられた・・・・

「はっ・・・ん・・・・」

ベッドの上にもつれ合うように倒れこむ二人、フィアッカの唇から自身さえ初めて出す様な甘く濡れた声が漏れる。
成長の兆しさえ見えない薄い胸を、達哉が壊れ物を扱うように優しく黒い衣服の上からさすり、フィアッカの身体と

心がそれに甘く反応する。

「可愛いよ・・・・フィアッカ」
「あっ・・・・ん。タツヤ・・・・タツヤぁ・・・」

普段からは想像もできないような甘えた声が達哉の名を連呼して少年を求めた。
起伏の少ない胸の膨らみが衣服の上から擦られているだけだと言うのに、ロストテクノロジーの膨大な知識を宿すフ

ィアッカの聡明な脳は痺れてしまう。
優しく頬に、唇に、額に、鼻の頭に降るキスの雨はただそれだけで熱く切なく胸を焦がした。

そっと達也の指がフィアッカの衣服のボタンを外していく。
リースとの情交で一度見知った身体だが中の心は別物だ。それが達哉に新鮮な興奮となって押し寄せた。
胸の前が開かれ白いキャミソールが露になる・・・・ポツリと白い布地を押し上げ浮かび上がる二つの膨らみ。

「フィアッカの乳首・・・・かわいい」
「ふあっ!・・・・やっ、タ、タツヤ・・・・」

そっとその膨らみに両手のそろえた指先を当てマッサージするかのように円を描く。
可愛い悲鳴を上げ慌てたように達哉の顔を仰ぎ見る真紅の目を意地悪げに眺めながら小さなポッチに甘いノックを繰

り返す。

「や・・・・めっ・・・そんなぁ・・・・き、キミ、ちょ、ちょっと・・・・い、意地悪だぞ?」
「好きな子には意地悪したくなる性分なんだ♪」
「そ、そんな・・・・はぁ・・・・・ひ、卑怯・・・・ふあぁ!」



胸から湧き上がる甘い疼きが耳元への優しい囁きによって止めを刺さされてしまい、倍加した愉悦となりフィアッカ

を喘がせる。
恥ずかしげに切なげに寄せられた眉根が押し寄せる甘い刺激にかすかに震える。

「はぁ・・・・やっ・・・・切ない・・・・はっ・・・・胸が・・・・ぁ」

一度リースとして開花した感覚が肉体に記憶となって残っており、結果フィアッカへと押し寄せる性の快楽をより鮮

明に体感させる。
手のひら全体を使って薄い乳房を緩やかに描いて円を愛撫し、指先を使ってその中心に息づく桜色の尖りと盛り上が

りをなぞり、擽る。

「そこばか・・・・り、い、いじらない・・・・でぇ・・・・」

背筋を駆け上がる甘い痺れに聡明な頭脳を激しくノックされ、痺れさせ、霞む視界が涙のせいなのか? それとも蕩

ける意識のせいなのか? なにもかも初めてのフィアッカには判らない。
怖くて、不安で、なのにとても幸せで・・・・その感情に後押しされたフィアッカの身体は驚くほど素直に愛撫に反応し

た。

「ごめんごめん、わかったよ」

喘ぎ乱れた息の下、潤んだ瞳で睨んでくる可愛い少女の懇願にさすがにこれ以上苛めるのは罪悪感が沸く。
自分よりはるかに長い年月を生きた女性の可愛い姿に、自分は思ったよりも興奮しているようだと達哉は苦笑した。

「・・・・ん・・・・・ん・・・・」

足を覆う左右の白い靴下をそっと脱がし、白いドロワーズに包まれたフィアッカの白い脚を優しく撫でていく。
太ももの間にそっと手を差し入れ、優しく敏感な内側を手のひらと指を使って撫でると、先ほどとはまた違った声を

上げながらフィアッカが高ぶっていった。

「可愛い人だな・・・・フィアッカは本当に」

押し寄せてくる感覚に戸惑いながらも必死に達哉の行為に応えようとする女性に胸が熱くなる。
小さく喘ぎ悶える年上のはずの女性の可愛いらしい艶顔に、幾度となく口付けを落とし、改めて自分の中でリースと

同等までに大切な存在へと変わった女性を愛する事を心に誓った。

「愛してる・・・・フィアッカ」
「タツ・・・・ヤ・・・・はぁ・・・・私も・・・・愛してる」

達哉の言葉にぱっと花開くように幸せな笑顔を返され、達哉自身湧き上がる愛情に我慢が出来なくなり、幾度目かわ

からない口付けを交わす。

「は・・・・ん・・・・ちゅ・・・・」
「ん・・・・ふっ・・・・」

深い口付けを交わす間も達哉の空いた手は休む事なく切なげに揺れる腰に手を回し、お知りの膨らみを撫で、擦り、

指と手のひらを使ってまだ固いそこを優しく揉みほぐしてゆく。
フィアッカの肩を抱いたままそっと腰を覆う白いドロワースをゆっくりと引きおろしていった。

「・・・・・んっ!」



露になる下着に唇を重ねたままのフィアッカが恥じらいに頬を染める。
脚の付け根の女性自身を避け、再びお尻の膨らみに手を伸ばし触れそっとその柔らかい感触を楽しんだ。

「はぁ・・・・んっ・・・・もう・・・・んっ!」

唇が開放され、酸素を求めて可愛く喘ぐフィアッカが涙に潤んだ切なげな瞳を恋人に向ける。

「ありがとう。き、気遣って・・・・くれて・・・・で、でも、タツヤの・・・・好きに・・・・して欲しい。」

いまだ女性としては成熟していないリースとフィアッカの身体を気遣っていたのが判ったのだろう。
その優しさに感謝し、喜びながら、それでも想い人を受け止めたいという欲求が幼い体と完成した心の中の両方から湧き上がっていた。

「フィアッカ・・・・」

自分でも達哉を求めるような言葉を紡いだ事に恥じらい顔を伏せる愛しい少女の瞼の上にそっとキスを落とし、フィ

アッカの秘められた箇所へそっと指を伸ばした。

「ぁ・・・・ぁ・・・・っ!」

下着の上から割れ目に沿わせそっと指を動かし、フィアッカの反応を伺う。
僅かな恐怖と期待の入り混じった緊張が次第にほぐれ、小さく開いた唇から甘く掠れた吐息が漏れはじめるのを確認してからゆっくり指の動きを大きくしていった。

「あう・・・・ゃ・・・・ぁ・・・・んっ!」

間違っても苦痛を与えないように、達哉自身少ない知識の中から優しく優しくフィアッカの中の性感を引き出そうと努め、少女の身体もその緩やかな動きに応え始めていた。

くちゅ・・・・

僅かに粘ついた湿り音が脚の間から響き、指の動きに沿って間隔は早く、ボリュームは大きくなっていく。

「・・・・脱がすよ?」

耳元に唇を寄せ小さく囁く。
可愛い耳を吐息で擽られ、身体を震わせた少女はその言葉に無言で小さくうなずいた。

「・・・・・っ」

年相応の可愛らしい下着に指をかけゆっくりと下げていく。
かすかに湿り気を帯びた秘所が姿を現し、覚悟していたとは言え押し寄せる羞恥に小さな悲鳴がフィアッカの唇から漏れた。

「綺麗だよ・・・・フィアッカ」
「ぁ・・・・こ、これはリースリットの・・・・はぁっ!」

馬鹿な自虐の言葉を紡ごうとするフィアッカの敏感なそこにそっと指を押し当て可愛らしい喘ぎで黙らせる。

「フィアッカ・・・・言ったろ?オレはリースもフィアッカも全て受け止める」
「ぁ・・・・はっ・・・・タ、タツヤ?」
「リースの身体も心も使命も、フィアッカの心も背負ったものも全部・・・・だからそんな事言うな」

真実の深さを知らない愚かな若造の世迷言、綺麗事、戯言・・・・誰にそう言われても構わない。
今ここで自分が愛おしくて仕方のない二人の少女の心が晴れるなら幾らだって言ってやる。
そっと指を動かし、優しい刺激を愛する女性に送り込みながら達哉は、フィアッカの耳元で幾度も優しく囁いた。



「タツヤ・・・・タツヤぁ〜〜」

真紅の瞳からポロポロと零れる涙を隠そうともせずに甘く喘ぎ、愛おしい男性の名をうわ言の様に呟く。
長く終わることのない孤独な使命に縛られていた女性が愛おしくて堪らない。
そんな女性を身の内に受け入れ自分を省みずに使命に邁進したちょっと世間知らずの少女が愛おしくて仕方がない。

「あ・・・・ぅ・・・・はぁっ」

クチュ・・・・クチッ・・・・

深夜の室内に静かに響き渡る粘り気のある水音。
身の内から湧き上がる情感に身悶え、切ない疼きに小さく首を振ると金の髪が乱れて達哉の鼻先を擽る。
あのフィアッカが自分の指で言葉で感じてくれている、それに異様に興奮する自分がいた。
だからこそ少年も、まだ幼い身体を欲望に任せて傷つけないように、心の中から湧き上がる情念と戦いながらひたすら優しく慈しむ。

「も、もう・・・・いい。そ、その・・・・抱いて欲しい」

しばらくしてフィアッカがそっと呟いた。
既に達哉のモノはズボンの中で痛いほどに硬直し、自己の存在を主張している。
潤んだ真紅の瞳がその膨らみを横目で見つめ、そうなってもことに及ばない少年に自分が如何に大切にされているかを実感して胸を熱くした。

「・・・・大丈夫なのか?」
「ふふふ・・・・リースリットにもしたのだろう? 私にだけ遠慮するのは不公平だぞ?」

頬を赤らめ立ち上がると身に付けていた残りの衣服を全て自分で脱ぎ去る。
暗い部屋の中に白い裸体が浮かび上がり、達哉は静かに息を飲んだ。
そっと達哉の前に屈み、少しだけ迷って達哉のベルトにその細い指をかける。

「お、おい・・・・」
「いいんだ」

慌てる達哉を静かに制してベルトを外し、そっとズボンのファスナーをおろす。

「きゃっ!」

弾かれるように顔をのぞかせた達哉自身のものに驚き可愛い悲鳴をあげる少女に思わず達哉が笑った。

「わ、笑うな・・・・」

顔を真っ赤にしながらそれでもチラチラと愛おしい男性のそれを横目で見つめ、そっと手を伸ばす。

「うっ!」
「熱くて・・・・固い・・・・これが」

冷たく柔らかい手に触れられ思わずうめく達哉をすこしだけ心配そうに見つめ、好奇心と興奮を抑えられないように初めて触れる男性器をまじまじと観察した。
知識だけはしっているのだろう熱に浮かされたように潤んだ瞳を向けたまま、ゆっくりとその幼い手が上下に扱きはじめる。

「フィ、フィアッカ?」
「キミは優しく扱ってくれた・・・・だから礼だ」

シュッ・・・・シュッ・・・・

「あっ!・・・・うっ・・・・くうっ!!」
「気持ちいいのか? タツヤ・・・・」

テクニックも何もない稚拙な動き、しかしその柔らかくて幼い手の感触と冷たさ、なにより愛する少女の奉仕に瞬く間に追い詰められていく。



「ま、待ってくれ・・・・フィアッカ。こ、これ以上は・・・・」
「え? し、しかし・・・・」
「これ以上は・・・・その君の中で・・・・」
「あ・・・・っ」

達哉の言葉に耳まで真っ赤になり、フィアッカが手を離した。

「その・・・・じ、自分は初めてなんだだから・・・・」
「うん・・・・優しくする・・・」
「お、お願いします」

いきなりベッドの上で正座し、三つ指をついて頭を下げるフィアッカに呆気にとられる達哉。
この身体がリースとして経験がある事は知っているフィアッカ自身知っている。それでも言わざる得ない不安の表情に達哉は微笑むとしっかり頷いた。

「・・・・いくよ」

そっと自身の先端をフィアッカの濡れた入り口に押し当て、前後にこする。

「あっ・・・・ん・・・・ふぅっ!」

ゆっくりと男性自身をフィアッカの愛液に絡め、馴染ませながら同時にフィアッカの身体を高めていった。
一度結ばれたとは言え、幼い身体にかかる負担は計り知れない。リースとフィアッカの二人への愛情が以前よりずっと増した今の達哉は己の欲求などよりそちらの方がずっと気になってしまう。

「タツヤ・・・・お願いだ。私をキミのものにして・・・欲しい」

迷いを見透かしたように真紅の瞳がタツヤを見つめ、促した。

グッ・・・・

これ以上は逆にフィアッカを傷つけてしまう。その想いに迷いを棄て達哉が先を進める。

「うっ・・・・くっ・・・・」
「うっ・・・・」

ゆっくりと先端を沈める、異物の侵入にフィアッカが小さく呻き、暖かく柔らかいフィアッカの中に包み込まれタツヤの身体も震える。
まったく同時に待ったく逆の感覚で喘ぐ二人・・・それでも互いが互いを望み、求め、ゆっくりと心と身体の結びつきは深まっていった。

「ふっ・・・・ふっ・・・・」

両者にとって無限とも思える時間が過ぎ・・・・達哉は女性の最奥まで導かれ大きく息を吐き出した。
小さく息を吐きながらそれでも押し寄せる痛苦にシーツを握り締め、声を漏らさないように堪えるフィアッカ。
そんなフィアッカを抱きしめ、そっとその金の髪を何度も撫でつけた。

「ごめん・・・・辛かったろ?」
「あ、謝らないで・・・・欲しい。私は・・・・はぁ・・・望んで君を・・・・求めた」

目の端に涙を浮かべ、苦痛に顔をゆがめながら少女はそれでも笑みを浮かべる。
そこに宿るのは痛み、苦しみ、嬉しさ、愛おしさ・・・・その全てが混ざり合い。それでも後者の2つが勝っているようだ。

「後悔もない、痛苦は・・・・た、たしかに・・・・くっ・・・・あるが、タツヤ・・・・キミと結ばれた事を思えばっ」

溜まらなくなって抱きしめてしまう。
この少女達は自分を何処まで惹き付ければ気が済むのだろう?
好きだ・・・・好きだ・・・・何度連呼してもきっと飽き足らない。リースあたりが真っ赤になって「タツヤ・・・恥ずかしい」と言うのが目に浮かぶようだ。
しばらくジッとしているだけで自分の中のものが苦しいほどに疼くのが判る。

「タツヤ・・・・もういい。動いて」
「・・・・・いいのか?」

静かに頷く少女をしばらく見つめ・・・・



「じゃあ、動くぞ」

フィアッカの目がぎゅっと閉じられる。
ゆっくりと動きだし、緩やかに湿った音が周囲に響き始めた。

「・・・・んっ・・・・んっ・・・・ぁっ」

フィアッカを支配していた痛苦が、肉体が慣れてきた事、そしてそれを上回る互いの愛しさで消え去っていく。
ゆっくりと出し入れを繰り返し、時折子宮の奥がノックされるとフィアッカの唇から痛みとは違う種類の声が漏れ始め、達哉はきつい締め付けと甘い少女の囀りに爆発寸前の自分と必死に戦った。

「あっ・・・・うっ・・・・はぁ・・・・」

ゆっくりと往復を繰り返すごとに次第に抵抗は弱くなり、フィアッカの声に宿る甘い響きは強くなる。
達哉も徐々に腰の動きを早め、ベッドが動きに合わせて低く軋み始めた。

「あ、あ、あっ・・・・んくっ・・・・」

グチュ・・・・チュッ・・・・ンチュ・・・・

「いっ、うっ、あ、あんっ、ああっ!」

腰が送り出されるたびに強い締め付けと、心地よい暖かさと、堪らない触感が達哉を襲い。
フィアッカもまたすでに痛苦を忘れ、愛する人に貫かれている喜びに開花しはじめていた。
繋がった部分から響く水音は激しさを増し、滴る銀の雫がシーツを濡らす。

「んあ、あ、ああっ! た、タツヤ・・・・タツヤ・・・・いっ、いい!」
「フィ、フィアッカ・・・・お、オレ・・・・うっ・・・・くっ!」

高まる二人の性感が共鳴し、互いを呼び合う甘い声がまたそれを助長する。
フィアッカの中が一気に熱くなり、互いを呼び合う声が声は何処までも甘くなっていき・・・・

「ふああっ!あ、ああっ! た、タツヤ・・・・な、なにか・・・・怖い。私・・・・私・・・・」
「うっ、だ、大丈夫・・・・ふぃ、フィアッカ・・・・い、一緒に・・・・一緒に・・・・」

グッとフィアッカの中が締め付け、達哉はフィアッカの中で果て、まったく同時にフィアッカは高い声を上げて大きく背中を仰け反らせる。

「あっ、あっ、ああああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!タ、タツヤ――――――――――――――ッ!!」

迸る達哉の精を受け止めフィアッカは高らかに達哉の声を呼び、絶頂に達した。



後日談 達哉視点


「タツヤ・・・・」
「どうした? リース?」

少しだけ不機嫌そうな顔の可愛い少女にオレは困ったような顔を向ける。

「今日・・・・約束・・・・」
「ああ、もちろん覚えてるよ」

そっとその金の髪に手を載せ優しく撫でる、最近この仕草をリースはまったく嫌がらなくなった。
むしろ照れくさそうに嬉しそうに笑顔を浮かべてくれる。

「ピクニックだもんな」
「ん・・・・」

・あれからも二人の少女は変わることなく俺のそばにいる。
いや・・・・すこし変わったことは・・・・

「タツヤ・・・・リースリットばかりずるい」
「ずるくない。フィアッカはこの前いっぱい撫でてもらってた。」
「む・・・・そんなことはないだろう」
「そんなことある」

リースとフィアッカのありようだろうか?
フィアッカが一方的に知覚出来ていた情報が今は完全に共有している。
また互いが互いの好きなときに出てこれるようになったようだ。

『むぅ〜〜〜』

それはそれでこの町の奇妙な名物となりはじめ。
エステルと言う教団の司祭がこの間泣きながら苦情を言ってきたのは少し同情するが・・・・

「あ〜二人とも喧嘩するな、ほら行くぞ!」
「あ、タツヤ!」
「タツヤ・・・・待って」

ま、こういう結末もきっと悪くない。
見えないだけで青い空の向こうに今も浮かぶ月を見上げ、オレは心の底から笑った。